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都民がつくる革新都政
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2008年4月15日発行
「石原銀行」税金400億円投入――
自民・公明が賛成・可決
 経営難に陥っている新銀行東京に東京都が400億円を追加出資するする議案が3月28日、都議会本会議、3項目の付帯決議をつけたうえで記名投票による採決を行い、自民、公明の賛成多数(賛成67票、反対55票)で可決しました。

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「新銀行東京」本店が入る大手センタービル=千代田区・大手町
   追加出資を受け新銀行は「再建計画」で経営を大きく変えます。店舗を本店以外すべて閉鎖、行員も4分の1に削減、預金量を4280億円(昨年9月期)から200億円に圧縮するなど経営規模を縮小。業務純益は08年度のマイナス70億円を11年度に8億円に転換させるとしています。
  また、同行の看板商品で、企業の財務データーから自動的に融資を決める「無担保、無保証融資」は原則中止し、融資先は返済能力に問題ない企業に特化する。都の公共工事を受注した業者への工事完成代金の前倒し融資も強化し、経営安定をはかるとしています。
  こうした内容は、中小企業支援の理念が薄れることで銀行の存在意義がなくなり、公共工事に絡めた融資は、「民業圧迫」ともなり、「経営規模を減らして収益が増やせるのか」と、専門家の多くからも疑問の声があがっています。
  400億円追加出資のほとんどは、リスクの高いファンド事業などをすすめるために使われることも明らかになり、このような銀行を存続させる意義はまったくありません。
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「新銀行東京」への400億円追加出資議案撤回の申入れ行う都政の会の代表=3月19日都庁
 累積赤字を相殺するために新銀行が減資(*)をすれば、すでに都が出資している1千億円の毀損が確定する。さらに400億円の追加出資も、見立て違いや景気動向によって不良債権が拡大した場合、新たな赤字補填にあてられる可能性があります。1千億円に加え、400億円を失う事態になれば、都民1世帯あたり約2万3千円の損失となります。
 あらためて、追加出資をやめ、銀行業からすみやかに撤退することを求めるものです。また、石原知事自らが選挙公約に掲げて設立し、都が84%の出資をした事実上の都の公設銀行です。こうした自らの責任を知らぬそぶりをして旧経営陣に責任を転嫁する石原知事の言動は許させるものでなく、その責任を取るべきです。

税金投入 都民もマスコミもこぞって反対
IMAGE 都庁に寄せられた1千件を超える都民の声では、追加出資反対が圧倒的に多数。マスコミ各紙でも、「『石原銀行』幕を閉じる時だ」(『日経』)、「店じまいを前提に少しでも軽い損失で済む撤退策を探る方がいい」(『読売』)など、新銀行東京の存続そのものに反対する論調が目立ちました。まさに、新銀行への税金投入は、こうした世論へ背を向けるものです。
 
*減資
  資本を減らすことで、実質的減資と名目的減資とがある。
  前者は資本減少額を実際に株主に返す減資で、たとえば事業経営上資本額が大き過ぎ、遊休施設を抱えているようなときに行われる。
  後者は株主に何も返さずに資本金だけを減らすもので、災害や事業不振などで会社が多額の損失を被るとか、赤字が累積したような場合に行われる。なお、減資には株式の額面金額の減少による場合と株式数の減少による場合、いずれも伴わない単なる資本減少とがある。
  減資には100%減資もある。100%減資といっても資本金がゼロになるわけではない。減資と同時に増資をし会社を継続させなければならない。
 
どの子も大切に
だから30人学級を

 「先生、私、このごろ勉強にやる気が出てきたんだよ。私、五年生のときまで時計が読めなかったの。わかると楽しいね!」六年生になって、わかる喜びを先生にそっと話す子ども。けなげに頑張る姿が目に浮かびます。子どもは、大人に丸ごと認めてもらい受け入れてもらってこそ、すくすくと伸びていきます。教職員は子どもたちの願いに応えて困難な中でもがんばっています。しかし、東京の学校では、「受け入れたい」と思っても、子どもとじっくり向き合い、子どもの声を聞く時間すらないという深刻な状況が広がっています。石原都政の10年。子どものための教育を行う環境が奪われ、競争と管理強化、多忙化政策で精神的に追い込まれて、休職や退職、自殺に追い込まれる教職員が激増しています。30人学級の実現は、子どもと教育のためにも、教職員のいのちを守るためにも待ったなしの課題です。今年度、この切実な要求実現のために都教組は全力でたたかいます。
  東京の教育がどう変えられているのか、その実態を教職員と父母、地域に皆さんが膝を交えて話し合う教育懇談会のとりくみを全都のすべての中学校区ですすめたいと思います。40人学級のすし詰めの実態を知ってもらい、30人学級になれば何が変わるのかをていねいに話し合うことを大切にします。また、新しい学習指導要領が子どもたちをできる子とできない子に振り分けて、ますます深刻な「二極分化」をすすめる内容になっていることなどを学習しあいます。
  「東京で30人学級の実現を求める署名」のとりくみをゆきとどいた教育を願うすべての人と手を結んで、東京中に広げます。四月末には、署名用紙が皆さんの手もとに届きます。「新銀行東京への400億円追加出資より30人学級を」「子どもたちの笑顔輝く学校を」の声を署名に託し、石原都政を包囲する大運動にしたいと思います。「どの子も大切に」を合言葉に、考え方や立場を超えた広範な人たちと共に語り合い署名を広げましょう。駅頭やスーパー前で、「子どもたちにゆきとどいた教育を」の大宣伝をすすめましょう。都教組は全力で奮闘する決意です。【東京都教職員組合・山崎 忠彦】

 
都政と人権
子育て世代にも格差と貧困が
出産費用払えず病院から立ち去る

  いま、貧困は、政策(国家が人為的に)によってつくり出されています。がんばらないと“ああなってしまうぞ”と個人・自己責任論にしており、憲法13条=個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重(人間らしく生きる権利)がまさに打ち砕かれている結果です。
  憲法は、人間の精神活動(教育・民主主義)には国家が介入しない、一方、人間の経済活動には国家が介入し、人間として生きる条件=生存権の保障をうたっているのです。


 子育て世代に格差と貧困が拡がる中、子育てへの経済的支援への願いは切実です。なかでも、子どもの医療費無料化とならんで母子の健康を守る妊婦健診への公費助成拡充の要求は切実です。
  多摩地域のある市では、出産できる医療機関がわずか2カ所。10年間で「かけこみ出産」(健診を一度も受けずに出産)が41件。そのうち4人が死産、11人が出産費用を払えずに病院から立ち去ったというショッキングな話しも。
  厚労省は、「妊婦健診は14回程度が望ましいが最低でも5回必要」と昨年1月に各自治体に通知しています。この通知も力に各自治体へ妊婦健診公費助成の充実を求めて要請や請願など運動をすすめてきました。その結果4月から23区中21区で14回程度の公費助成が実現。一方で、多摩地区では5回までの公費助成にとどまり、子どもの医療費無料に続き、多摩地域と23区の格差が拡がってしまいました。
  都本部は2月15日、都へ、「どこでも無料で妊婦健診を受けられるように」と財政支援を要請。都は、「妊婦健診の実施主体は区市町村。都としては財政的な助成はしていない。最低5回は公費負担するように各自治体に指導している」と回答。「都の財政が厳しいということは通用しない。破たんした新銀行東京に400億円も追加出資も決めた。妊婦健診14回助成(都が2分の1負担)は、わずか50億円で実現可能。オリンピック・大型開発に湯水のように税金を使う一方で、医療や福祉に予算を増やせないのは納得できない」と怒りでいっぱいに。続く「3・3ひなまつり行動」で、都議会各会派へ「妊婦健診を都の制度で無料に!子どもの医療費を中3まで早く無料に!」「都立高校への授業料の値上げ中止を」と訴えましたが、自・公・民の対応は冷たく、葛飾や小金井支部などでは地元都議への要請も行っています。
  新婦人の「妊婦健診アンケート」でも「健診に行ったらお金が足りずあわてて銀行に行った」「費用が高いので出産を考えてしまう」「どこに住んでも無料になったら安心」などの声が寄せられています。受診にかかった総額は、「10〜15万未満」、最も高かったときの健診費用は「1万2千円〜2万円」という答えが多数でした。「妊婦健診を受けない理由」に経済的な負担をあげる人もいました。安心して子育てできる東京実現のため、「妊婦健診14回公費助成、中3までの子どもの医療費無料化、30人学級」など要求実現の運動をさらに拡げていきます。【新婦人都本部・油原 通江】
 
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後期高齢者医療制度
家族関係破壊先導するもの
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 後期高齢者医療制度導入が始まった日の4月1日夕方、西国分寺駅頭宣伝で、高齢者=人間を差別する医療制度の中止・撤回を求める宣伝を行いました。仕事帰りや買い物帰りの高齢者の殆どがビラを受け取り、手にしながら、怒りの声を交々語ろうとしました。
  「本当に年寄りはいらないということか、まるで姥捨て山その通りだよ。年金25年かけて月8万円だよ。介護保険料7千円天引きのうえ。また6千円天引きかよ」(75才の男性)。
  「私は70才になるのが楽しみだった。いまの3割負担が1割になるからと。それが2割とは。マル福もないし」(69歳の女性)。
  「こんなのいつ、誰が決めたんだ。反対しても無理なんじゃないか」(80才の女性)と。でも野党4党で廃止法案を国会に提出していることを知らせると「頑張って下さい」と。
  市内宣伝を聞いた83才の男性がわざわざ家から出てきて「怒り心頭に達している!私は足腰悪いので3・23東京大集会(後期高齢制度中止・撤回求める)にいけないが、路地裏もくまなく宣伝してみんなに知らしてくれ」と。
◆ ◇ ◆ ◇
  国分寺市の6人の老人会の会長が独自に「中止・撤回」国会請願署名をはじめました。
  請願趣旨は、「いずれ年をとれば保険の世話になると思えばこそ、ほとんど医者にかかることのなかった若い頃も払い続けてきました。にもかかわらず、歳をとったからと言って切り離して別組織されるのは誠に理不尽であります。
  75歳以上になると扶養家族として認めないとする制度は家族関係の破壊を先導することになりかねません。保険証の取り上げを認めるなど福祉の精神が欠落しており、今後保険料の引き上げや高齢者医療の制限など、更なる改悪が懸念されています。喜寿・米寿を迎えた人に心から『おめでとう』と言えなくなるような医療制度を認めることは出来ません」との内容です。
  また、地区医師会のK会長は、「この制度は問題だ。医師会全体では意思表示できないが、個人的には反対だ」と表明しています。またT医師は「保険医協会は制度反対で活動している。待合室に署名を置くので、署名用紙が欲しい」と、集約された署名を届けてくれています。【後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める国分寺の会・鈴木興造】
 
反貧困フェスタ
貧困の実態社会に伝え 解決に向けた合意へ
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「貧困をどう伝えるか」をテーマに開かれた反貧困フェスタ=3月29日、千代田区神田・一橋中
  3月29日(土)、反貧困フェスタ2008が千代田区立神田一橋中学校を会場に開催され、1600人が集いました。主催は、市民団体、労働組合、法律家、学者諸個人などがつくる反貧困ネットワークで、首都圏青年ユニオン、首都圏移住労働者ユニオン、全労連、全生連、自立生活サポートセンターもやい、連合・非正規労働センター、日本労働弁護団など90を超える団体が参加賛同しています。
  開会式で代表の宇都宮健児氏は「貧困とは何か、貧困の実態を社会に伝えることで解決にむけた合意へとすすめたい」と述べ、フェスタのメインテーマである「貧困をどう伝えるか」を学び交流しようと呼びかけました。フェスタは、午前10時から午後4時まで校庭と校舎をつかって、シンポジウム、講演会、労働・生活・医療相談、映画上映やコンサート、飲食コーナーなど盛りだくさんの内容でした。
  全労連・全労連青年部は「働き方向上計画〜労組・団交権の使い方〜」で参加。一人でも入れる地域労組の魅力や、組合員の意見を大切にする組合運営の心がけについて、初心者にも分かりやすいようにと寸劇を上演しました。一つめは、北海道で実際にあった食品会社でのパート首切り撤回闘争。豆腐を製造するいろは食品は正社員2人、パートさん7人の零細企業。ここでパートさんの雇い止めが発生し、地域労組「うのはなユニオン」に加入しての団交です。社長は、最初は大きな声を出して組合を威圧していたものの、残業代を払いたくないためパートの首切りを行なったことを思わず口にしてしまいます。また、小麦粉や重油の高騰会社の経営が厳しいことも出され、その場で解雇撤回、残業代支払いは次回団交に継続となりました。もう一つは、トヨタの下請で長く全労連に加盟している職場労組。全労連の春闘方針通り月16万円、時給千円の最賃協定を会社に求めましたが、組合員にパート労働者がいないため迫力に欠けてしまいます。そこで、パートさんを組合員に迎え入れて団交したものの、会社から「正社員賃上げなし、その原資でパートの賃金を上げる」との回答に、生活環境の違いから組合員の意見がわかれ、あらためて組合員どうしで話し合うことに。本音を出し合うことと団結することの問題提起を参加者に投げかけ終了。参加者からは「自分が困っていた時に地域労組の存在を知っていたらよかった」との感想もありました。
  また、「究極の貧困をどう伝えるか‐経済の貧困と関係の貧困と」との標題に興味をもち参加しました。内容は「ルポ最底辺」の著者の生田武志氏による大阪・釜が崎を中心とする野宿者さんの実態報告。特に、瀕死の重傷を負わせるような青少年による襲撃や、公有地からの排除により全く行き場を失うこと、劣悪な環境と栄養不足により世界有数の結核罹患率であることなど衝撃的な話しでした。
 
青い空
 「全国のガソリンスタンドで混乱が懸念されるほか、地方の予算にも大きな穴があく」福田首相の3月31日のセリフ。「野党が多数の参院で(ガソリン法案は)一日も審議されることなく誠に残念…」。いつものように野党のせいにした。4月1日、「泰山鳴動して鼠一匹」。「ねじれ国会」を乗り切るのは世論に基づく政治。国会解散で国民の信を問うべき▼その4月1日、官庁や企業などで入省式や入社式が行われ、不祥事のあったところではトップから反省や自戒の言葉が相次いだという。防衛省では、省に昇格して「輝かしい1年」になるはずだったのが不祥事と事故にまみれた。石破防衛相は「今日一日、自分が国家のために何をしたか、自己保身、責任転嫁はなかったか、胸に手を当てて考えてほしい」と訓示。よく言うよだ▼東京都は、新規採用職員1150人を対象に入都式。破綻している新銀行東京に400億円の追加出資を強行したばかり。石原知事は「銀行の問題で東京は苦労させられている。民間に任せたらこんな結果になっちゃった。自戒したが、民間を信用しすぎたらだめだ」と話したという。民間の問題ではない。自戒なら「自己保身、責任転嫁はなかったか、胸に手を当てて」だ。(高)
 
 
 
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