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都民がつくる革新都政
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2012年2月15日発行
「首都圏大地震と大都市東京の防災を考える」
シリーズ学習会第1回
「首都圏大地震の災害と防災の課題」を開催
 3・11大震災は甚大な被害を広げ、首都直下地震が想定される中で、都民の防災対策への切実な要求が高まっています。
 東京都は、11月末に東京都防災対応指針を発表しました。革新都政をつくる会は、都民の立場から東京の防災対策政策を練り上げるために、多くの関係者の力を結集する「シリーズ学習会」を開始しました。

 第1回は、「首都圏大震災の災害と防災の課題」をテーマに1月21日、TKP神田ビジネスセンターでシンポジウムを開催し、二人の講師の講演と意見交換を行い、62人が参加しました。
 開会にあたって、児玉洋介代表世話人は、被災地を訪問した体験に触れながら野田内閣がすすめる震災便乗「構造改革」を批判し、都民の立場から防災対策の重要性を考える連続学習会の成功を訴えました。
 続いて、「会」政策委員会の氏家祥夫氏が、「会」がすすめる2012年重点政策と防災政策策定の方向と二人の講師紹介を行いました。

予防のための公的資金投入制度、
国・自治体・企業・住民・研究者の協働による防災の推進を

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首都直下地震と被害予想、地震防災対策と課題について話す濱田教授=11年1月21日、千代田区
 講演の第一は、地震防災工学の浜田政則早稲田大学理工学術院教授が「東日本大震災の教訓と首都直下地震への対応」と題して行いました。
 浜田教授は、第一に「東日本大地震から何を学ぶか」と率直に語り、東日本大地震を教訓にして、地震・津波の予知と「耐津波学」を構築し津波対策の強化が重要だと強調しました。この上に立って、第二に「首都直下地震への対応と課題」について、首都圏直下地震と被害予想、地震防災対策と課題について、豊富な資料をもとに提起しました。巨大都市東京が抱える東京湾臨海コンビナートや密集住宅地域、地下鉄、超高層ビル、丘陵造成地の防災対策、帰宅困難者対策などの強化を列挙。石油や高圧ガスなどのタンクが密集する東京湾臨海部は、大震災時には火災や海域への危険物等の流出による航路閉鎖の危険性を指摘しました。そして、防災対策を総点検し、災害予防のための公的資金投入制度、国・自治体・企業・住民・研究者の協働による防災の推進を提起しました。

東京一極集中を是正し都民・災害弱者優先へ
 講演の第2は、都市・防災問題研究者の末延渥史氏が「東京の防災を考える」と題して、石原都政13年の防災と都民の立場に立った防災の課題について述べました。
 末延氏は、冒頭「阪神淡路大震災・新潟県中越地震・東日本大震災から何を学ぶのか」と問いかけ、「想定外」は政治の言い訳であると述べ、被害想定について指摘しました。その上で、石原都政が13年間に災害を未然に防ぐ予防対策を後退させ、都民に「自己責任」を押し付けてきたことを批判。スーパー都市災害に備える大都市固有の課題の解決とともに、東京一極集中を是正し、都民・災害弱者優先へ、大規模開発やオリンピック招致優先からくらし・防災への転換が不可欠だと述べました。
 参加者との意見交流では、大震災における家屋の倒壊、地下鉄、火災問題や帰宅難民の定義等などの質問が出されました。また、「地震が起きるとどうしようもなくなるのではないかと不安だ」との発言に講師からは「政治の力は大きく、経済界も含めてトップの震災対策を重視するという決断が大切だ」との話に共感の拍手がおきました。感想文も「お二人の講演から東京の防災対策の深刻さを確認できた。行政の役割の大きさを再認識した」「東京の震災、津波の被害想定を確度の高いものにする努力を会としてもイニシアを発揮して欲しい」など多数寄せられました。
 閉会の挨拶で寺下章夫代表世話人(東京労連事務局長)は、「大都市東京の被害想定など恐ろしいものを知ってしまった。知ったからには、これに対応し予防しなければならない。防災の日の9月1日をめざし会の防災政策づくりめざす。各界・地域のみなさんの力強い協力を」と訴え、第1回の学習会を閉じました。
 
大規模開発を最優先の12年度予算案
都民のいのち・くらし・安全守る東京都予算編成と都政運営を
 東京都の「2012年度予算案」が復活予算を含めて1月27日確定しましたが、これまでの3期12年にわたる都民や職員に犠牲を強い、大企業に奉仕する都政運営を一層強行する姿勢を示したものと言わざるを得ません。
 一般会計は、都税収入が前年度比1010億円の減と5年連続の減少となる中で、基金の取り崩しや都債の増額などにより870億円の減にととどめ、6兆1490億円と引き続き6兆円台を維持し、公営企業会計や特別会計をあわせた予算総額では、昨年を若干上回る11兆7742億円の規模となっており、都民生活を守る福祉や医療、さらに放射能対策や防災など安全・安心のための施策の拡充は十分可能です。
 しかし、予算編成方針では財政環境の厳しさを殊更に強調し、財政基盤堅持のため、歳出総額の抑制を図るとし、政策的経費である一般歳出は、前年度比1.3%減と2年連続の減に抑制しながら、投資的経費については、0・2%増と微増ではありますが、全体が抑制されている中では突出しています。

<一般会計>
(単位:億円、%)
区   分 2012年度 2011年度 増減額 増減率
歳入 61,490 62,360 △ 870 △1.4
  うち都税 41,195 42,205 △1,010 △2.4
歳出 61,490 62,360 △ 870 △1.4
  うち一般歳出 45,231 45,839 △ 608 △1.3
  経常経費 36,809 37,435 △ 626 △1.7
  投資的経費 8,422 8,404 18 0.2

 石原知事は「首都東京を成長と発展の軌道に乗せしていく」と述べていますが、3環状道路や東京港の整備、さらには地方税を免除してでも外国資本を呼び込む「アジアヘッドクォーター」事業など大企業の企業活動の活性化による都市の再生でしかありません。
 また、土壌汚染や液状化など市場関係者からも批判の多い豊洲新市場の整備に607億円、八ッ場ダムには43億円もの予算を投入する一方で、都民生活に関わる予算は厳しく抑制されています。福祉予算は「過去最高」と言っていますが、国の施策に関連した義務的経費の自然増であり、都の独自施策は軒並み抑制・減額されています。
 緊急性を増している防災対策でも、緊急輸送道路確保のための沿道耐震化や木造密集地域内の主要な都市計画道路など幹線道路の整備が中心で、木造住宅への耐震改修助成は対象地域や助成額の拡充はなく、東部地域の河川の堤防の耐震化は完了まで15年もかかり、ミニスポットの除染も行わないなど極めて不十分なものです。
 住民の福祉の増進という自治体の役割と責任を放棄する予算編成であり、都政運営の転換を求める運動の発展が求められます。【都庁職・伊藤幸男】
 
マスコミ増税キャンペーンの中
成人式宣伝行動
「消費税増税反対署名しようぜ」
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初詣での消費税増税反対の宣伝=11年1月、江東区
 2014年4月に8%、15年に10月に10%─。民主党の野田佳彦内閣が決めた消費税大増税のスケジュールです。この増税計画だけで年間13兆円、年収300万円の4人世帯で12万6千円もの負担増が。「税と社会保障の一体改革」は、年金、医療、介護など社会保障のほぼ全分野にわたって給付を削減する内容です。その上、消費税を2倍に増やす。
 これでは低所得者ほど負担が重くなり、医療や介護などの利用抑制にもつながり、まさに国民の暮しを壊す道そのものです。
 1997年の消費税5%への増税では、健康保険本人2割負担などを合わせて9兆円の負担増となり、景気の大後退を招きました。今回はさらに深刻です。
 各新聞社の1月の世論調査で、各社とも消費税増税「反対」が過半数を超える結果の報道がありました。マスコミの増税キャンペーンの中でも国民の健全な姿が反映されたものです。
 「なくす会」と各界連の宣伝行動は、毎月の駅頭宣伝ヶ所数(60前後)も増え、署名数も増えてきています。なによりも野田内閣の支持率低下とおなじ反応がビンビン返ってきます。「これ以上の負担にたえられない」という声とともに「政治が悪すぎる」「公約違反で信用できない」という声も多くなってきています。
 特に青年の動きと声を感じています。「消費費税をなくす東京の会」は、豊島区の成人式会場前で新成人に増税に反対する署名とシールアンケートへの協力をよびかけ、投票は、反対50賛成7と圧倒的に反対のシールが多い結果になりました。
 振り袖やはかま姿の新成人の多くからは、「増税ではなく震災からの復興が大事」「景気が悪いのに増税なんておかしい」「社会保障を切り捨てて消費税増税なんてありえない」「消費税は、東日本大震災で苦しんでいる被災者にも負担がかかるんですよね。負担を押し付けちゃダメですよ」などの声が寄せられました。
 富岡八幡宮前の初詣の宣伝でもグループで来た青年たちが「消費税増税反対だって署名しようぜ」と画板を持った会員のところに集まり「親も大変だから消費税があがって、授業料もあがったら、俺達、親になにもいえなくなってしまう」「おばさんたちが寒空でがんばっているから、50枚ぐらい用紙をもっていって署名をやりたいくらいだ」などの声が寄せられました。
 こうした青年の声は、全国各地の成人式宣伝行動でもでています。青年たちを組織して行く取り組みとともに消費税増税反対の大きな世論をつくりましょう。【消費税をなくす東京の会・事務局長 力久 博】
 
都政転換 私の願い(8)
何としても石原都政転換!東京から新しい福祉国家を
石川 徹(東京民主医療機関連合会・会長)
 「何がぜいたくといえばまず福祉」といって始まり「増やしたのは警察官だけ」と自慢げに話す石原知事のもと、東京都は都立病院を統廃合・民営化し、シルバーパスの有料化、老人医療費助成の廃止、高齢者施設建設に対する助成の廃止、心身障害者医療費助成・難病医療費助成の削減など、この間行ってきた医療・福祉の切捨ては枚挙しきれません。救急医療体制についても高齢化などによる救急患者の増加、救急医療機関の体制の困難などから東京都における救急車による搬送時間は年々延長し最短の県の27.6分の倍に近い51.8分となっているなか、救急車はわずか2台増やしただけです。昨年の大震災を受けて東京都は「東日本大震災における東京都の対応と教訓」を発表していますが住民に「自助」「共助」を求めるばかりで行政としての責任ある積極的な対応はみられません。「医療救護等対策」の分野では東京直下型の地震の被害想定として都内で16万人の負傷者の発生(阪神淡路の3.6倍、東日本の26.6倍)を想定していますが、具体的な対策は「災害拠点病院、救急医療機関等の安全性を確保し、医療機能を維持する方策を更に進める必要がある」などと述べるのみです。
 また、急速に進む東京都の高齢化のなか福祉保険局が発表した「東京の地域包括ケア」で具体策として第一にあげているのが高齢者に「最後についての自分の意思を明確に記載」することであり介護保険は「それだけでは365日24時間の在宅生活に対応できない」と述べ「介護保険制度以外の上乗せ・横だしサービスについては利用者が全額自費で利用する」と言い切っています。
 さらに、地域包括ケアを実現するための住民の役割として「第一義的に自分のことは自分でする、自立した生活を送る」とする一方、行政の役割は「既存の資源をうまく組み立てて動かしていく仕組みづくり」とするなど、東京都としての公的責任を放棄するに等しいものです。
 石原氏の傲慢な姿勢は東京ばかりでなく各地に悪影響を与えています。「私は原発推進論者」「過度の権利を主張し責任を軽視する戦後の悪しき風潮を変える」「今の政治構造をシャッフルする」など言いたい放題です。石原都政、何としても転換させなければなりません。今までにない力を結集して東京から新しい福祉国家をめざしましょう。
 
「何でも相談派遣村」
切実、深刻な問題ばかり
 豊島区生活と健康を守る会は、生活相談活動に積極的にとりくんできました。
 内容は、生活保護申請、医療、住宅、千差万別です。どれも身につまされる切実な深刻な問題ばかりです。
 慢性疲労症候群という最近よく聞く原因不明の難病で職場を解雇された40代の男性や、派遣切りにあって突然職場を失い、寮も追い出され、路上生活を余儀なくされた25歳の若者。就職したくても履歴書に貼る写真代さえない。区が一時避難として入所されている簡易宿泊所の方から「ダニやノミが出て眠れない」「シャワーが長く壊れたままになっている」と貧困ビジネスの一面が明かにされたことや、本来、自活できると判断された人はすみやかにアパートに入居させなければならないのですが、半年も簡易宿泊所に入所されたままになっている実態もあきらかになりました。
 千葉で産業廃棄業を営んでいたHさん(69歳)は、不況の中、倒産、離婚に追い込まれ、とうとうホームレス状態に追い込まれました。私たちと知り合い、さっそく生活保護の申請をすませました。簡易宿泊所で過ごしてもらいましたが、その2日目後に心臓発作が起こり緊急入院となりました。本人は「長い間の疲労、ストレスが原因」と言います。今では、Hさんはステントという金属を入れる手術を終え、その後は、簡易宿泊所に戻らせるのは難しいと区役所に判断をせまり、今では、元気にアパートで日常生活を送っています。
 私たちは、区内の民主団体の方々と共同して開催している「なんでも相談派遣村」は昨年12月で7回目の開催となりました。相談を受け、固有に解決させることは勿論ですが、どこに今問題があり、どうすれば改善できるのかを実行委員会で話し合われました。たとえばアパート入居を認めない運用を改善させること、簡易宿泊所環境改善に努めること等をあげています。
 4月には相談結果をもちより対区交渉を計画しています。【豊島区生活と健康を守る会・山口実】
 
「放射線対策室」設置 測定器無料貸出実現
葛飾区
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放射能測定を行う新婦人の仲間=葛飾区内
 葛飾区は都内でも放射線量の高い地域です。こどもたちが毎日通う通学路は安全なのか近所のママたちに聞いたところ心配していました。
 そこですぐに測定をしてみようと期日・時間を書き入れたチラシを地域に配布して実施しました。当日「放射能からこどもたちを守ろう」旗をたてながら測定をやりました。家から出て来て、「ここも測定してほしい」と要望する方もいて、その願いを聞き入れながら実施しました。区へ「放射線量の高い定点ホットスポットについては、即除染、すぐに除染できないところは近寄らないように、見てわかるように“危険”と表示してほしい。測定器を区で購入して貸し出ししてほしい」と要望書を提出し、対区交渉をしてきました。
 新婦人・葛教組・区労連・青空の会の共同と多くの区民の要求・共産党区議団の度重なる申し入れで「放射線対策室」の設置や放射線量測定器50台無料貸し出しが実現しました。これからも区内の団体・個人で連帯した取り組み、連絡会を発足し、いのちを守る運動をすすめていきます。【新婦人[飾支部・永堀トミイ】
 
青い空
 アカマツの林に射す木漏れ日が、山から吹き降ろす冷たい風で揺れる朝、犬が死んだ。前足で大きく空をつかみ、息を吐きつつ動かなくなった。硬くなる犬の体を死の実感が追いかけていく。14年と4ヶ月の生であった▼犬種はゴールデン・レトリバー。体重27キログラム前後。クリーム色の飾り毛に全身が覆われ美しかった。祖先は主人に忠実に従い俊敏に行動する猟犬だそうだが、賢さや忠誠心とは程遠いわがままな犬であった▼骨となった犬を見たときごく自然に涙が流れた。父や母との別離と異なる感覚にもう一人の自分が慌てている。なぜなのだろう。思えば候補者擁立から始まる99年の東京都知事選挙や01年からの自治労連、全労連の役員生活は犬と一緒であった。過度なまでに情緒的感情を押し殺し、理性と論理で鎧をまとった私に犬は向き合ってくれた。そうだ、犬は盟友だったのだ▼ところで作家、政治家を名乗る石原慎太郎がエッセイで犬と歩く人たちに悪罵を投げつけている。破壊された家族、人間関係を犬に預けその犬に引きずられているというのだ。荘厳な人の営みを権威で蹂躙し人からさえ疎まれる彼のことだ。柔らかな感性が必要な「人と犬の関係」のことなどわかるはずもない。(駒)
 
 
 
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