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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2011年8月15日発行 |
いのちと平和を守る2011年・夏
救援・復興と原発事故 |
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“日本のどこにも基地はいらない”原水爆禁止2011年世界大会・長崎=2011年8月9日・長崎市 |
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東京都葛飾区の公園で放射線量を測定する日本共産党都議団=2011年7月・葛飾区 |
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大田「東日本大震災被災者救援・復興のつどい」=2011年7月18日・大田区新宿小学校 |
3・11大震災と福島第一原発の過酷事故から5カ月。遅々として進まぬ復興と拡大する原発の不安の中で政治の果たす役割が問われています。
長崎への原爆投下から66年目の8月9日、平和式典で田上富久長崎市長は、「平和宣言」で「(福島第一原発事故にふれて)『ノーモア・ヒバクシャ』を訴えてきた被爆国の私たちが、どうして再び放射線の恐怖に脅えるようになったか。私たちはこれからどんな社会を創ろうとしているのか、根底から議論をし、選択をする時が来ています」と述べ、「原子力にかわる再生可能エネルギーの開発」そして、「『核兵器禁止条約』の締結に向けた努力を始める時」と訴えました。
容赦ない熱暑の2011年の夏、いのち・くらし・教育・平和を守る運動が、都内各地で行われています。
放射能汚染による不安が広がる中で、放射線量の測定を求める市民が各地で取り組みを進めています。日本共産党都議団は、7月25日、都内東部地区(足立・葛飾・江戸川)で実施した放射線量調査結果を発表しました。そして、放射能対策の抜本拡充を石原知事に申し入れました。(詳細は共産党都議団のホームページ)
原発問題の学習会、デモなど各地で多彩な取り組みが急速に広がっています。 被災地・被災者支援の活動も現地へのボランティア派遣、バザー、支援集会、学習会など広範に取り組まれています。また、8月6・9・15日を中心に平和・戦争資料展、平和集会、署名活動が行われています。
憲法敵視、原発推進の石原知事は今年も靖国神社参拝を表明していますが、参拝に強く反対します。また知事の主張を教育現場で推進する「つくる会」系の中学校歴史・公民の教科書を、7月28日東京都教育委員会が採択しました。教職員の意見を聞かずに行った政治的「採択」に強い批判の声が上がっています。
雇用、くらし、営業も厳しく深刻です。いまこそ、憲法を都政のすみずみまで生かす都政に転換しなければなりません。 |
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築地市場貫く「環状2号線」建設
―都市計画法に抵触 |
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「環状2号線」は晴海(写真上)から隅田川を越えて築地市場(写真下の円形)岸壁へと乗り上げ青果門の付近で虎ノ門から地下道へとつながる計画=8月7日、汐留・電通ビルより
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「二律背反」、俗にジレンマとも言う。広辞苑によれば「相互に矛盾し対立する命題が、同じ権利をもって主張されること」とある。「環状2号線」は私たちにとっては甚だしく迷惑な計画で、これが築地市場を貫通する道路なのです。図面によれば晴海から隅田川を越えて築地市場の岸壁へと乗り上げて、青果門の付近で虎ノ門から地下道へとつながります。すなわち「築地市場の営業中は開通できない道路」、これが第一の命題です。開通だけでない、大規模な工事自体が営業中には絶対に不可能なのです。
ひるがえって豊洲新市場から見るとどうか。図面を見ると、環状2号線が豊洲新市場の最重要導線と位置づけられていることが読み取れます。ほとんど唯一の幹線道路なのです。豊洲新市場においては環状2号を欠いた場合、陸の孤島に等しく、首都圏の生鮮食料品流通の拠点とは、到底なりえないのです。「開通しなければ豊洲新市場を開場できない道路」というのが、第二の命題ということです。
よ〜く考えてみればお分かり頂けるとおり、論理的には築地市場の移転は「不可能」という解が得られるはずです。しかも東京都は、この「二律背反」の解決策として、何と築地市場の一部を壊しにかかろうというのです。これは卸売市場法に明白に違反する行為となるだろうし、また都市計画法にも抵触しかねない。私たちが国土交通省に出向いて要請を行ったのもその理由によるものです。
都市計画法では「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」と定められているからです。国交省も事実関係について調査することを私たちに約束しました。
この問題では既に農林水産省が第9次整備計画の添付資料に、豊洲新市場の記載について「ただちに認可を意味するものでない」と言い切ってさえいます。
東京都による7月29日の豊洲新市場建設の都市計画決定を、TV・マスコミは「移転」の決定であるかごとく報じましたが、事実は異なります。国はこの移転計画に、見切りをつけ始めているのです。そして「環状2号線」の混乱は、石原都政の崩壊を、何よりも雄弁に物語っています。【全労連全国一般東京地本・東京中央市場労働組合】 |
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急がれる東京臨海部での震災対策
新規建設偏重から維持補修重視への転換を |
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東日本大震災は東京湾湾岸地域にも大きな被害をもたらした。千葉県浦安市の液状化による甚大な被害は広く知られているが、東京港臨海部でも埋立地を中心に液状化が発生しました。
木材関連会社の多い新木場は地区全体が液状化、まともな状態の道路は殆どなく、地割れが生じ、舗装がむき出しになったり、ブロックやマンホールも持ち上がる、歩道は砂で厚く覆われたままという状態がしばらく続きました。
深刻なのが辰巳地区。大量の噴砂、地盤沈下、道路の亀裂などの発生は新木場同様だが、この地区は老朽化した都営団地があり、階段等の建物損壊、断水など日常生活への直接的な被害がもたらされました。また豊洲の市場建設予定地でも液状化による噴砂現象が一〇八箇所で発生。深刻な土壌汚染地域での液状化で「食の安全」がさらに脅かされる事態となっています。
新木場、辰巳、豊洲は何れも都港湾局の液状化予測調査(一九八七年)では「液状化がほとんど発生しない、又は少ない」とされていた地域であり、液状化や災害予測の困難さを示しています。
また臨海部というのは地震と津波、台風による高潮など様々な災害が引き起こされる可能性があります。今日のように高層マンションやビル建設などの大規模開発が進められている東京臨海部などは被害があらゆる面にわたって甚大なものとなります。
東京港では昭和34年の伊勢湾台風を教訓として、昭和30年代後半から約20年かけて海岸保全施設(防潮堤、水門・排水機場、内部護岸など)を整備、完成させ、また昭和50年代後半からはまず江東区内の内部護岸について、その後他地区においても液状化対策を考慮した耐震補強工事を実施。道路、橋梁、諸港湾施設等についても同様です。建設後50年近くを経過したものも多く、計画的に耐震補強工事等を実施しても年々進行する老朽化に追い付いていないのが現状であります。
一方で東京臨海部では中央防波堤埋立地での新規コンテナバース建設や関連道路整備のためにムダな大規模投資が行われようとしている。こうした投資の在り方は一刻も早く改め、防災対策強化、迅速化の観点から考えても新規建設偏重から維持補修重視に転換すべきときです。【臨海都民連 市川隆夫】 |
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都教育委員会の侵略戦争・原発美化の教科書採択
杉並は不採択へ |
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石原都政による「日の丸」「君が代」の強制など「破壊的教育改革」が進められる中、教育基本法が改悪されたもとで、初めての中学校教科書採択となった今年の夏、全都の公立中学校教科書の採択も各区市教委等で行われました。
東京都教育委員会は7月28日、都立中学・中等教育学校10校と、特別支援学校中学部20校で来年度から4年間使用する教科書の採択を行い、歴史・公民の教科書には「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)が作成した自由社版や、「つくる会」の分裂後に誕生した「教科書改善の会」が執筆した育鵬社版教科書の採択を強行しました。
これらつくる会系の教科書は石原都政のもとで、01年一部の特別支援学校中学部で、歴史に扶桑社版が初めて採択され、次いで、初の中高一貫校として開校した都立白鴎高校付属中学が、歴史、公民で扶桑社版を採択、以降これまですべての都立学校での採択を独占してきました。
「つくる会」や「教科書改善の会」などの勢力は、自由社版・育鵬社版教科書の採択を拡大するため、この間、東京都や杉並区、横浜市などで成功したやり方を各地に広げようと画策してきました。
8月4日には大田区、5日には武蔵村山市の教育委員会が、歴史・公民ともに育鵬社版教科書の採択を強行しました。しかし、過去2度扶桑社版歴史教科書を採択していた杉並区は、8月10日に歴史・公民とも帝国書院を採択し、自由社・育鵬社版を不採用にしました。
つくる会系の教科書は、歴史を歪曲し侵略戦争を美化するものとして国際的にも大きな批判があがっており、外交問題にもなっています。また支配者側から見た歴史記述が中心で、民衆の歴史が正しく記述されず、学問的な間違いも多く指摘されています。また、福島原発事故以後も、依然として安全神話に基づいた原子力発電の記述となっています。私たちはこうした内容の教科書を子どもたちに手わたし授業をすることを断じて認めるわけにはいきません。行政の政治的な教育介入に対し、怒りを込めて抗議するとともに、子どもを守る都民の声を大きく広げ、撤回と採択のやり直しを求め、よりよい教科書を子どもたちに手渡すことができるよう運動を強めます。【東京都教職員組合執行副委員長 川原 泰寛】 |
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基本的人権は、人が生まれながらにして有する、侵すことのできない権利です。子どもたちは、この基本的人権の豊かな内容とその獲得の歴史を学ぶことによって、民主主義を担うという自覚を持つようになるのです。言ってみれば、基本的人権の学習は、公民教育の原点です。
しかし、「つくる会」系の公民教科書は、基本的人権というものを軽視しています。全国で採択されている育鵬社の公民教科書を例にとって説明します。
「基本的人権の尊重」についての記述が、「公共の福祉による制限」や「国民の義務」に関する記述よりもずっと少ないことです。
「基本的人権の尊重」という題目に割かれている見開き2ページのうち、「基本的人権の保障」は3分の1、「公共の福祉による制限」は3分の1、「国民の義務」については3分の1の記述となっています。つまり、基本的人権そのものについてはたったの3分の1しか触れられていません。
次に、「公共の福祉による制限」の内容が誤っています。そもそも、「公共の福祉による制限」というのは、人権と人権とが衝突したときに調整するための原理なのですが、育鵬社版では「憲法は、権利の主張、自由の追及が他人への迷惑や、過剰な私利私欲の追求に陥らないように、また社会の秩序を混乱させたり社会全体の利益を損なわないように戒めています」と記述しています(線は私が引きました)。私は、特にこの線の部分は、容易に基本的人権の制限を認める方向にいきかねない考え方ではないかと危惧しています(以上、市販本46〜47頁)。
今回、私は「つくる会」系教科書を、すべて読みました。その結果、「つくる会」系の教科書には、歴史と公民の両方を貫く「三段論法」があるのではないかと思うようになりました。第一に、日本の国は素晴らしい国であるということ。これを強調するためにアジアの近隣諸国を軽蔑します。第二に、このような素晴らしい国をつくってきたのはその時々の支配者(天皇、武士、政治家など)であるということ。第三に、だから国民は黙って支配者に従いなさい、ということです。だから「つくる会」系教科書は、基本的人権を軽視するのです。採択を許してはなりません。【自由法曹団東京支部・弁護士 村田智子】 |
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年収減・変わらない86%、国保料50%の人が上がる
=東京社保協アンケート |
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今年4月から23区の国保の所得割の算定方法が「住民税方式」から「旧ただし書き方式」に変更されました。収入や家族構成が変わっていないのに国保料が大幅に引き上がり、各区の役所には苦情や問い合わせが殺到し、足立区では約2万件もありました。
23区の国保は、1959年12月に統一保険料方式としてスタートした時に、所得割の算定方式について検討した結果、(1)被保険者が280万を超え、(2)疾病率も高く、(3)所得の格差が大きい、などから「住民税方式」を採用し、52年間守ってきたのです。
「住民税方式」は、住民税課税標準額に保険料率をかけるので扶養家族や障がい者などが考慮されるし、「生計費非課税の原則」にもかなった計算方式と言えます。特別区長会も認めているように国保加入世帯は、住民税均等割世帯や非課税世帯が多く、低所得層や多人数世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯、住宅ローンを抱えた子育て世帯などを中心に大幅な負担増になってしまいます。
東京社保協では23区を中心に国保加入者アンケートに取り組んでいます。現在まで約650件(8月9日現在)を集約しています。
集約内容は55%が60代までの現役世代で、昨年年収が減ったとの回答は49%、変わらないが37.5%で合計86.5%になります。ところが国保料は50・2%の方が上がったと回答。国保料が上がったと回答した方の82.4%が「年収が下がった」か「変わらない」となっています。
また、お金が心配で通院回数を減らした、受診を控えた、薬を飲む回数を減らしたなどの回答が多数を占めており、必要な検査や治療を受けられずにいる深刻な実態が見えてきます。
国保料負担の増の仕組みはほかにもあります。被用者保険は所得に応じて保険料が決まるのに、区市町村国保の場合は、あらかじめ今年の医療費がいくらになるかを予想して保険料(税)として国保加入世帯に割り振ります。
「所得割と均等割」の比率を変更して、均等割の率を上げるだけで自動的に保険料が引き上げられる仕組みです。均等割は生まれたばかりの赤ちゃんからかけられる国保料です。平成17年度から6年間で7800円も引き上げられてきました。2人世帯なら15600円が所得と関係なく負担増です。
いまこそ社会保障制度としての国保制度の改善、拡充を求め、(1)国庫負担割合を50%以上に高める、(2)医療給付と健診・保健事業を一体で行い、現在の公営国保は区市区町村が保険者として運営する、(3)所得に応じた保険料とし、応益負担(均等割、平等割)の縮小から廃止へ、(4)保険料の減額制度の拡充と職権で適用する免除制度の新設など、現物給付の原則から、短期保険証や資格証明書の制度は廃止、(5)窓口負担は無料化をめざし、当面、子ども、高齢者、障がい者などの負担軽減や特定疾病などへの公的助成の拡充(糖尿病でのインシュリン治療など)を求めていきます。 |
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都政転換 私の願い(2)
子どもの笑顔に支えられながら子育てできる「東京」に |
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藤井 則子
(婦人民主クラブ 東京支部協議会代表)
NHK朝の連続ドラマ「おひさま」で主人公の陽子が子どもを出産し働きだし、その子を見てもらう人がいなく途方にくれているシーンがありました。それを見て私も、40年前、暑い夏の日、7カ月の長女の保育所を探していた事を思い出しました。私も何ヶ所も尋ね、やっと無認可の共同保育所を探し出しました。そこは経営難で閉園してしまう可能性があると言われましたが、藁をも掴む思いだったので、無理を言って入れてもらいました。
仕事を終え迎えに行くと、その日の子どもの様子を保母さんの視点でくわしく話してくれ、ゼロ歳児でも目的をもった保育がいかに大切なのか教えられました。また外のお母さんたちとの会話も楽しく、一日の疲れがほぐれました。
共同保育所は経営が苦しく、バザーや行政へ助成金の要請に一緒に行くなど、保母とお母さんたちが協力して支えていました。ある時は話し合いで夜遅くなってしまい、オムツがなくなってしまう人も出ましたが、皆の手持ちを出し合いんなとかしのいだこともありました。
革新都政になって各福祉団体の助成金要請の集まりの時、無認可のところは大変だからと言って他の団体から、応援され励まされたことも暖かい思い出として残っています。
今も認可保育園に入れないお母さんたちがたくさんいます。なんとか認証保育園、無認可保育園に入っても、保育料がとても高い。これでは非正規の人やパートの人では入れません。
国と都が「新システム」を導入しようとしています。この「新システム」はたくさんの問題があります。そのひとつは収入の少ない子どもたちと、そうでないこどもたちの間で差が出てきてしまう恐れがあります。それよりも「都」はまず保育を希望している人が全員入れる保育園を作るべきです(もちろん、今の保育の質を落とさずに!)
「ポストの数ほど保育所を」のスローガンで母親たちは各地で行動しました。その当時は、結婚し、子どもを産み働き続けることが、保育園も少なく大変なことでした。この子の命を守りたい、こどもがすくすくと健やかに育ってほしい、私たちも働き続けたいそんな切実で必死な願いと運動が、革新都政になり公立の保育園が増えていき、保育士の配置数も増え、保育の中身や待遇(例・給食)安い保育料にと実現していったのだと思います。 |
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2011年8月6日・8時15分、市の広報車が市民に黙祷を呼びかける。人々は一瞬衿を正し頭を垂れ、奪われた生命に祈りを捧げ「核兵器廃絶・原発はいらない」の思いを深める▼広島市長は世界平和市長会議が唱える「2020年までの『核兵器廃絶』に向け力を注ぐことを約束し、福島原発事故に対して、政府は国民の理解と信頼が得られるよう早急にエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じるべき」と平和宣言を発信。対して菅首相の挨拶は情けない。「究極的な核廃絶を」と本音を漏らした。「原発」も「究極的」では先の見通しがないのだ▼そして石原都知事の本音。8月5日、アメリカがコンピューターを使っての核実験に触れ「日本だってやればいい。核兵器を持とうと思えばいつでも持てる。プルトニュウムは山程ある」「日本はやっぱり強力な軍事国家にならなかったら絶対存在感を失う」との暴言。許せない!▼広島代表の子どもの「戦争を起さない人間の力を信じる」という誓いの言葉が私の心に重く、新鮮に響いてくる。いま人として私がやれること、時を惜しまず「世界の国から核兵器をなくす!原発をなくす!」この輪の一点になることだと▼蝉時雨が66年前の夏を蘇らせ大地に沁み入る。(中) |
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