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都民がつくる革新都政
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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2010年8月15日発行
暮らし・平和を守る秋のたたかい、
都知事選勝利へ
参議院選挙後の激動の情勢の中、都知事選挙は8ヶ月後に迫りました。新しい政治をめざす国民の声と行動は、今次参議院選挙で菅政権・民主党に厳しい審判を下し、自らの希望を託せる政治を求めて模索しています。貧困と格差が広がり、暮らしがいっそう厳しくなる下で、石原都政は行き詰まり求心力を失っています。参院選後の混迷の政局と要求実現めざすたたかいの厳しい情勢の中で、「この閉塞感を打ち破りたい」「東京から政治を変えよう」と都知事選への声が高まっています。
反貧困・憲法生かす重大な秋のたたかいを
7月11日投・開票の参議院選挙の結果は、新たな激動の政局を生み出しました。国民の願いを真正面から受け止めて暮らしと平和を守ることを求めた国民の声に背いて、消費税増税、普天間基地県内移設を打ち出した菅政権・民主党は厳しい批判を浴び敗北しました。そして、民主党・自民党の二大政党がともに得票を大幅に後退させ、みんなの党などの新党がその流れた票の受け皿になり、共産党、社民党が議席・得票を減らし後退しました。その結果、いわゆる「ねじれ国会」といわれる不安定な政治情勢をつくり出しています。
菅首相は引き続き政権維持を表明しており、民主党の進める方向はきわめて危険な流れとなっています。
すでに閣議決定している「新成長戦略」や「地域主権戦略大綱」「財政運営戦略」などをもとに、「財政再建」「地域主権」という名で構造改革への再加速を推進し、財政支出を削減しようとしています。
米軍普天間基地移設問題でも沖縄県民の総意に反して「日米合意」を最優先し、さらなる軍事大国化への方向を強めています。新たな政党配置の中で改憲勢力の大連合が画策される危険な情勢となっています。そして、石原都政は、東京からこの流れを加速させようとしています。
しかしこれらの流れは、暮らし・雇用・営業、劣悪な社会保障の下で苦しむ国民の要求や平和で核のない世界を求める世論、「政治とカネ」の問題の解明を求める世論との矛盾を激化させることは必至です。そして、いま地方自治のあり方が根本から問われています。民主党は9月中旬に代表選を行いますが「大連立」の可能政を含み、秋の臨時国会以降の政治は大波乱の様相が想定され、まさに国民的なたたかいが政治を転換させるカギを握っています。
この夏から秋へ、最低賃金の引き上げをはじめ、反貧困、憲法を守り生かす国民的大運動と切実な都民要求実現の都民運動の発展が求められています。
都知事選へむけて総力を結集
都民・国民の思いは、今こそいのち・暮らしを第一の政治に都政も国政も転換してほしいという熱い願いです。そして、2011年春の都知事選挙に大きな期待が寄せられています。都民の願いを実現し、東京から国の政治を変える絶好のチャンスです。都知事選の年、2011年度予算編成は東京のあり方を問う重大なせめぎ合いとなります。
いまほど新しい都政をめざす対抗軸の構築が求められているときはありません。革新都政をつくる会は、「反貧困、憲法が輝く、くらし第一の都政で希望ある東京を」めざします。その実現の展望を示す基本政策案(「革新都政の会」ホームページに掲載)を6月に発表しました。幅広い多くの都民の皆さんの知恵と力の結集軸にしたいと思います。新都知事の誕生で都政を転換し、東京から国の政治を変えましょう。
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非正規雇用者増加が
雇用者間の格差を拡大
非正規雇用者の増加によって雇用者間の格差が拡大した……。厚生労働省は8月3日、2010年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表しました。
格差拡大の背景には大企業の人件費抑制戦略があるとしています。また、労働者派遣事業の規制緩和が、人件費抑制戦略を後押しした、としています。
非正規雇用比率が増加した原因として白書は「大企業による非正規雇用の増加が主要因」とした上で、その背景に「相対的に賃金の低いものを活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かった」と指摘しています。
雇用者の格差の拡大は、「非正雇用者の増加」によるものとしています。1997年と2007年の10年間の比較では、100万円から200万円台半ばにかけての割合が高まり、相対的に年収の低い層の増加が、雇用者の格差拡大の要因となっている、また、100万円から300万円台の非正規雇用者の増加が大きく、中位数よりも引く層の増加をもたらすことで、雇用者全体の格差を拡大させている、としています。
白書は、「平均賃金の低下や格差の拡大により、所得、消費の成長力が損なわれ、内需停滞の一因になったものと考えられる」と分析。また、「大企業中心に取り組まれた賃金・処遇制度の改革も、賃金格差を拡大させ、人々の生きがい、働きがいを損なった面もある」としています。
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逆進性の強い不公平税制
「消費税」の問題点
先の参院選挙で国民は消費税10%増税ノーという審判を下しました。翌日、菅首相は「消費税増税発言が敗北の一因」と述べ、枝野民主党幹事長は「消費税増税法案の年度内合意を先送りすることもある」と発言。しかし、同日、米倉経団連会長は「消費税増税、法人税減税の成長戦略をゆるぎない信念を持って進めよ」と菅政権を叱咤激励、朝日新聞は「消費税から逃げるな」、読売新聞は「ひるまず消費税論議を進めよ」と主張、7月14日には国際通貨基金(IMF)の対日審査報告で「財政再建へ、消費税15%にして法人税を引下げよ」と日本財界のシナリオどおりの勧告です。増税推進派の並々ならぬ構えがうかがえます。
そもそも「消費税」は、所得の低い人ほど負担割合が重い税金です。毎日の食べ物に課税され、災害や病気になっても一切減免もありません。いま、格差と貧困がいっそう広がっているとき、消費税増税なんてまさに「暮らし破壊」税です。また消費税を販売価格に転嫁できない中小業者にとって利益でなく売上額に課税され、身銭をきって納税することになり「営業破壊」税です。
総務省の年間収入階層別の収入と消費支出の「家計調査」(別表)のように年収300万円以下の世帯では負担率が4.10%、1500万円以上の世帯では1.43%です。これが「消費税の逆進性」といわれるものです。
本来、税の「公平」は「所得の多いものは多く、少ないものは少なく」という税の負担能力(収入や所得)に応じて課税される「応能負担の原則」と「生きていくために必要な生計費には税金をかけない」というのが近代的な税の大原則です。
憲法25条で国民の「生存権」とそれを保障する「国」の責任を謳っていますが、「みんなで支えあうのが社会保障だ」と「福祉目的税」などと名前を変えて医療や介護に受益者負担を強いて、国の責任を放棄する。弱者を痛めつける税制で弱者を助けようとは矛盾した話で「貧乏人同士が助け合え」といわれているようなものです。
いま、日本は、格差と貧困が進み、所得や富が大企業や資産家などに集中して蓄積しています。貧困が進む庶民には消費税増税で収奪、大企業には減税では、国の税収がますます先細りで景気回復はできません。庶民の懐を温かくして購買力を高めれば税収が高まり、一方で富が集中したところから減税などせず応分の負担をすれば消費税なしで景気回復、財政再建はできます。国民本の財政再建が急務です。【消費税をなくす東京の会 事務局長・林幸二】
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「地域主権改革」のネライと問題点
「地域主権改革」は、今後の国家運営の方向、とりわけ地方自治のあり方と、地域住民のくらしにとって大きな「変革」をもたらす危険性を秘めています。
6月22日、「地域主権戦略大綱」が閣議決定
昨年12月、鳩山政権は地域主権を「一丁目一番地」と位置づけて「地域主権戦略会議」を発足させ、同日、「原口プラン」を確認しました。第1段階(フェーズ1)として、自治体への義務づけ・枠付けの見直し、国と地方の協議の場の設置を一括法案として国会に上程(継続審議になっている)、6月22日に「地域主権戦略大綱」を閣議決定しました。第2段階(フェーズ2)として、大綱の実現に向けて、10年度中に補助金の一括交付金化、大綱実現の予算化、法案化(第2次一括法案)を行い、その後、地方自治法を「地方政府基本法」に「改正」しようとするものです。
主なねらいと重要な問題点
第1は、「地域主権改革」は「新自由主義」の「地方分権」そのものです。地域のことは地域で決めるといいながら、中央政府の役割は、外交・軍事・治安に限定し、その他の仕事は地方にまかせるという、国民のくらしと権利を保障するという国家の役割を放棄するものです。12月に決定された「義務付け、枠付け見直し」の分権計画は、小泉内閣の地方分権改革推進委員会の答申を全面的に受け入れ、第1次分として出されたものです。
第2に、新たな「構造改革」の競争が自治体に押しつけられ、住民の福祉と権利が根本的に脅かされることです。原口総務大臣は第1回会合で、「地域主権をすすめれば地域格差はかえって広がるとおっしゃる人がいますが、私はそのとうりだと思います。間違ったリーダーを選べば、そのツケは選んだ地域の人に来る」と言い放ちました。
第3は、住民の自治が壊され、財界が望む「究極の構造改革」である道州制がねらわれていることです。総務省に地方自治法の抜本的な見直し案を作成する「地方行財政検討会議」が設置され、6月に地方議会と長の関係、自治体の基本構造などの基本的考え方が出されました。部分的な自治制度の変更でなく、全面的な改悪が企図され、道州制につながるという局面に入ります。
これらの問題は住民の願いと根本的に矛盾するものです。自治体関係者だけでなく、都民全体の問題として、大きな運動化が求められています。
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公務員削減
―保育の現場ではコスト削減の「委託化」
江東区は、2007年に区立保育園の民間委託推進のために新設した「保育計画課」を、今年度「民間委託化終了」を理由に、組織を廃止しました。
江東区は「アウトソーシング基本方針」に基づき、民問委託の目的を「コストの削減と、多様なニーズに応えるため」と説明し民間委託を進めてきました。これに対し江東区職労は「これまでの保育水準は保障すべき」という一致点で「保護者・住民と委託問題対策委員会」を立上げ、対話と共同の運動に取組みました。
「対話と共同」の力が保育園の委託化を阻止
「保育の質を守れ」の切実な要求に対して、区当局は保育の質を確保するために委託費を増額せざるを得なくなり、民間委託による削減予定額がわずかとなりました。区は計画通りに民間委託を推進するために、「保育計画課」を新設し、課長他職員を配置し、多大な人件費を注ぎ込むなど、コスト削減のための民間委託化という理由の破綻が明らかになりました。5年間で5園の委託化計画は、足かけ7年かかりました。
経費コスト矛盾が激化委託化理由が破綻
委託水準内容は、保護者・住民の「保育の質を守れ」という強い要求で、非常にハードルが高くなり、受託法人も、年々減る一方の状況となりました。最終的に5園は委託されましたが、江東区職労上げての果敢なたたかいや、保護者・住民の主体的な運動の積み重ねにより、運動面や要求面でも大きく前進し、保育課長さえ「委託はリスクが大きい」と言っていました。保護者や住民とともに連綿と積み上げてきた「保育の質」を守るために、公的保育も守るという運動を「対話と共同」で広げ取り組んだからこそ、委託化終了を勝取れたと確信します。
もうひとつ、江東区職労は委託反対の運動の中で「保育子育て政策」を「民問委託攻撃に、攻勢的に闘う武器」として位置づけ、たたかいの方針と体制を確立し「対話と共同」を区民と共に江東区職労の総力を挙げ組織的に取り組みました。
「こうとうの保育・子育てプラン」を提言
墨田区職労、目黒区職労に続いて江東区職労でも、約1年半かけ昨年12月「こうとうの保育・子育てプラン」を提言しました。区長は懇談で.「関係部署にぜひ配布を」「質の確保は大事、認証は一時避難的なもの」と言っています。プランのうち延長保育園・産休明け保育園の拡大・非定型一時保育事業開始の3事業は、今年4月より正規職員を配置し実現させました。
私たちは「江東の保育・子育てプラン」の実現に向け、区政に反映させて行く時を迎えています。特に、区立保育園を基本に、認可保育園の新設による待機児童の解消は急務です。【江東区職労・清水のり子】
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都政転換(9)
―築地市場の豊洲移転問題を斬る
塗り潰された「食の安全」 乱暴な都政継続を拒む
逆巻 幸雄(日本環境学会土壌汚染ワーキンググループ長)
●「何だ? これは!」
私は、思わず大声を上げました。2010年3月10日、東京都は、築地の魚市場の移転先・江東区豊洲の埋立地で、「土壌汚染は浄化できる」という中間報告を出し、翌日の都議会予算特別委でこの汚染地の買収予算1281億円を通しました。
汚染は、かつての東京ガス(株)の操業によるもので、ベンゼン、シアン(青酸カリの主成分)、ヒ素、鉛等を含む複合汚染です。そこへ、ナマものを扱う食品市場を持って来るという乱暴極まりない話が、石原知事の主導で強引に進められてきたのでした。
●中間報告は、1月から都が実施した「適用実験」についてで、高濃度の汚染もすべて環境基準以下に浄化されたという内容でした。ただ、不思議なことがありました。痩せ薬の広告でも「使用前」と「使用後」の比較写真くらいは載せるのに、この実験では「実験開始前」の試料の分析値(初期値)や、詳しい実験条件の記載がなかったのです。代わりに載せたのは以前に検出された、ベンゼンで環境基準の4万3千倍などという数値だけでした。
この点を追及したグループがあって、入手した中間報告書原本のコピーを見せてくれました。私が大声を上げたのはその時です。初期値の欄はたしかにあったが、その全部が、黒々と塗り潰されていたのです。
これでは科学的なレポートとして成り立ちません。それなのに、都はこれで「安全宣言」を出したのです。
●8月2日、都が選んだ「学識経験者」からなる「技術会議」は、墨塗りを解除した報告書を(問題の最高濃度地点のベンゼン初期値は僅か2.7倍)を承認して都に答申、「安全は確保された」というダメ押しのお墨付きを出しました。
石原知事は、「結構な結果だ。一流の学者の結論を信用しないでどうする」と、居直っています。
しかし、墨塗りを助言したのも、私たちとの公開討論会を頑なに拒んでいるのも、「一流の学者」です。このままでは市場の人たちと消費者をモルモットに仕立てた、一大人体実験が始まってしまいます。
●築地の地上げ・再開発と、流通機構の大手独占と。利権総額は併せて2兆円とも噂されます。
都民全体が犠牲になるのを免れるには、石原氏と取り巻き・後継者による乱暴な都政の継続を、厳しく拒み通すしかないと私は思っています。
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都立特別支援学校の現状と都政
障害児教育の大リストラ
カーテンで仕切られた教室
東京の障害児教育は、1974年、全国に先駆け、どんなに障害が重くてもひとしく教育を受ける権利を保障する「全員就学」を実現し、子どもたちを真ん中に、保護者、地域、教職員が力をあわせて「権利としての障害児教育」を育んできました。しかし、石原都政の11年間は、こうした「都民の宝」を一気に切り崩し、障害のある子どもたちの教育の切り捨てをすすめてきました。
現在、障害のある子どもたちの学習環境はきわめて劣悪な状況におかれています。都立の障害児学校の教室不足は700教室にものぼります。しかしこうした状況のなかでも都教委は、ひとつの教室を薄いカーテンで間仕切りして教室を増やす、あるいは音楽室などの特別教室や更衣室といったスペースまで普通教室に転用するといった通常学校では考えられない人権侵害ともいえる対応をすすめてきました。また、障害の重い子どもたちが必要な教育を受けるための「重度・重複学級」も全く増やされず、たくさんの子どもたちが障害にあった専門的な教育を受けられない状況が放置されてきました。
こうしたなかで今年7月、2004年に策定された「特別支援教育推進計画」の「第3次実施計画案の骨子」が発表されました。その内容は、この間のゆきとどいた教育を求める私たちの願いに背を向け、障害種別の専門性を無視した教育的観点のない統合再編や「外部人材」「外部専門家」の導入を口実にした教職員の大幅削減、子どもたちの成長の場である寄宿舎の廃舎など、予算・人員削減路線を徹底して貫く、障害児教育の大リストラをすすめるものとなっています。
さらなる障害児教育の切り捨ては絶対に許されません。都障教組は、石原都政による障害児教育リストラを許さず、すべての子どもたちが大切にされる都政をとりもどすため、都民のみなさんとともに、全力でたたかう決意です。【都障教組書記長 山口桂】
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青い空
「君は辻井喬という人物を知っているかね」労働界から畏敬され政党人であったAさんが私に語りかける。98年春、都知事選候補者擁立で懇談している時のことだ。辻井氏は詩人・作家で本名は堤清二。元セゾングループ代表の経済人として知られている。私の氏への関心はこのときからはじまった▼その氏が、自ら著した「叙情と闘争‐辻井喬+堤清二回顧録」で「僕にとって、戦争で無念の最期を遂げた人々の死を引き受けることなしに、現代を生き続ける路を開くことは出来なかったのだ」と述べている。経済人として市場原理主義的発想を嫌悪し、詩人・作家としての感性をマスコミ9条の会の呼びかけ人として活かす氏の原点が垣間見える▼都知事選まで8ヶ月。立ち位置が氏と対極にある都知事石原氏は、現職都知事が立候補して落選したケースは一度もないという過去16回の政治戦を知ってか、記者の進退の問いに「出るかも知らんぞ、ケセラセラだ」と煙に巻いている▼辻井氏は地方紙で「わが国の前途を憂える人たちは批評という船に乗って漂流するばかりでなく仕事をはじめるべきだ」と、民衆に変革への覚悟を迫っている。「その覚悟、丸呑みしろ」いまだ枯れることを知らないAさんは言うに違いない。(駒)
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