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都民がつくる革新都政
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2009年3月15日発行
生産・雇用・消費 負の連鎖
輸出に依存した「経済成長」の破たん
IMAGE 内閣府が2月16日発表した2008年10月−12月期の国内総生産(GDP)が実質で前期比3.3%減(年率換算12.7%)となったニュースは、「戦後最悪の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)というほど衝撃を与えました。金融危機の震源地である米国よりも急激な落ち込みであったからです。景気の現状を示す統計〈別掲〉が、歴史的な悪化を続けており、指標から見えるは、国内生産、雇用、消費が互いに影響しあいながら落ち込む「負の連鎖」という状況です。
 中小企業業者の団体・東京商工団体連合会会員の製造業の方は、昨年11月から仕事がなく、4月からは見通しがない。商業関係の会員の方は、売上げの落ち込みで店の賃貸料の支払いも難しいなど、仕事が少なくなる状況から「仕事がなくなる」という大変厳しい実態となっています。
 背景に小泉内閣以来の「構造改革」があり、極端なまでに輸出に依存した「経済成長」の破たんであります。内閣府のGDP統計によると、所得や個人消費は低迷しているのに、輸出が極端に伸び、08年に失速します。1月の貿易統計速報(財務省発表)では、9526億円の赤字となり、過去最大となっています。

国内経済を脆弱にした「構造改革」政策
 この間の「構造改革」政策のなかで、製造業大企業(資本金10億円以上)の01年度と07年度を比較すると、経常利益は2・25倍に増えています。従業員給与は0.98倍と減っています。大幅に増えたのは株主への配当と内部留保です。一方、民間信用調査会社の調査では、法的整理による企業倒産が増えており、そのほとんどが中小企業です。
 小泉内閣が最初につくった「骨太の方針」(01年6月)は、「効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へ」とヒトと資本を移動することにより、経済成長を生み出すとうたいました。リストラすればするほど減税をする「産業再生」法を拡充、製造現場への労働者派遣を解禁しました。結果、「成長」したのは、輸出大企業や大銀行だけ。「不良債権」扱いされた中小企業は倒産に追い込まれ、大量の失業者が生まれ、正社員から賃金の安い非正規社員に置き換えが進められました。
 あまりにも、経済がゆがみ、国内経済を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった「構造改革」。「輸出は増加しているが、家計部門が伸び悩むなか、米国経済など海外リスクが顕在化した場合、景気は『厳しい局面も予想される』」(政府・ミニ経済白書/07年12月)と、懸念していたことが現実のものとなりました。
 
オリンピック招致より暮らしへ
都議会開会日―500人都庁前に
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 09年第1回定例都議会開会日の2月18日、都民連、東京社保協、東京地評の三団体は、昼休みに都議会前で開会日行動を行い、500人が参加しました。
 主催者を代表して東京地評伊藤潤一議長は「くらし、福祉、教育を充実させよう。7月の都議選で都民のための都政実現を」と呼びかけました。7団体より決意表明が行われました。都教組は「貧困を反映し都立高校入学希望者が3%、2千人以上増えている。都は二次募集の枠を広げろ」。東京民医連は「無料低額診療事業の申請に取組み、都に大田病院の申請を受理させた」。都生連は「この10年間、新築の都営住宅が作られていない。大量建設を」。年金者組合は「後期高齢者医療で10万人が保険料未納だ。高齢者施策を行え」。民青同盟は「派遣切り、雇い止めを許さない。オリンピックに9兆円使わず、青年に回せ」。梅ヶ丘病院の存続を求める家族と都民の会は「今議会に出される三小児病院廃止条例を廃案にしよう」。東京土建一般労組は「建設不況で40代の組合員が自殺した。都は生活に密着した仕事をして欲しい」。日本共産党の大山とも子都議が「石原知事のトップダウン事業を行き行き詰まっている。五輪より福祉・暮しをとの声を広げよう」と連帯の挨拶を行いました。最後に参加者全員で都知事に対して要求をシュプレヒコールし、個人請願を行いました。
 
都と議会各会派要請
教育への負担・学費免除で
くらしの不安過去最高!
IMAGE  雇用不安や長引く不況の中で、そのしわ寄せは大人だけでなく、子どもたちにも大きくのしかかっています。この時期、高校入試が始まり、中学3年生はその合否結果に不安を募らせています。
 先日、新婦人都本部は都知事、都議会各会派に最優先課題として東京都で給付型の奨学金制度をつくってほしいと要請行動をしました。給付型奨学金は千葉市、横浜市、川崎市、京都市などいくつもの自治体で実施されています。オリンピック招致に莫大な予算を組むことができる東京都ならできないはずがないと思います。お会いした議員さんはみなさん、口々に「子どもは大切に」とは言いますが、では具体的行動はというとスローガンばかりで実効性を感じられませんでした。共産党は実態に耳をかたむけ、今議会に奨学金の条例をつくる提案をしているとのことでした。
 私の周りを見わたしても、高校在学中なのに夫が定年退職し、何も言っていないのに親の心配を先取り「私、修学旅行いけないんでしょう!」という娘。子どもが私立に通っている母子家庭では加算がなくなりキュウキュウしている。先日の都立高校入試で「結果が思わしくない。ダメだった時の事を考えて私立高校を決めてはいるが、3年間の授業料など考えると本音は都立に行って欲しい。子どもにはかわいそうだが都立の2次募集を受けてもらいたい」と。我が子も都立に落ちて私立高に行ったが、入学と同時期に夫は病気で一年間病休。息子は都立に落ちたことを本当に申し訳なさそうにして、親として息子の気持ちを思うとせつなかった。傷病手当金と貯金を切り崩してなんとかしのいだ。私学助成は前年度の収入で決まるので、とても大変でした。
 親は経済的理由で子どもに心の負担をかけたくない。子どもが望む進路に進んでもらいたい。しかしそれを困難にしているのが今の社会状況です。親の経済状況で子どもの夢が断ち切れることがないように、それに手を差し伸べるのが国や自治体の役割ではないだろうか。
 親の貧困が次世代の貧困を生むようなことのないよう、子どもたちの『今』を支える制度を是非行政は考えて欲しい。夏の都議選は主権者として行動するチャンス、まわりのたくさんの子どもたちや親たちと一緒に、『オリンピックより子どもの未来を!』かけて取り組みたい。【新日本婦人の会杉並支部・中村ひろみ】
 
3小児病院廃止を撤回し
地域で拡充・充実を
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都立3小児病院廃止条例撤廃を求める守る会の人々=09年2月18日、都庁前
 東京都は、2月からの都議会に都立清瀬小児、八王子、梅ヶ丘病院の3小児病院の廃止条例案を提出しました。都は廃止条例を、地域住民に廃止を周知徹底と職員確保をあげています。しかし、都議会議員選挙もあり、都民の「廃止」反対の声が広がることを恐れて、前倒しで廃止をし、選挙の争点にならないようにしようとするものです。
 また、小児総合医療センター(以下「小児センター」と呼ぶ)への医師・看護師の異動希望が少なく、あらたに職員確保をしなければならないためです。
 清瀬小児病院を守る会では、署名運動に取り組み16万筆をこえる署名を都議会・都知事に提出してきました。
 「守る会」が廃止計画の撤回を求めるのは、保健医療公社が経営する多摩北部医療センターを小児救急の受け皿にすると言っていますが、当初予定の医師が集まらず2名で診療し、二次救急は清瀬小児病院に搬送している始末で、小児救急の受け皿になっていないからです。
 八王子小児病院の廃止は、八王子地域の小児医療の今後が定まっていないのに、廃止だけが既存の事実のように先行しています。
 八王子で唯一の小児専門病院がなくなることは、八王子小児病院の9床の新生児集中治療室(NICU)が満員で都内まで搬送される例があるのにゼロ床になり、さらに悪化することになります。
 一ヵ所に大規模病院をつくり他の小児病院を地域からなくすことは、子どもたちの治療権を奪い、生命の危機をもたらすものです。市内で移転し、総合周産期母子医療センターとして体制を拡充していくことが、現在焦眉の課題になっている母・子の命と健康を守る最良の政策ではないでしょうか。

心の病を治すのは
手厚い医療スタッフと地域住民の理解があってこそ

 子ども専門の精神障害病床は全国に約1千床あまりでその4分の1が梅ヶ丘病院にあります。特に発達障害を抱える子供たちにとって、自然の中で遊び生活し、地域と交流しながら様々な体験をすることで、コミュニケーション能力を高め、社会的なルールを学び、社会生活できる力を身に付けていけるのです。小児センターの様に高いビルの中に隔離された入院生活ではそれらを行うことは不可能です。心の病や発達障害に対する社会の差別的な意識は残念なことにまだ根強くあるのが現実です。梅ヶ丘病院は、半世紀以上の歴史の中で近隣社会に溶け込み、社会復帰訓練としてのアルバイトを受け入れるなど、地域の温かい目や理解して下さる高い意識に支えられています。
 
無料低額診療事業の拡大を
病院の受診できず死に至る事態が広がる
 自公政権による構造改革路線のもとで、いま、日本社会は貧困と格差が大きく広がり、一方、社会保障費の毎年2200億円の削減政策もかさなり、必要な医療が受けられず病気が悪化し、死に至る人まで生まれています。全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は全国調査をもとに、2008年1年間で、全国の民医連の病院や診療所が関わった患者さんの中で、国民健康保険証の取り上げなどが原因で亡くなられた死亡した方が31名に上ったと発表しました。片やトヨタやキャノンなど大企業が未曾有の内部留保ためこみを行う一方で、病院への受診もできずに死に至るという痛ましい事態が広がっています。
 日本には、社会福祉法(旧社会福祉事業法)に基づき経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されないようにすることを目的にした「無料低額診療事業」という制度が1951年よりあります。しかし、1980年代後半以来政府は、「社会情勢等の変化に伴い、必要性が薄らいでいる」として、新規事業開始の抑制方針をとってきましたが、昨年9月の小池晃参議院議員の質問に対して「低所得者等に対する必要な医療を確保する上で重要」と事業の重要性を認める答弁をおこないました。この答弁を一つのきっかけにして、全国的にこの事業に新規に取り組むところが増えています。
 東京民医連でも、この制度の条件(別掲)を満たす病院・診療所や老健施設が、この事業に取り組もうと東京都と懇談をはじめています。しかし、東京都は、この事業の拡大に否定的であり、「申請しない」ような働きかけが行われています。このような都の対応の中でも、粘り強い交渉と自治体の協力などにより、申請を受理する方向も生まれてきています。引き続き、私たちは「無料低額診療事業」の拡大を目指して地域のみなさんとともに東京都に働きかけていくとともに、社会保障制度を充実させる都政実現をめざしていきたいと思います。【東京民医連事務局次長・河内光久】

《解説》
 「無料低額診療事業」は、生活に困っている人が無料または低額の自己負担で診療を受けられる制度。都道府県などが社会福祉法に基づいて医療機関を認可。指定病院は医療費自己負担分を無料または、低額で診療する代わりに、法人税や固定資産税が減免される制度。制度の利用者が全患者数の10%以上であることが認可条件。
 
都営住宅なぜ建てないの
都生連が現地バスツアー
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46階建て高層高級マンションが建つ団地=港区・南青山1丁目、09年3月7日
 10年間に都営住宅新築一軒も建てない石原都政の現場を見てみようと、3月7日午後、四つの都営住宅団地をバス2台75人が見学しました。
 はじめは、都庁近くの角筈団地、168戸あった1万平方メートルは2年前から空き地のままです。
 二つ目は、同じく1万平方メートルの南青山一丁目団地は5階建てを14階にして、半分の土地を企業に貸付、そこには46階の超高層マンションが建ち、月額賃料30万円から300万円超高級マンションとなっています。
 三つ目の、北区西が丘団地は、建て替えて251戸から517戸の2倍の戸数になったが、単身者は1DKの一部屋。ベランダ側から見ても今までの3DKを二部屋に区切った、見るからに狭そうな間取りとなっています。
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他の都営住宅に転居させた背景に新宿高層ビル群見える都営住宅跡地=新宿区・角筈、09年3月7日
 四つ目の港区港南団地の敷地は3万4千平方メートル。約半分は空き部屋、3分の1の土地に829戸の民間分譲住宅が昨年完成しています。
 三つの土地代が年八億円と言う都市整備局労働者の説明にビックリ。昨年11月、1千504戸の募集に5万3736人の35.7倍、南青山は1千101倍。「何回申し込んでも当たらない」「息子に子が二人いる。どこでもいいから入れてあげたい」都政への怒りが爆発したツアーでした。
 
革新都政の会
「臨時総会」「団体地域代表者会議」
◆日 時: 4月18日(土) 午後1時00分開会
「団体・地域代表者会議」 同1時30分より
◆会 場: ラパスホール(東京労働会館7F)
JR「大塚駅」、地下鉄「新大塚駅」下車徒歩7分
◆臨時総会議題: ○役員体制について
◆代表者会議内容: ○情勢と具体的行動の提起
○「都政問題」の講演
○各分野からの発言
 
青い空
 都知事石原氏の「信長好き」はよく知られている。近著「私の好きな日本人」でも「私にとっていかにも好ましい先人たちは、実は形を変えて私自身の内に生きているともいえる」と紹介しているほどだ▼対極にある「信長ぎらい」はなんといっても藤沢周平氏だろう。氏の明智光秀を主人公にした「逆軍の旗」で描く信長像は、自分の外に少しでも「権力」が存在することをどうしても許せない「凶暴な独裁者」というすさまじいものだ▼石原氏は信長を、歴史を変えた本能的合理主義者として氏自身の美学と重ね合わせる。しかし藤沢氏は信長の殺戮を無力なものを殺す行為を支える思想や使命感を持っていたと思われるところが厄介で、権力者にこういう出方をされては、庶民はたまったものではないと切り捨てる▼藤沢氏の「信長ぎらい」は筋金入りで、時代を現に戻し「我々は民意を汲むことに努め無力なものを虐げたりしない、我々よりは少し賢い政府、指導者の舵取りで暮したいものだ。安易に強面の英雄を求めたりするととんでもないババを引き当てる可能性がある」と警鐘を鳴らす。信長の先見性、行動力に惹かれる人も、氏がいう「信長」を石原氏に変えてみればさもありなんとうなずくに違いない。(駒)
 
 
 
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