|
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2010年10月15日発行 |
|
力を合わせて、くらし、いのち守る都政に転換しよう
ストップ貧困!秋のたたかいの大きなうねりを
円高と経済の行き詰まりのなかで、青年の就職難など雇用とくらしの深刻な実態が広がっています。さらに、高齢者の孤独死、子どもの貧困、虐待などがこの夏の異常な暑さのなかで一気に噴き出して大きな社会問題となっています。
一方で、沖縄の普天間基地撤去を求める世論はさらに強まり、尖閣諸島の領有問題などこの国の在り方が問われています。
いまこそ、構造改革推進・社会保障切り下げ推進の石原都政を転換し、都民のくらし、雇用、福祉、教育を守る都政に転換しなければなりません。この秋、切実な要求実現をめざす運動と行動が一斉に取り組まれています。そして、都政転換を求める声が大きくなっています。いまこそ都民が力を合わせるときです。
都政・都知事選挙への関心・注目も高まる中で、新しい都政へのビジョンや政策への議論も高まっています。革新都政をつくる会は、すでに基本方針案を発表していますが、10月下旬には政策パンフレットを発行します。そして、パンフレットを広く普及し、都政転換・新しい東京を都民みんなでつくる活発な論議を呼びかけます。
切実で深刻な都民要求が渦巻き、築地市場移転問題が都政の在り方とも結んで重要な局面を迎えている中で第3回定例都議会が開催されました。
開会の9月21日には都庁2か所で早朝宣伝を展開。「基本政策案」と税金の使い方をあらため、都民本位の2011年度予算を求める「都民がつくる革新都政号外」を配布し、伊藤潤一、荻原淳、児玉洋介、千坂和彦、寺下章夫、西村冨佐多各代表世話人、かち都議会議員が出勤する都庁職員、都民に訴えました。
また、お昼には東京地評、東京社保協、都民連が都庁前で開会日行動を行い、主催者を代表して東京地評の伊藤潤一議長は「都民の福祉向上という地方自治体の役割の発揮を」強く求めました。行動には、370人が参加。「築地市場を守っていきたい(東京都中央市場労組)」「後期高齢者医療制度の減免予算を!(西多摩社保協)」「貧困から子どもを守れ(都教組)」「都民の生活優先の予算を(新婦人)」などの声をあげ、23項目の要求実現を求めました。 |
|
|
|
子どもの貧困noアンケート
“保育園増やすこと”が最多 |
|
子どもを貧困と格差から守る連絡会議を立ち上げてから一年半、さまざまな方から報告をいただき、学習と運動をすすめてきました。その中で、教育と福祉をつなぐことの大切さや、学校外で子どもに手を差し伸べている人の多さを知り、連絡会議のとりくみに勇気と確信を深めています。
今、10月16日の集会で発表するため、アンケート結果や貧困の実態、教育費負担などについての調査結果をまとめています。
アンケートには、子どもの貧困をなくすために必要と思う政策、あなたがとりくんでいること、子どもの貧困の実態やそれについての意見を記入してもらいました。一番「○」が多かった政策は「保育園を増やすこと」でした。やはり待機児童の問題は緊急課題です。次に支持されたのは、「給食費を無料にする」「教材費は公費負担で」という政策で、過半数の支持がありました。義務教育は無償と言いながら教育にはたくさんのお金がかかります。文字通り無償にすべきというのが都民の声でした。
16日の集会では、教育者、保育園園長、歯科衛生士、弁護士の立場から提起していただくシンポジウム、無料の学習支援、学校給食、定時制高校の報告もあります。さまざまな視点から知り、考え、自分たちができることを交流し広げたいと思います。また、都知事選に向けた政策提言や自治体への要求運動にもつなげたいと思っています。【東京都教職員組合・岸田久恵】 |
|
|
|
学ぶ権利が奪われている
“就活”いつ終わるかわからない |
|
「自分の望む職業に就けない」「就活がいつ終わるかわからない」‐今春四年制大学を卒業した学生の就職率は60.8%。10万人が進学もせず就職も決まらない不安定な立場におかれています。「60社受けても内定がとれない」など深刻な就職難が学生の将来への希望を持ちづらくさせ、早期化・長期化する就職活動が学生の大きな負担となっています。
都内のある私立大学の4年生は、大学で学んだことをいかして働ける職場を志望し、3年生の10月から就職活動を開始しました。エントリーシートを20社に提出しそのうち5社の面接を受けましたが、採用は決まっていません。採用が決まらないことで自分を責めたこともあります。就職活動が多忙で体調を崩すこともありました。授業に行く回数が減った、卒業研究を担当教員とじっくり進められないなど学業に支障がでており、「学ぶ権利が剥奪されている」と語っています。
厳しい競争のもと、大学で学んだことではなくいかに採用担当者の目に留まるかが重視される風潮があります。学歴、年齢、性別などによる採用差別も存在しています。
都学連は街頭宣伝や省庁・国会議員への要請行動で就職難打開を社会・政治に訴えてきました。「学んだことをいかして働く」という願いの実現のため、安定した雇用や新規採用の増加、学業と両立できるような就職活動のルールづくり、など就職難打開を訴えていきます。【都学連・塚田樹人】 |
|
|
|
01〜06年事務所3万4千現象
個人小零細事務所に集中 |
|
金融危機を引き金にした世界同時不況からの脱出を見ぬまま、急速な円高の進行とデフレにより中小業・中小業者の経営はきわめて深刻な状況にあります。
日本商工会議所が5日にまとめた緊急調査によると、会員の中小企業が望む景気対策として最も多かったのは「円高対策」です。7〜9月期の売上が4〜6月期に比べ減ったとの回答は4割超。「横ばい」を合わせると8割を超え、日商は「デフレと消費低迷が深刻な影響を及している」としています。
1985年のプラザ合意は、アメリカの貿易赤字を解消する圧力で、合意以後、日本では急激な円高が進み、日本経済は不況に陥り、また大企業は国内生産を海外での現地生産に切り替えたり、部品調達を海外から行なうという政策をとった為、産業の空洞化をもたらしました。今の円高不況においてもそうですが、輸出大企業は円高による収入の減少をカバーするため、下請単価叩きや非正規雇用の増大などのコスト削減が押付けられています。円高不況のもとでも輸出大企業は十分な収益を確保しています。
東京都の事業所統計によると、01年から06年で事業所は3万4千事業所が減少し、法人事業所よりも個人事業所が12.1%の大幅減、1〜4人規模の小零細事業所に集中しています。商店街数も98年からの10年で2907から2717へと減少、中小業者団体数も2068団体から1883団体へと約1割近い団体が開催・消滅しています。東京商工団体連合会では、9月中旬に、都の業者団体訪問をおこないました。事前の申入書が宛名不明で戻ってきたり、すでに移転などの事務所もありました。懇談のなかでは「かつて2千人いた組合員が、今では59人に」「組合員の廃業・退会が止まらない」といった切実な状況も話されました。また、製造業関連の組合では「今の円高を何とかしてほしい」という声もだされています。
東商連では、消費税増税反対を訴える会員訪問、また集まりのなかで、仕事・経営のことについて話し合い、対話しています。円高・デフレの影響については「円高の問題どころじゃない。前から売上が減ったままでどうしようもない」という声、飲食店では自宅家賃が払えず、店で寝泊まりしているという実態もあります。製造業では、「零細業者が影響を受けるのはこれからだろう。そういう意味では大きな不安がある」という声もまた多くあります。 |
|
|
|
|
給食への要望・要求する
「ルポ貧困大国アメリカ」(2008年1月22日・岩波書店)を読みました。その中に、小学校給食のことが書かれています。マカロニ&チーズとホワイトボードに・・電子レンジのスイッチがオンになると、カフェテリア内においしそうな匂いが…マカロニ&チーズとは、ゆでたマカロニに、ミルク、バター、チーズをこってりと混ぜたもので、スーパーにいくと1箱3ドルで売られている。カロリーが高く味付けも濃いため、子どものランチ用のインスタント食品として最も人気の高い。これがおかずで、主食は「ピーナッツ・バター&ジュリー・サンドイッチ」だ。
少ない予算で腹いっぱいになるもの
貧困地域ほど肥満が多いそうです。家が貧しいと毎日の食事が安くて調理の簡単なジャンクフードやファーストフードなどになります。それは、できるだけ調理器具も調味料も要らないもの、それでいて少ない予算でお腹がいっぱいになるものをと考えると、選択肢は限られてしまうからだと書かれています。また、貧困地域の学校給食では巨大マーケットを狙うファーストフード・チェーンも少なくないそうです。
日本の学校給食は、摂取基準について基本的な考え方があります。しかし、国からの予算が減り施設の改築などの予算が削られたり、格差社会が進めばアメリカのようになるともかぎりません。給食に対し要望・要求する正規職員が少なくなるとどうなるのか不安になります。
国会では、原口前大臣、枝野前大臣が、行革推進法や集中改革プランで結果として、「住民サービスの後退をもたらした面は否めない」また、学校給食を例に、行革推進法が、「子どもたちの食育がどうあるべきかという観点よりも削るための観点で今の時代に合わない、地方の破壊を招いた」と評価をのべています。
今こそ、直営の学校給食の大切さを住民・保護者に訴え、学校給食のあり方を一緒に考える運動をすすめる時期ではないのでしょうか。【内村行則】 |
|
|
|
都政転換(11)都政への思い…新自由主義都市・東京から
反貧困都市・東京へ転換を |
|
河添 誠(首都圏青年ユニオン書記長)
2010年8月の完全失業者数は337万人である。「年越し派遣村」が開かれた2009年1月時点は277万人だったので、あれだけ失業問題が騒がれた2年前よりも、実は完全失業者数は60万人も増加しています。
抜本改正をすべきと大きな議論になった労働者派遣法もまったく改正されていないし、非正規雇用を規制する政策はきわめて不十分なままです。
現在の失業者の多くは、雇用保険の失業給付の給付が、150日間程度で切れてしまう。失業給付を受けている間に次の就職が決まらないままに、収入がなくなってしまうので、半端な低賃金アルバイトをしながら生活を維持するしかなくなっています。「派遣切り」が騒がれたときに路上に大量に失業者があふれたのとは違う状態で現在の失業者は苦しんでいます。
安定した雇用の創出
失業者支援政策を期待
新しい都政には、まず、安定した雇用の創出と失業者支援政策を期待するものです。
都政関連の非正規雇用を期間の定めのない雇用に切り替えていくことは急務であります。正社員を減らして非正規雇用に置き換えていく企業の行動にも規制をかける施策も必要です。
雇用保険の失業給付を受けている人が完全失業者の23%程度になってしまっている状況の下で、収入のない失業者に対する生活支援と職業訓練の支援も急務です。これらの施策を都政で担わなければ状況はさらに悪化します。都立職業訓練校などの職業訓練については、抜本的に改組して拡充すべきです。生活保護の受給基準以下の生活を送っている人たちに積極的に生活保護の申請方法を広報することも重要です。
さらに、新しい都政に期待したいのは、低家賃の公共住宅の大量建設と低所得者への家賃補助である。家賃を払えなくなり、ネットカフェに寝泊まりするなど劣悪な居住状態が広がっています。すべての都民にまともな住居を保障することを宣言し、実行すべきです。
「反貧困」運動は、この数年で反貧困ネットワークの結成をきっかけとして東京から始まり全国に広がっています。「年越し派遣村」も東京で開かれ全国に広がりました。
この間、先進を走ってきた、この東京の「反貧困」運動の力で、都政を転換していきたい。新自由主義都市・東京から「反貧困都市・東京」へ! |
|
|
|
|
障害児学校に設置されている寄宿舎は、子どもたちの下校後から翌朝登校するまでの生活を通して、身辺自立や人とのかかわり、自治活動など一人ひとりが生活の主人公として集団生活の中で民主的な人格形成を育てる教育の場です。
東京都教育委員会が2004年に発表した「東京都特別支援教育推進計画」のなかで、それまで11カ所あった寄宿舎を2015年までに5舎に削減するとしました。この計画にもとづいて、これまでに青鳥養護学校、八王子養護学校、立川ろう学校の寄宿舎がなくなり、今年度いっぱいで江戸川特別支援学校寄宿舎の廃舎を強行しようとしています。そして今年の7月に発表された「東京都特別支援教育推進計画第三次計画(案)骨子」でさらに、城北特別支援学校、久留米特別支援学校の寄宿舎廃止を打ち出しました。「寄宿舎をなくさないでほしい」という、保護者や子どもたち、教職員や関係者たちの切実な願いに耳をかすことなく一方的に計画を推し進めているのです。
新自由主義に基づく構造改革路線のもと、特別支援教育への転換を口実にした統廃合・再編整備が急速にすすんでいます。廃舎や統合の根拠は、「スクールバス整備」と舎生減、入舎できる条件を通学困難生のみと厳しく制限しながら、その結果少なくなった舎生数を取り上げ、利用率などの数的データや効率論を持ち出しニーズがないと決めつける。許せないのはそれらがほとんど秘密裏にトップダウンで行われていることです。果たして寄宿舎へのニーズは減っているのでしょうか?寄宿舎は、多感な児童期や青年期を仲間とともに過ごす教育の場として子どもの自立や成長を支え未来を育む魅力ある場であるとともに、障害児・者とともに必死にがんばっている家庭を支える生活支援の場でもあります。今、障害児・者にとって貴重な宝が奪われようとしています。
本当に必要なものを切りすてるのではなく、弱い立場の願いを受けとめ、だれもが安心して暮らせる社会を実現しましょう。【東京都障害児学校教職員組合・執行委員 坂元康雄】 |
|
|
|
|
高年齢者の6割近くが、65歳以上の高齢者になっても働きたいと考えている。独立行政法人労働政策研究所・研究機構の「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」で明らかになりました。
男性に限ると、約7割が65歳以上まで働きたいと答え。経済的な理由から就労している高年齢者が最も多くありました。
「収入になる仕事を辞めたいと考えている年齢はあるか」との問いに、「60〜69歳まで働きたい」が、16.3%、「70歳以上までに働きたい」が10.9%、「年齢に関係なくいつまでも働きたい」が30.3%となり、65歳以上の高齢者になっても働きたいと考える高齢者の割合は合わせて57.5%にのぼっています。
就業者に対して仕事をした理由を複数回答で尋ねたところ、「経済上の理由」が72.8%で他を大きく引き離しており、理由の内訳は、「自分と家族の生活を維持するため」が88.4%と圧倒的に多くなっています。 |
|
|
|
|
石川啄木が「時代閉塞の現状」(1910年)を世に問うてから今年は丁度百年に当たる。25歳の啄木は9月9日よるその充足感で29首の短歌を創った。その一種─時代閉塞の現状をいかにせむ秋に入りてことに期く思ふかな─▼働きたくても仕事がない。「大学は出たけれど」就活・保活、自己責任に追い込まれる時代。世紀を超えて、いま「時代閉塞の現状」が人々に問いかける▼作家の大江健三郎は「加藤周一の心を継ぐために」(岩波ブックレット)で「啄木にも比すべき困難な時代を生きる若い人たちへ」と題し‐若い人たちが自分からの時代を「『時代が閉じている時代』と感じていることは意味深い」と言い〈中略〉「時代閉塞の現状」から*我々は一斉に起こってまず、時代閉塞の現状に宣戦しなければならぬ。*全精神を傾注しなければならぬ‐と啄木の思想的な意味を強く言われている。と述べている▼歴史の発展と自分の生き方を重ね、団結こそ勝利と夜明けを確信した啄木の先を見通した言葉が私の心を揺らす▼やがて訪れる春に向かって「石原」という愚かな知事をたび重ねて選ぶ愚かさと決別する準備の日常を重ねていきたい。花見月の赤みが鮮やかに目に沁み、季節をたがえず木せいが薫る。(中) |
|
|