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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2009年1月15日発行 |
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浜離宮恩賜庭園「潮入りの池」 |
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いのち、暮らし、医療、教育、営業守る
自治体本来の役割発揮する
都民が主人公の新しい東京へ
代表世話人(東京都教職員組合委員長)
中山 伸
だれもが大切にされる政治と社会を!21世紀の9年目は、悪政と対峙し新しい時代をめざす激しいせめぎ合いの中で迎えました。
労働者の大量解雇、後期高齢者医療制度、社会保障制度の切り捨てなど貧困と格差を拡大する過酷で無策な政治に国民のなかから怨嗟の声が一斉に上がっています。
そして、麻生自公の末期的症状は自民党政治を終焉へ向かわせ、国民的反撃と社会的連帯のたたかいが力強く広がっています。
都政も変えましょう!都民が金融危機と景気悪化のあらしで塗炭の苦しみ味わっているのに新銀行東京へ湯水のように税金を注ぎ込み、オリンピックをテコにした大型開発と無駄使いをすすめる石原都政に都民の批判が高まっています。石原知事の発言と暴走に対する責任を問う声も日増しに強まっています。
都民のいのち、暮らし、医療、教育、営業を守る自治体本来の役割を発揮する都政に変えましょう。それは、憲法をすみずみまで生かす都政です。
いま、新銀行東京をはじめ石原都政の施策は次々と破綻し、石原都政は「黄昏の季節」を迎えています。都民が主人公の新しい都政へみんなでつくりかえましょう。
2009年は、都議選の年。7ヵ月後に迫った都議会議員選挙で、都民無視・大型開発優先の都政を転換させましょう。そして、次期都知事選挙へむけて都民が主人公の新しい東京をめざす世論のうねりを大きくしようではありませんか。 |
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年頭の決意
要求実現と都民運動で新たなうねりが広がる |
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くらしと雇用、営業守るため全力をつくす決意
吉田 信夫
日本共産党 都議団幹事長
革新都政をつくる会に結集されている諸団体のみなさん、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、後期高齢者医療制度の廃止を求めるたたかいや、30人学級実現の署名運動の広がりなど、都民運動が新たなうねりが広がりがました。
新年にあたり、みなさんと力をあわせ、都民のくらしと雇用、営業を守るために全力をつくす決意を新たにしています。
アメリカ発の金融危機に端を発した景気悪化のもとで、非正規労働者の大量解雇の嵐が吹き荒れ、中小企業も資金繰りと下請けいじめに直面しています。
それだけに東京都がこうした局面にどう対応するのか、都議会がどう対応するのかが、これまで以上に鋭く問われています。
わが党はこれまでも強調してきましたが、いまこそ都が自治体本来の役割りを発揮し、都民のくらしや営業を守るための手だてを都政の最優先課題としてとりくむことが求められており、その転換のために全力をつくします。
景気悪化による税収減が言われていますが、都税収入はバブル崩壊後の落ち込んだ時期より1兆円規模でうわまわっています。オリンピック基金3千億円、社会資本整備基金4千億円をはじめ1兆6千億円におよぶため込み、無利子貸付金の返済などもあります。
石原知事は年頭の職員へのあいさつで、都政の今年の重点課題を新銀行東京の建て直しとオリンピック招致の2点をあげました。くらしの危機が広がっているとき、こうした浪費拡大路線は、これまで以上に都民からの厳しい批判を浴びることは明らかです。
昨年東京都に寄せられた声に「行政がなすべき最小限の仕事をやらずして、オリンピックに金を使うのは賛成できません」という声がありました。1メートル1億円の外かん道路計画をはじめ、くらし優先の立場から立ち止まった再検討するときにあると思います。
わが党は、これまでも中学3年生までの医療費無料化条例の提案など、積極的提案で都民要望実現のために努力してきましたが、今年も都民の切実な声を政策提案に積極的に生かしていく決意です。
またわが党の調査で、海外調査の浪費や報告書の盗用などの実態が明らかになり、都民のみなさんから批判があがっています。中止し全面的に再検討を求めていきたいと思います。
今年は総選挙とともに都議選の年となります。都民のみなさんの期待にこたえる前進がかちとられるよう全力をつくします。 |
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これ以上税金つぎ込み許せない 新銀行から撤退を
西村 冨佐多
東京商工団体連合会会長
2008年11月に東京都がまとめた調査結果は、都内中小企業の景気状況が急激に落ち込み、この10年で最も厳しい水準であることが報告されています。悪政を原因とした極端な仕事不足と資金難は中小零細企業の営業とくらしを窮地に追い込んでいます。東京都が1400億円を出資した新銀行東京は9月中間決算で70億円の赤字を計上し、これまでに出資金の大半を棄損しました。さらに不良債権を積み増し、貸出し額は減少の一途です。
石原知事は、都議会所信表明で突然「零細企業支援」が設立目的であったとの理屈を持ち出し、あたかも零細企業支援が破綻の原因であるかのような卑怯な論理のすりかえをしてきました。では「零細企業への貸し出しがどれくらいあるのか」の質問には答えられず、逆に中小企業向けへの融資が減少していることを明らかにしています。石原知事が銀行設立時の台詞は「この銀行は町の魚屋や八百屋には金は貸さないよ。どのみち商店街はなくなるんだから」でした。営業を開始した直後の銀行員は零細企業の融資要求に「フランス料理の店に来てラーメンを注文されても困ります」という極めて不遜なものでした。
私たちはこの仕打ちを忘れていません。この銀行はとっくに破綻していることは明瞭です。破綻の原因は何か。石原知事は専ら旧経営陣に責任を押し付けていますが、金融庁の検査では過大な融資目標設定に「都の関与に問題があった」と指摘しています。銀行は東京都の押し付けた融資目標に困惑しつつも、目標達成に向かって暴走をはじめました。
この隙を突いて発生したのが「口利き」です。新銀行への「口利き」リストがマスコミに出回っており自民、公明、民主、生活者ネットの都議会議員、知事側近、国会議員の名前まで出ているそうです。融資の実態は、すでに倒産している会社、融資実行の翌日には事務所が跡形も無くなっていた会社、など「口利き」と暴走の乱脈経営の結果であり、破綻は必然であったと云わざるをえません。
これ以上石原知事の道楽と見栄に都民の税金をつぎ込むことは許せません。速やかに銀行からの撤退を求めます。別名「石原銀行」といわれる石原知事のトップダウンで設立した銀行です。
石原知事の責任も明確にすることは勿論のこと、都議会の責任も問われて当然です。来るべき都議会議員選挙において厳しく都民の審判を下さなければなりません。 |
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1千2百万都民の台所 築地市場を守り発展させる
羽根川 信
全労連・全国一般
東京地本東京中央市場労働組合執行委員長
昨年、サブプライムローンの焦げ付きに端を発したアメリカ経済の凋落は、「構造改革」「規制緩和」にもとづく新自由主義経済が崩壊の一途をたどり、米証券大手リーマンブラザースの破綻により一気に世界的金融危機へと突入しました。
国内でも小泉内閣以来強行されてきた「新自由主義」路線にもとづく「構造改革」「規制緩和」は、雇用と賃金を破壊し、社会保障・税制度を改悪し、徹底して労働者・国民・都民に負担を強い、大企業とアメリカの要求に応え「格差と貧困」を拡大してきたわけです。いま、この「規制緩和」のツケが、あらゆるところで起きています。汚染米の問題、派遣労働者の問題、金融危機も根底は同じです。
築地市場の豊洲移転計画、「豊洲新市場計画」は、単に築地市場が老朽化した、手狭になったから移転するということではないのです。農林水産省の「規制緩和」政策にもとづく卸売市場制度の見直し、公共市場つぶしであり、日本産業協会(JAPIC)を中心とした築地市場の跡地売却を狙う利権集団による大規模開発の一環であり、農林水産省と東京都が表裏一体となり、なりふり構わず進めてきているわけです。
今年、「築地市場移転問題」は、大きな山場、詰めの段階に入っています。
日本共産党笠井亮衆議院議員の「質問主意書」、衆議院外務委員会での質疑、日本共産党都議団・中央区議団の奮闘で、議会での様相は一変してきています。
「豊洲新市場計画」は、頓挫に向けて一直線です。
業界紙(日刊「食料新聞」)の元旦号では、「豊洲新市場計画に立ちはだかる壁」〜市場流通にとっても大きな懸案である築地市場の再整備が、今年は大きな試練に立たされることになりそうだ。1月の東卸理事選から始まると思われる都議選・総選挙の「トリプル選挙」の洗礼を受けるのは確実で、さらに土壌汚染対策法の改正問題も、大きく降りかかってきかねない〜と、報じています。
年頭にあたり、私たち「東京中央市場労働組合」は、「規制緩和」に反対し、「豊洲新市場計画」を完全な中止に追い込み、市場労働者の生活と権利、・雇用を守り、中小・零細仲卸の役割を重視した民主的な卸市場制度の確立、1200万都民の台所・築地市場を守り発展させるために奮闘する決意です。 |
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30人学級すべての学校に どの子も夢が描ける教育環境を
石澤 智恵子
30人学級を東京のすべての学校に実現する連絡会(新婦人八王子支部)
新春の引き締まる空、気づくと窓の外のミモザが一段とあたたかい鮮やかさを増し、寒い寒いと縮こまっている間にも、花たちはしっかり準備をしています。
私は、小学1年生、3年生、5年生の子どもを持つ母です。「大勢の中で揉まれた方が強い人間になるよ」30人学級の実施を求める署名を集めているとき、そう言われたこともあります。以前は私もそう思っていました。しかし、長男が3年生のときに、崩れる学級を目のあたりにし、なすすべなくいた私は教育環境の大切さ、人のつながりの大切さを痛感しました。強い人間が育つ環境とはいったいなんだろう。大勢の中で本当の強さは育つのだろうか。与えられた環境を疑うこともなかった私は、東京都以外の各道府県では少人数学級を始め、また世界では25人以下学級のところもあると知り驚きました。学力アップのために少人数クラスの塾に通う「競争」と「格差」の教育が当たり前のようになっている東京都の教育環境の違い。「学力低下」、「学級崩壊」次々に不安になる状況に、遅れずについていくのが精一杯。本当にこのままでいいのだろうか。
「オリンピックを通じて子どもたちが豊かな心を育めるような取り組みを進める」という一方で、「オリンピックは3兆円儲かるとの石原都知事の発言もありがっかりしました。本当に子どもたちに眼差しを向けているのだろうか。どんな環境でも揺るがないしっかりした根をはぐくむことができるよう、「儲け」ではなくどの子も夢が描けるような環境づくりこそ第一に考えてほしい。一緒に遊ぶ子どもたちの輝く目を前にしたら、このまま見てみぬ振りはできないな。私に諦めずに伝え続けてくれたように、私も伝えていこう。疑問は関心に、そして希望につながる。子どもたちはどんどん吸収し成長していく。
花が開く瞬間はいつでも近くにある。「30人学級をすべての学校に」実現に向けて心をこめて伝えていきたい。いつどこにどんな花が咲くか、ワクワクしながら希望の種を蒔き続けよう。 |
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五輪憲章=スポーツは人権=@歪んだスポーツ行政転換を
井上 宣
新日本スポーツ連盟東京都連盟事務局長
2008年は、「スポーツは権利」と宣言したユネスコ体育・スポーツ国際憲章の30周年の年でした。2009年は、東京都において、スポーツを権利として発展させるのか、それとも、一部の人だけのものでよいとしてしまうのか、鋭く問われる一年となるでしょう。10月には、2016年のオリンピック競技大会の開催都市が決定されます。また、都議選や総選挙が行われる一年でもあります。
新日本スポーツ連盟は、40年以上に及ぶ取り組みにおいて、従前のスポーツ大会などが、一部の団体の独占物となっていたことや、一部の選抜選手だけが脚光を浴びる方式で行われていたこと、あるいは無謀な大開発の促進に利用されてきたことなどに異を唱えてきました。部活動でレギュラーになれない子どもたちも出場できる大会や、中高年でも「主人公」になれる年齢別の大会、劣悪な労働環境のもとでも気軽に参加できるように門戸を広いた大会など、愛好者が「こういう大会が欲しかった」という大会を、愛好者自身の手で作ってきたのです。
私たちが公共スポーツ施設の充実を求めるのは、このようなスポーツ要求を実現するためには、住民に公平に解放される公共スポーツ施設が、その保障となるにも関わらず、不足しているからです。都は近年、財政難を理由に、施設充実という都の責任を放棄してきました。このような姿勢が、労働環境の悪化などと相まって、都民のスポーツ実施率の低下に現実につながっているのです。
都がオリンピック招致に名乗りを上げたことによって、東京のスポーツ関係者の中には、スポーツ行政の転換を期待した人もいるでしょう。ところが、都は、スポーツ実施率を上げる手だてを具体的には持たず、ウォーキング、ランニングなどのブームに期待し、都民は、施設が必要ないスポーツをすればよいという見解まで述べています。
東京都は、オリンピック憲章が、その根本原則において「スポーツは人権である」と述べていることを真剣に受け止めるべきです。
まず、真っ先に、自らの歪んだスポーツ行政を転換する必要があることに気がつくはずです。私たちは、この一年を、「真にスポーツに光があたる東京を、私たちの手でつかみ取るチャンスの一年」として、捉えていきたいと思います。 |
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平成基礎科学財団をつくろうと思った2002年9月ころ、マスメディアで国立大学の独立行政法人化が取り上げられていました。ぼくは、独立行政法人化に反対するつもりはなかったのですが、心配な点もありました。
独立法人になれば、財政は独立採算制になります。応用科学を担う工学部や農学部、薬学部などは目に見えた成果があがりやすく、産学協同で進められるためお金の心配は少ない。ところが、例えば文学部や理学部などは冷飯を食わされてしまわないか。こうした基礎科学分野は、産業界からのまとまった支援が期待できないのが実情です。
そこで、若い人たちに基礎科学の面白さがわかる教育を普及しようと、この財団を立ち上げました。
理科好きを理科嫌いにさせない
財団では、高校生と大学生を対象に「楽しむ科学教室」を開いています。これは、一人ひとりが個人として申し込まなければ受け付けないという方針をとっています。例えば、学校の先生がまとめて何人といった形は認めません。一人ひとりがやる気になっていないとだめだということです。
近年、子どもの理科離れが言われていますが、ぼくは若い人全部が理科をやらなければいけないとは思いません。音楽や絵、文学に喜びを感じる子どもがいていいわけですよね。本来なら理科好きになれる素養を持った子どもたちが、教え方などで理科嫌いにさせられてしまっていることが問題です。
自分の経験で言っても、小学校5、6年から中学校くらいのとき、生きがいを持って自分自身が楽しみながら教える先生に出会えるかどうかなんだと思います。
成果見えにくい基礎科学
今年のノーベル賞を受賞した人たちは研究から受賞まで30年とか50年かかっています。その国の基礎科学は、その国がどういう計画で行うのかを決めなければなりません。ところが、これを決めるのは難しいことです。
スーパーカミオカンデをつくるためには100億円が必要でした。文部科学省は、当初はまったくやる気がありませんでした。
ぼくは世界のノーベル物理学賞の歴代受賞者に手紙を書いたんですね。「スーパーカミオカンデをつくりたいが、お金の面で難しい。この研究がいいと思ったら、東大総長宛に手紙を書いてほしい」
ぼくがお願いしたほとんどの人が手紙を書いてくれました。東大総長は「世界の学者たちがスーパーカミオカンデに大きな期待を寄せている」と、文部科学大臣に直訴してくれました。
どうしてもこれをやりたいと思ったら、それを実現させるためにあれこれ考えるのは当たり前だと思うんです。でも、それが楽しい。やりたいことをやっていると幸せを感じますね。
小柴 昌俊(こしば まさとし) プロフィール
1926年愛知県豊橋市生まれ。物理学者。1970年東京大学理学部教授。1974年高エネルギー物理学実験施設設立、施設長・センター長を務める。2002年「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献」によりノーベル物理学賞を受賞。素粒子物理学・宇宙線物理学の分野で多大な業績を上げた。日本学士院会員。2003年平成基礎科学財団を設立し理事長に就任し現在に至る。東京大学特別栄誉教授。 |
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「年齢でのいのちの差別は許さない!後期高齢者医療制度はきっぱり廃止を」の怒りの声が厚生労働省、国会へ、そして全国へ発信されました。
2008年12月14日、冷たい雨が降る寒いなか日比谷野外音楽堂に集まった5千人の参加者が赤い「いのち」のカードを掲げ、アピール「後期高齢者医療制度をきっぱり廃止させるまで共にがんばりましょう」を採択しました。 |
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「年齢でのいのちの差別は許さない!」と怒りの声=08年12月14日、日比谷野外音楽堂 |
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5千人が赤い「いのち」のカードを掲げアピール=08年12月14日、日比谷野外音楽堂 |
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おだやかな性質の羊に通うところなくもないと自らを評した加藤周一氏が亡くなった。加藤氏の精神史「羊の歌」は独文学者のNさんが私に引き合わせた。「君たちは身を引いて羊のように沈黙しようというのか、加藤周一さんに学べばいい」。1983年東京都知事選の候補者擁立で希望を失いかけていた私たちへのNさんの知的刺激をこめた叱責だ。加藤氏は「羊の歌」などの著作を通し「みずから退いて羊のようにおとなしい沈黙を守ろうと考えた時、いくさで殺された友人のことを思う」と発言していた▼いくさへの抑えがたい怒りを草し「羊の歌」を世に出した36年後、加藤氏は大江健三郎氏らとともに「9条の会」を設立した。戦争を謳歌する光景を眺め「孤独であった」加藤氏は降伏宣言の8月15日、「これから私は生き始めるだろう、私は歌いだしたかった」と述べている。加藤氏は戦後の初心である羊のような沈黙からの脱皮をここでも貫いたのだった▼「見たこともない風景」を予感させる2009年が明けた。大江氏は加藤氏の微笑とまなざしに引き寄せられ「地味な運動」の呼びかけ人になったという。加藤氏は「戦争」への反対を思考の原点に実践の営みを大事にした。37歳の私を見据えた加藤氏が「君も歌え」とささやいている。(駒) |
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