都民の生活は今どうなっているのでしょうか
東京では、所得格差をはじめ、医療、福祉(介護)分野などの市場化が拡大されています。小泉「構造改革」による負担増と増税とともに、石原都政が「TOKYO福祉改革推進STEP2」2002年「福祉・健康都市 東京ビジョン」(2006年)などを発表し、福祉改悪を推進してきているからです。
就学援助世帯の増加
就学援助は2000年の151,298人から2004年には188,386人に増え、小中学生の24.8%に達しています(都議会文教委員会資料)。都立高校の授業料減免も2000年の5.5%から2004年度は12.4%へと(同委員会資料)増えています。
国保料(税)、払えない人が急増
国民健康保険は、安心して医療をうけるための大切な制度です。しかし東京では、健康保険料(税)が払えないために滞納している世帯数が全世帯の25%に達しています。滞納した場合、有効期間が通常より短くなった短期証が発行されますが、短期証は2005年6月現在76,000件余で2000年比2.4倍と急増しています。
また、長期の滞納者には資格証明書が発行されますが、資格証世帯は、医療費全額を窓口で払い、後で療養費払いとして請求することになるため、所得の低い人たちにとっては大変な負担となり、著しい受診抑制を生んでいます。資格証の発行は毎年増加し2005年6月現在17,000件あまりで2002年比3.1倍にもなります。資格証と短期証の合計は、2005年では滞納世帯比の13.61%にものぼっています。
東京の高齢者は今…
東京の高齢化がすすんでいます。2005年東京都社会福祉基礎調査によりますと、65歳以上都民の53%が高齢者のみの世帯で、要支援・要介護1の6.7割が高齢者のみ・独居世帯となっています。石原都知事は、就任後「何が贅沢かと言えば、まず福祉だ」とマル福・老人福祉手当・シルバーパスなど全国に誇れる東京の高齢者福祉制度と水準を破壊してきました。2000年12月には「東京都福祉改革推進プラン」で「サービス提供は民間企業にお任せ、行政は手を引く、利用者には重い負担」の仕組みづくりをすすめています。政府の医療構造改革での高齢者の負担増と高齢者医療制度の設立での差別化、「税制改革」による増税と国保料・介護保険料の引き上げとサービス利用の制限など老後の不安は増すばかりです。
高齢者施策の大幅切り捨て
老人福祉手当の廃止、老人医療費助成(マル福)の段階的廃止などで、寝たきり高齢者をかかえた家庭では年間66万円の給付減。高齢者一人当たりでも年間3万円近い給付が削減され、シルバーパス利用率は7割台から5割台へ後退しています。
また、特別養護老人ホームの都加算補助切捨てを行い、水準が7年前の全国25位から31位に後退しています。そのため老人保健施設は全国最下位、認知症グループホームの整備率も全国最低水準になっています。
制度 |
見直しの内容 |
影響人数 |
重度心身障害者手当 |
所得制限を強化 |
2,000人以上 |
心身障害者福祉手当 |
所得制限を強化 |
1万人以上 |
心身障害者医療費助成 |
本人負担の導入、
所得制限を強化 |
3万人以上 |
児童育成手当(障害児) |
所得制限を強化 |
約1,000人 |
精神通院医療費 |
本人負担の導入 |
1万5,000人以上 |
ホームヘルパー派遣 |
所得制限を強化 |
|
シルバーパス |
全面有料化 |
80万人以上 |
老人医療費助成 |
6年で廃止 |
40万人以上 |
老人福祉手当 |
3年で廃止 |
約6万人 |
都営住宅家賃全額免除制度 |
原則廃止 |
3万2000世帯 |
(2000年3月都議会で可決)
都立病院の統廃合、切り捨て
「都立病院改革マスタープラン」で、2002年12月の母子保健院廃止を皮切りに、都立病院を16ヵ所から8ヵ所に統廃合する計画です。そのため、ベッド数では人口10万人当たりで全国41位と低く、看護職員数は32位になっています。
さらに残りの病院も、公社化やPFIで運営する地方独立行政法人化などで都立病院をなくす方向で検討しています。特に都内に3つあった小児病院の統廃合計画は、深刻な小児医療の危機を生むとして、広範な反対運動が起こっています。
都立病院の廃止・統合計画
(都立病院改革マスタープラン)
病院再編整備の具体化
保健所の統廃合
1995年に制定された地域保健法以後、全国の保健所数はこの10年間で、845ヵ所から411ヵ所と、51%も削減されました。東京特別区の保健所は53保健所から23に減り、57%も削減されました。三多摩地域では、1997年17ヵ所の保健所が2004年には7ヵ所へと統廃合されました。さらに2007年には、八王子保健所が市に移管されます。これでは保健所がますます遠い存在になってしまいます。 |