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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2009年4月15日発行 |
生活保護受給
「派遣切り」「解雇」で最大規模116万世帯に |
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「派遣切り」「解雇」で
全国で生活保護を受けている世帯数が昨年12月に115万9630世帯と過去最多となったことが3月、厚生労働省のまとめでわかりました。生活保護を受けている人数も、戦後の混乱期を除くと最大規模の160万6714人。前年同月比では5万3179人の増加となっています。
今年1月には、全国で116万8305世帯と、前月より約8700世帯増えて過去最多となっています。12月から1月にかけて生活保護の申請数は全国平均で32%増えています。
自動車関連産業や電機関連産業が多い地域では、「派遣切り」「解雇」による相談・申請が目立っています。
東京23区でも43%増え、なかでも年越し派遣村が設けられた千代田区では、48件から292件と6倍となっています。
厚生労働省の発表によると、昨年10月から今年6月までの9ヶ月間に失職する非正規労働者は19万2061人に達します。2月の完全失業者は前年同月比33万人増の299万人。失業時のセーフテーネットとしての失業手当がありますが、受給しているのは完全失業者の2割程度で、受給要件を満たさない非正規労働者が増えていることも要因と見られます。
本来最後のセーフテーネットのはずの生活保護が、最初のセーフテーネットになっている。雇用保険を含む社会保険は、長期雇用や年功賃金など「日本型雇用」を前提としたものになっており、それが崩れている今、雇用保険の適用・給付要件を緩くする必要があります。
医療不安9割 非正規の55%「非常に」
約9割の人が医療費の支払いに不安を感じている。NPO法人「日本医療政策機構」の調べで分かりました。とくに若者や非正規労働者らが強い不安を抱いている実態が浮かび上がっています。
医療費の支払いについて、「非常に不安」が42.7%、「ある程度不安」43.5%と、合せると約9割にのぼります。なかでも、「非常に不安」と答えた人は、20代が50.3%と最多で、30代が50%と、若い人ほど強い不安を抱えています。職業別で見ると、非正規で働く人が55.2%と非常に高くなっています。 |
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都議会第1定例会
新年度予算を自・公・民の賛成で可決 |
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3小児病院廃止に自・公賛成
東京都議会09年第1回定例会は3月27日、新年度予算や条例など石原知事提出の89議案などを可決して閉会しました。
第1回定例議会は、「年越し派遣村」に象徴されるように、自公政権による「構造改革」に加え、深刻な景気悪化とそれを口実とした大企業の雇用破壊が急速にすすみ、都民のくらしの困難が大きく増大するなかで開かれました。
都立3小児病院の廃止、特別養護老人ホームが圧倒的に不足しているために広まった無届け老人ホームの大惨事、新銀行東京救済に道をひらく金融支援条例、オリンピックの名による浪費‐都政にかかわる重大問題が噴出し、これほど都議会のあり方、各党の姿勢が問われた議会はありませんでした。
新年度予算案は、自民、民主、公明、生活者ネットなどの賛成多数で可決。都民が強く反対した都立3小児病院(八王子小児、清瀬小児、梅ヶ丘病院=小児精神・世田谷区)の廃止条例は、日本共産党、民主党、生活者ネットが反対、自民、公明両党の賛成多数で可決しました。民主党、生活者ネットは、条例案には反対しましたが、3小児病院の存続と小児医療の充実を求める請願には反対しました。
破綻状態の新銀行東京などの救済につながる危険のある金融支援条例案、「言論・表現の自由を侵す」と批判があがっている「安全・安心」条例「改正」案は、自民、民主、公明などの賛成多数で可決しました。
日本共産党が予算特別委員会で提出した、予算の組み替え提案は、1千億円のオリンピック基金や三環状道路など浪費型公共事業を見直すことで財源を確保し、75歳以上の医療費無料化、待機児解消のための保育所緊急整備、不況に苦しむ製造業に対する総合的支援など170項目の施策をもりこんだもので、都民要望にこたえるものです。
こうしたとりくみこそが地方自治法にいう“住民福祉の増進を図る”という地方公共団体・議会の本来の役割であり、7月の都議会議員選挙はこうした立場にたつことのできる都民の代表を選ぶ機会とすることが大事であります。 |
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教育への「不当な支配」を断罪!
七生養護学校事件で原告勝訴 |
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都議3人と都に賠償命令
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七生養護学校の性教育への介入問題訴訟で勝訴を喜びあう原告・弁護団=09年3月12日、東京地裁前 |
七生養護学校(現・七生特別支援学校)の性教育について3人の都議や都教委が「不適切だ」と決めつけ、教材の没収などを行ったのは教育の自由の侵害だとして当時の教職員、保護者ら31人が損害賠償などを求めた訴訟で東京地裁(八尾渉裁判長)は3月12日、原告勝訴の判決をくだしました。
判決では03年7月に田代博嗣(自民)、土屋敬之(民主)、古賀俊昭(自民)の3都議が都議会で同校の性教育の内容が学習指導要領に違反して不適切であるなどとして同校を視察し養護教諭らを批判や非難した行為は、教育への「不当な支配」にあたるとして3人の都議と東京都に総額210万円の賠償を命じました。また都教委には都議らによる「不当な支配」があった際に、教員への批判や非難を制止することなく「するのに任せた」ことは国家賠償法上違法であり、損害賠償の責任があるとしました。さらに原告教員らに対する「厳重注意」についても「社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したもの」と結論づけました。
都教委は七生養護学校事件以降、「10・23通達」による「日の丸」「君が代」の押しつけなど、異常な教育行政をすすめてきました。今回の判決は、石原都政のもとで都教委がすすめてきた乱暴な教育行政がいかに教育の条理もない不当なものであるかを明確に示したものです。都教委には、これまでの教育政策を根本から見直し、本来あるべき教育行政に立ち戻ることが求められています。 |
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予算でも、初めて黒字が600億円を超す
全国の水道事業体が財政困難をかかえ、料金値上げに踏みきるところも多いなか、東京都水道局だけは巨額の黒字を生みつづけています。しかも黒字額は年々増大。2007年度決算で初めて600億円を超え、2009年度は予算段階でも649億円の黒字を見込んでいます。水道料金収入はここ10年ほど、年間3000〜3100億円で大きな変化はなく、その20%を超える、たいへん大きな黒字です。(注・黒字額は収益的収支の差引額をいう)
グラフで見るように、黒字額は予算より決算の方が一段と大きくなります。その理由は、(1)水道局で数多く施工されている工事単価が、予算段階ではある程度の余裕を見込んでたてるのに、実績は入札で低くおさえられること、(2)起債(水道局の借金)の利率が、予算では規定された利率で計算するが、実際には低金利でそれを下回ること、などです。
また、年々黒字が増大しているのは、入札価格低落や、起債残高減少による利息減、外部委託拡大による費用低下などが大きな要因です。年間の利子額は、97年に比べ10年後の07年には年間235億円も減少しました。
毎年の黒字分は借金(起債)の返済に
しかし、東京都水道局はけっして財政が黒字であるとは言わず、収益的収支(民間企業の損益計算書にあたる)の黒字額を明示しません。そして、新規投資のための資金計画(資本的収支)も一括して、「施設建設のための資金が必要で、むしろ赤字だ」と説明します。収益的収支の黒字は、どこに行ってしまったのでしょうか?
実は黒字額は、水道局の借金である起債の返済(償還)にあてられています。
水道局は、数十年にわたって使用する浄水場などの大規模施設を建設するため、その資金の多くを起債(借金)でまかなってきました。このため一時は起債残高が9千億円近くにまで達しました。この返済には、毎年の料金収入で回収した減価償却費をあてるほかに、黒字額もここにつぎこんできました。近年は、毎年400〜600億円ずつ、起債残高が減り続けています。その結果、2009年度末の起債残高見込みは約4000億円となり、このペースですすめば10年たたずして残高ゼロとなる計算です。
負債が減り続けているのですから、水道局の総資産に占める自己資産の比率(自己資本比率)は年々上昇しています。自己資本比率は、2007年度末に72.5%に達しています。この「自己資本比率」は、水道局の経営状態をあらわすひとつの指標として、毎年、水道局が作成する「事業年報」に掲載されてきましたが、なぜか「平成19年度版」では、その項目が削除されています。〈次号へ〉 |
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3月28日(土)、東京地評と練馬労連は、練馬区の光が丘公園で「労働・生活相談会」を行いました。
「生命保険に加入したが、保護費の減額が心配。4月から試用で働くが、賃金が安く不安だ。本採用になりたい」(30歳代・生活保護受けている男性)、「子どもが私学に入ることになったが、授業料の軽減助成があるのか」など、深刻な相談が寄せられていました。 |
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オリンピック招致より都民の暮らしの重視を
臨海部見学バスツアー |
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都民の憩いの場がつぶされる
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IOC委員の視察に備え化粧するオリンピックメインスタジアム予定地=中央区・晴海、09年3月29日 |
臨海部開発問題を考える都民連絡会による「第6回・09年臨海部見学バスツアー」が、3月29日(日)行われました。
石原知事のアキレス腱、新銀行東京、築地市場の豊洲移転、そしてオリンピック招致。その二つが臨海部を舞台にしており、ムダな道路計画も集中しています。変貌を続ける臨海副都心、三セク持株会社設立でますます都民・議会から「臨海」が遠のき、監視がとても重要です。
オリンピック立候補ファイルにある水泳競技場では、現在ある辰巳国際水泳場に隣接する夢の島・辰巳の海浜公園(緑豊かな)をつぶして「恒久施設」と「仮設」の競技場をつくるとなっています。何故、既存の国際水泳場があるのに、隣接したところに新しい施設をつくるのか。しかもいまある公園や都民の憩いの場をつぶし、「新設」でなく「増築」(既存の施設を使うコンパクトな…を売りにしている)というごまかしの実態を見ることができました。メインスタジアムといわれている晴海の国際展示場跡地は、広さ、交通アクセス、そして地震や災害のときに耐えられるのか、現地を見て不安がいっぱいというのが実感であり、大規模開発に9兆円ものお金をつぎ込むオリンピック招致よりも、「都民の暮しを重視する都政」に、ということを実感しました。 |
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児童福祉法第24条は、「市町村は、保護者の労働又は疾病……児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と定めています。法に照らしてみると、「待機児」と言う存在は、そもそもあってはならないものです。しかし、この4月都内で6千人を超える待機児(日本共産党東京都議会議員団調査)の増加が見込まれています。
次々と改悪された認可保育所への助成制度
東京都は、この10年間東京発「福祉改革」と称し、保育の分野では、「認可の世界を壊す」ことを目的とした「認証保育所制度」の定着、普及を図ってきました。そのために、認可保育所への助成制度を次々と改悪してきました。民間保育所の公私格差是正制度の廃止、保育の都基準に基づく補助制度を「補助金の包括化」の名のもと「子育て推進交付金」へと改悪しました。都独自の建設助成も認可保育所に対しては、昨年10月に「3ヵ年事業計画」を策定するまで行っていません。この間、国の保育制度が次々と改悪され、認可保育所への株式会社の参入が認められると、全国で一番最初に認める。公立保育所の運営補助金が一般財源化されると、東京都の負担分も打ち切り、公立保育所の運営費は、市区町村の負担とするなど追随してきました。
待機児解消への対策を
今回の待機児の激増に対しても、マスコミで大きく取り上げられても、福祉保健局は実態調査すらせず、従来通りの4月1日の報告を待っている状況です。東京の待機児は、08年4月時点でも1万人(旧定義)程度あり、すぐにでも解決しなければならない問題でした。しかし東京都は、この間「定員のミスマッチ」として踏み込んだ対策をしていません。
認可保育所の新設・増設は急務です。そのための具体的な助成を早急に行う必要があります。同時に、東京の認可保育所の6割は、「ポストの数ほど保育所を」と革新都政時代に作られ、築30年を超えています。
改築や大規模改修が必要です。施設も当時の子ども事情に併せた定員構成になっており、改築・改修とともに、大幅な定員構成の改善を図ることが、待機児解消の上でも重要です。
各市区町村では、待機児の激増に、従来の認可保育所への詰め込みや、認証保育所の新設・無認可施設や保育ママなどへの援助が主な対策として急浮上しています。
いま、厚生労働省が直接契約・直接入所へ保育制度の抜本的改悪を進める中、待機児の解消を口実に認証保育所を増やすのではなく、認可保育所の新設・増設、既存の認可保育所の改修を基本として対策こそが、子どもの健やかな発達を守るうえでも重要です。 |
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64年目の3月10日は1ヵ月前に過ぎたが、その日、東京大空襲訴訟2周年・人間回復めざす大集会が浅草公会堂で1200人が参加して開かれた。訴訟は5月21日に最終弁論。判決は秋頃と予想される▼国は、旧軍人と遺族、軍属には年8千億円もの援護をしていながら、空襲被災者は「受忍論」を盾に切捨てている。生き残った人びとのその後64年の人生は、いまも物心両面にわたって癒えぬ深い傷と悲しみが続いている。肉親を葬ることさえできなかった遺族、学童疎開中に家族全員が殺され戦争孤児となった人、負傷して障害者となった人など。原告132名。最高齢90歳、平均年齢76歳。判決を待たず3人の原告が逝った▼戦争の惨禍を語り継ぎ、平和と命の尊さを伝える「東京都平和祈念館(仮称)」の建設が凍結されて10年。建設をすすめる会が、一日も早い建設を求める署名1万3811人分(1次分)を都議会へ提出。都知事と都議会議員全員に公開質問状を送った。「都平和の日記念式典」(3月10日)で「60年以上にわたり平和を貫いた日本の首都東京で、平和の祭典オリンピックを開催したい」と石原都知事。オリンピックより先に平和祈念館ではないだろうか▼「3月10日」はまだ終わっていない。(高) |
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