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都民がつくる革新都政
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2008年12月15日発行
異議あり!2016年石原「五輪」招致
革新都政の会が講演会
都市開発のための五輪に
基盤整備に9兆円

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革新都政をつくる会が開いた石原「五輪」招致をめぐる講演会=08年11月28日
 11月28日、革新都政をつくる会主催「異議あり!2016年石原『五輪』招致」講演会が開かれ、50団体から約130名の参加がありました。スポーツ社会学を専門とする内海和雄一橋大学教授、日本環境学会土壌汚染問題ワーキンググループ長の坂巻幸雄氏による講演に続き、松村友昭都議から都政報告がありました。

住民の福祉・環境と両立する五輪を
  内海氏は、「スポーツの普及は現代社会では広義の福祉の一貫である」とした上で、日本においては80年代以降、スポーツ行政は後退の一途をたどってきたと述べました。住民がスポーツを楽しめるよう基盤整備を行うのは国や自治体の責任であるにもかかわらず、東京都は過去10年間で都立の体育館を次々と閉館し、施設使用料を民間施設並みに値上げしてきたことを指摘しました。
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内海和雄氏
  また「オリンピックは、単なるスポーツイベントとしてではなく、大きな歴史的・社会的意義と影響を持つものとして、社会や歴史の中に位置づけて考えなければならない」と述べ、近年のオリンピックが参加者数、参加国数、競技数などからも肥大化の頂点に達している状況にあることを示しました。
  この間のオリンピック招致都市は、都市再開発の手段としてオリンピックを利用する傾向が強くなっていること、大会運営費や競技施設の整備費用は合計で3百億円ほどだったのに対し、インフラなどの整備には1兆円近い費用をかけた1964年の東京オリンピックは、都市開発のための五輪という流れを確定的にしたと述べました。
  今後のオリンピックは、インフラ整備で巨大な費用をかけるのではなく、大会後の住民の福祉や環境と両立する「持続可能なオリンピック」にしていく必要があり、住民投票で開催権の返上を決定したアメリカコロラド州の例を出しながら、五輪招致のあり方の市民的議論と運動を高める必要があると強調しました。

築地市場移転先汚染で危険
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坂巻幸雄氏
  坂巻氏は、築地市場の豊洲移転問題をめぐって「都市再開発にかける政財界の思惑が色濃く反映している」と批判しました。
  東京都は、神田青果市場跡地、汐留貨物駅跡地など、次々と大規模再開発をすすめ、築地市場移転はその延長にあること、移転先に選ばれた東京ガス製造工場跡地である豊洲埋立地には有毒物質が埋められていることを知りながら、東京都が土地を購入したことなどを指摘しました。
  07年の都知事選で石原氏は「五輪招致」を公約に掲げて築地市場の跡地にオリンピックのメディアセンターを建設する構想を打ち出し、オリンピックを口実にした築地市場の豊洲移転を強引に推し進めようとしました。ところが、豊洲の土壌汚染が明らかになり、調査が進めば進むほど深刻な状況であることが判明、土壌中から基準の4万3千倍ものベンゼン溶出量が確認された他、シアン化合物では最高860倍、地下水中ベンゼンでは最高1万倍の汚染地点も発見されました。その結果、東京都は08年10月末にオリンピックメディアセンターの建設予定地を築地市場跡地から東京ビッグサイトへと変更、当初の計画を断念せざるを得ませんでした。
  しかしながら東京都は築地市場移転とその跡地の再開発をあきらめたわけではなく、現在、非公開の「技術会議」を招集し、「汚染土の入れ替えと被汚染地下水のくみ上げ、汚染土の封じ込めができれば健康被害の恐れはない」とする答申を具体化するべく動いていると坂巻氏は述べました。そして多くの都民が引き続きこの問題を注目し続け、可能な形で活動に参加することが重要だとよびかけました。

公園内に施設つくり40haの緑つぶす計画
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松村友昭氏
  二つの講演につづいて、松村友昭都議が都政報告を行い、独自の試算をもとに、圏央道や外郭環状道路などのインフラ整備や、競技会場整備等にかかる費用はおよそ8兆9000億円にものぼることを告発しました。
  また、地震に弱い臨海部へ競技施設が集中している問題や、公園内に施設をつくり40ヘクタールもの緑をつぶす計画であること、盛り上がらない世論を喚起するための宣伝に莫大な費用を投じていることなどを指摘しました。
  松村都議は、新銀行東京の破綻や築地市場の豊洲移転問題、三宅島のオートバイレース、認証保育所の問題など、都政をゆがめるトップダウン政治の破たんは明らかであるとして、「都民のための都政をつくるために全力をつくしたい」と決意を述べると、会場から大きな拍手がおこりました。
 
都議会開会日行動に300人
五輪・新銀行への税金投入より
暮らしといのち守る都政を

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都議会開会日行動で「東京とは都民の生活を守れ」とシュプレヒコールをする参加者=08年12月3日
  都民要求実現全都連絡会、東京地評、東京社保協の3団体は、12月2日昼休みに都庁前にて都議会開会日行動を行いました。
  主催者を代表して伊藤潤一東京地評議長は「都が実施する2年間で延べ50万人の雇用創出対策は1年間にならして2千人にしかならない。新銀行やオリンピックには税金投入している。くらしといのち、中小業者の経営を守るためにがんばりましょう」と述べました。
  決意表明で、東京地評の永瀬登氏は「日本には公的な貧困ラインがなく、生活保護も切り下げが進んでいる。私たちが調査した首都圏の最低生計費は、20代単身者で23万円、高齢単身者で20万円だった。生活改善に向けて頑張ろう」、都立墨東病院を直営で存続させる会の安田茂雄氏は「脳内出血の女性が出産後亡くなるという痛ましい事件があった。病院は私たちの申し入れに対し、11月から2体制にし、1月4日まで同体制でのぞむと発表した。充実を求めている」、東商連の増村泰宏氏は「仕事がない、給料のめどが立たない、これまで経験したことのない異常事態になっている。税の滞納者にも融資をし、住民税、国保税の減免限度を引き下げて欲しい」、と訴えました。
  日本共産党都議団の曽根はじめ議員は「都は3兆円のため込みに手をつけようとしていない。いま都政に求められているのはあらゆる手段を尽くして都民の生活を守ることだ」と強調しました。
  終了後、全員で知事に対して個人請願をしました。
 
子どもを直撃する
貧困と格差
  構造改革によってもたらされた貧困と格差のひろがりは、働くものやお年寄りの生活を苦しめるだけでなく、未来の担い手である子どもたちを直撃しています。
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「30人学級を東京のすべての学校に」と20万署名を積み上げた=08年12月5日・都民集会
  東京都の生活保護世帯は、構造改革前の1990年に6万7600世帯であったのが、2005年には14万3600世帯と、実に2・12倍に増加しています。これらの保護世帯水準の子弟の義務教育保障となるのが「就学援助(教育扶助)」制度です。東京の「就学援助」受給者は10年前の97年に14%であったのが、06年度には、24%になりました。4人に一人が、生活保護基準に近い収入での家庭生活を強いられているのです。
  一方では、子どもの教育にかかる家計負担が高額になっています。9月に発表されたOECD(経済協力開発機構)の教育統計で、日本の教育費の公費予算は先進28カ国最下位の3・4%(対GNP比)に落ち、逆に「学校などに支払う私費負担の割合」は上から3番目の31・4%にも上っています。特に高等教育での私費負担は66・3%と各国平均(26・9%)の2倍以上、就学前教育(保育園幼稚園)での私費負担は55・7%と各国平均(19・8%)の3倍という驚くべき高負担になっているのです。
  この高負担に耐えられる家庭は限られ、地域の「子ども格差」となっています。例えば、東京23区でみると、港区では子どもの5人に1人が私立小学校に進学するのに対し、足立区では100人に1人という実態です。
  また、日本高等学校教職員組合では、10月23・24日の2日間、「高学費・教育格差告発ホットライン」という電話相談を行いました。「授業料の免除申請をしたが却下された、これでは高校を続けられない」「生徒が学校の調理実習を持ち帰って、家の食事の足しにしている」などの実態や相談。定時制高校の先生からは、「クラスの生徒の半数が授業料を払えず、その大半が一人親家庭だ」「これらの苦しい家庭状況を誰にも相談できずに、高校生の多くが孤立して苦しんでいる」という報告も寄せられています。
  「受益者負担」の名のもとに、家庭の経済格差が、子どもの受ける教育内容の格差となって、それが大きく広がっています。言うまでもなく教育は「受益者」というような個人の利益のためだけにあるものではなく、どの子も社会の宝として、みんなが未来社会の主人公になることで平和で豊かな社会を実現するという、大切な公共的営みです。憲法26条がすべての国民にひとしく「教育を受ける権利」を保障し、義務教育を無償としているのも、ここに根拠があります。
  それが、収入の多い家庭ほど、わが子のためにと多額の教育費を教育産業や学校に注ぎ込むことが、競争的に行われ、逆に収入の少ない家庭では、最低限の費用を払って学校に通うこと自体が家計を大きく圧迫しています。これは自公政権の政策がもたらしたものです。構造改革という手法で大人社会の貧困と格差を広げ、同様に子どもたちの教育にも、「受験制度」「学校選択制度」「学力テスト」等の「教育改革」施策をつうじて、高学費と格差の教育をつくり出したのです。
  子どもの苦しみという点でも家計負担という点でも、もはや限界を超えています。このままでは親の貧困を子ども世代が生涯背負っていかなければなりません。
  行政の責任で、どの子も大切にする教育を実現し、一人ひとりの未来を豊かに保障する教育施策への大転換が求められています。いま、全都ですすめられている30人学級(少人数学級)実現を求める運動は、競争と格差の教育を転換し、都民に教育の権利をとりもどす運動としても大きな広がりを見せています。【児玉洋介・東京都教職員組合】
 
都立病院の充実と
医師の処遇改善を
 10月22日、都立墨東病院など8つの病院に救急搬送を断られた妊婦が脳内出血で亡くなるという問題が明らかになりました。
  墨東病院は東部ブロックの「総合周産期母子医療センター」です。しかし、常勤医師が定数9名のところ4名しかいないため、土日は1人当直体制でした。このため母子に危険性のある分娩の対応は受け入れられない状況でした。
  まもなく、「杏林大学付属病院などに受け入れてもらえなかった妊婦が脳内出血」と報道されました。
  石原都知事は「都立病院はいらない」と02年母子保健院の廃止を強行し、4都立病院の保健医療公社への移管を行い、八王子小児・清瀬小児病院・梅ヶ丘病院の統廃合を進め、さらにはすべての都立病院を地方独立行政法人(非公務員型)にしようとしています。
  多くの医師は長時間、32時間労働を強いられています。「朝から8時間診療後、当直で翌朝まで16時間勤務、そしてまた8時間診療後、帰宅」このような勤務が月に4、5回もあるのです。また、都立病院の医師の給料は全自治体で最低のランクです。
  東京都はオリンピックに毎年1千億円積み立て、湯水のように無駄使いや、新銀行東京に莫大な予算をドブに捨てることをやめ、都立病院の医師を確保し、処遇を改善すべきです。
  また、医師不足にとどまらず、都立病院の看護師不足も深刻です。連日の長時間労働と不払い残業の多さなどにより退職が増えています。来春採用の新卒看護師募集に対し、100名を超す不足が予想されています。これでは大幅欠員で、多くの都立病院で病棟閉鎖の事態にもなりかねません。
  美濃部革新都政は、がん感染症専門の都立駒込病院をはじめ、広尾・大塚・墨東・荏原・豊島病院など改築し医療の充実を図ってきました。いつでも誰でも、一流の医療が受けられる都立病院として都民に期待されてきました。この都民の財産をPFIなど民間大企業のもうけの対象にしてはいけないと思います。
  都民の生命を守るため、都立病院の統廃合やPFI手法による建設や運営に反対し、「周産期母子医療センター」など、都立病院に必要な医師や看護師を配置し、いつでも患者を受け入れられる体制を実現させましょう。【都立病院職員】
 
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世界都市建設か都民のいのちか
検証―第3回「東京都震災対策」
大震災を千載一遇のチャンスと考える都市計画家の悪魔の論理
墨田区京島2丁目の路地から見る
曳船駅前地区第1種市街地再開発事業
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1街区S棟。完成時は地上41階。最後部141m。(撮影2008年9月28日)
  日本都市計画家協会の「首都直下地震・震災復興グランドデザイン研究会」は、「震災をチャンスととらえ21世紀型の都市づくりを構想・実現していくべきだというスタンスを基本」とすることを設立の趣旨として堂々と謳っています。このように、日本の震災対策には大震災を千載一遇のチャンスとする都市計画家の考え方が大きな影響を与えています。
  まず、「東京都防災都市づくり推進計画」(1995年策定、2003年改定)は、延焼遮断帯建設を最重点とし骨格防衛軸と位置づける広域幹線道路建設を推進する一方、木造住宅密集地域対策は、後退させています。
  東京の木造住宅密集地域は、面積約23000ha(区部面積の約3分の1)、木造住宅の棟数約35万棟ありますが、都の対応は2003年の計画見直しによって、「整備地域」(千代田区、中央区、港区を除く20区にある環状7号線・8号線周辺の27地区、合計6500ha)とされた一部地域を除いては木造密集市街地事業対象からはずして放置しています。
  また、2006年度にようやく始まった東京都の「木造住宅の耐震化助成制度」で助成対象となる建築物は、「木造住宅密集地域の『整備地域』にある昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅で、幅員6m以下の道路に接しているもの」ときわめて限定されています。東京都の「木造住宅の耐震化助成制度」による改修実績は2006年度が22件、2007年度が47件にすぎません。東京都のやる気のなさは明らかです。東京都が実効性のある対策を取ろうとしないのは、都市計画官僚に、「木造密集市街地の耐震改修を進めると既存不適格住宅(接道不良等)が長期に存続し、市街地整備を阻害する」との考えが根強く存在するからだと言われています。「首都直下地震」で既存不適格住宅が倒壊することを期待する恐るべき論理です。
  さらに、「東京都地域防災計画」で設定された減災目標は、その前提となっている「被害想定」そのものが、広域幹線道路建設を軸とする「火災対策」を重視し、都民の生命を救う「倒壊対策」を軽視する方向に政策を誘導する意図を強く反映し、火災による死者数を大きく、建物倒壊による死者数を少なく想定しています。また、関東大震災や阪神・淡路大震災における出火原因のほとんどが建物の倒壊によるものであったことも軽視しています。
  今、最優先で国と都が進めなければならないのは、「倒壊対策」であることが明らかであるにも関わらず、世界都市建設をあおり住宅の耐震化助成を妨害する政府・財界・石原知事と都市計画官僚・学者の態度は、予告された不作為による大量殺人に手を貸すものであると言っても過言ではないでしょう。【東京自治労連特別執行委員 亀井澄男】
 
青い空
 「東京都平和祈念館(仮称)」の建設は、99年3月の都議会で実施案が付帯決議で凍結されてまもなく10年になる▼ところで、東京都は2016年オリンピックを招致しようとしている。来年10月のIOC(国際オリンピック委員会)総会で、東京、マドリード(スペイン)、シカゴ(アメリカ)、リオデジャネイロ(ブラジル)の立候補4都市の中から開催都市が決まる▼ここで五輪の歴史を見ても36年のベルリンはナチ五輪。第二次世界大戦で40年(東京)・44年の両大会は中止。戦後も「冷戦」が及ぼした影響でモスクワ五輪ボイコット事件などがあった。21世紀のオリンピックは平和の祭典だ。「平和祈念館」建設を凍結しておいて五輪招致などもってのほか▼「核兵器廃絶」をめざす平和市長会議がある。現在、世界133カ国・地域で、2、536都市が賛同している。シカゴ、マドリード、リオデジャネイロも賛同。日本では178都市が賛同。東京は賛同していない▼2020年までの核兵器廃絶をめざしている。2020年、地球上から核兵器が絶滅される年のオリンピックを広島・長崎で開催したいという秋葉忠利広島市長(平和市長会議会長)の希望こそ、被爆国日本にふさわしいオリンピックではなかろうか。(高)
 
 
 
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