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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2008年1月15日発行 |
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力を合せて都民にあたたかい都政の実現を
代表世話人(東京都教職員組合委員長)
中山 伸
21世紀の8年目。平和と生存をかけた地球規模での激しいせめぎ合いと模索が続く中で、新しい時代の鼓動が聞こえます。民意が政治を動かす力強い足音です。
国民の声と行動が、インド洋から自衛隊の艦船を引き戻し、薬害肝炎の責任を認めようとしない福田政権の態度を覆し、全員救済への途を開いています。
“ストップ改悪、なくせ貧困と格差”主権者の切実な要求です。これに応えて悪政の防波堤になってこの叫びをしっかり受け止めるのが、地方自治体の根幹的責務です。しかし、石原都知事はこの精神を投げ捨てています。そして、都民との乖離と矛盾は日ごとに拡大し、都民の苦しみに背を向けてトップダウンで進めた新銀行東京の累積損失は、なんと936億円に達しています。
都知事選挙での吉田万三さんの川柳「税金は庶民のくらしにドラえもん」が頼もしい。改めて、万三さんが訴えた3つの転換・都政改革プランの値打ちが光っています。
8ヵ月前の都知事選のたたかいの熱い思いが今多くの人たちの胸に燃えています。取り戻しましょう、希望あふれるみずみずしい都政を!力合せて、憲法を都政のすみずみまで生かすあたたかい都政を実現しましよう!
市民が主人公の市政を確固たるものに
東京都狛江市長
矢野ゆたか
昨年の都知事選挙は大変残念な結果でした。しかし3選後、石原知事は個人都民税減税公約の撤回、オリンピック誘致での巨額の税金投入など、都政革新の重要性は、ますます高まっています。
国政では、憲法改悪へひた走った安倍内閣が崩壊し、引継いだ福田内閣のもとでは、C型肝炎患者に対する国の責任による一律救済の実現、不十分ながらも沖縄戦集団自決での教科書検定修正など、平和と暮らしを守る国民のたたかいが、政治を動かしています。
今年は、こうした流れをもっと大きくするため、一致点での共同を、都民の間にさらに広げることが求められていると思います。
今、都内の市町村では、厳しい地方財政の打開とともに、後期高齢者医療制度の被保険者負担をいかに軽減するかが、共通の取組みとなっています。
私もこの一致点を大切にしながら、市民の暮らしと健康を守るための役割をしっかり果たしていきたいと思います。
7月上旬には私の3期目の任期を終えますが、公約実現に向けた誠実な努力を最後まで継続し、市民が主人公の市政を確固たるものにしたいと決意しています。 |
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新春対談
国民が初めて 構造改革・軍事大国 反対の声を上げた |
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中山 おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
新テロ法案をめぐって、国会は越年の延長国会。石原都政も行き詰っている。民意が政治を動かす時代だと言われていますが、激動の幕開けに相応しい豪華な対談です。年頭にあたって今のこの情勢をどう見るのか、お話をお願いしたいと思います。
反構造改革の旗頭ができないと
吉田 おめでとうございます。2007年は非常に大きな変化が、世の中が動き出したなということが実感できた年だったとい思います。私自身が都知事選挙の候補者として戦ったということも、もちろんですけれど、その頃はまだそれほど意識しなかったがその後の参議院選挙の結果、安倍政権が政権を放り投げる。非常に印象深かったのは、大連立の話が出てきた時に、想像以上に国民が反発した。民主党が政権交代だとか生活第一というスローガンでやってきたことへの、何か政治を変えて欲しいという国民の意識が相当大きなものがあったと、改めて感じました。08年は何十年か人生張ってても、めったに来ないチャンスでもある。厳しい側面もあるが、ぐっと状況が変わっていく大きな変化の年の幕開けになるのではないか、私の実感なのです。
渡辺 2007年の、特に7月に行われた参議院選挙で安倍自民党が大敗したということは、今の状況が非常にはっきりした。3つ原因があったと思うのです。地方でも東京でも構造改革による地方住民の切り捨てと、格差と貧困という問題に怒りが噴出した。これが一番大きかった。特に、構造改革を地方自治体の押し付けでやるという、小泉・安倍の構造改革路線が、本当に地方に大きなダメージを与えたということで、地方の一人区で自民党が6勝23敗。一人区というのは自民党の利益誘導型政治の金城湯池みたいな所で、いずれも軒並み今回は自民党が敗北したというのが第一だと思うのです。
第二番目は、安倍改憲タカ派路線に対して、構造改革に対する怒りとはまた重なりながら別に、かなり大きな不安と懸念が、特に東京や大阪といった大都市部で噴出したと思うのです。比例投票の票を見ると、自民党の大票田である地方は、構造的と言っていいほど自民党が減っているのです。ところが、東京とか大阪はまだそこまで行っていなくて、比例だと東京は若干減らしていますけれど、民主も増えていないのです。大阪は自民も減らしているけれど、民主も減らしている、そんなにまだ構造的な変化というものが起こったというわけではなくて、地方の痛みと東京の構造改革の痛みにズレがある。東京の場合は23区で言えば山の手とか、多摩東部とかで、自民が票を減らして、民主党が一気に伸ばしているのです。石原氏が都知事選挙で全都的にかなり圧勝したけれど、50%取れなかった所があるのです。これが東京23区の山の手と多摩東部で、今回安倍自民党が負けている所と大体重なっているのです。明らかに改憲とかタカ派の路線で、日本はまた戦争をする国になるのでないか。特に安倍氏は自民党21人の総理大臣で初めて、自分の任期中に改憲をやると言ったわけですから、これに対する都民の審判が下ったのが、二番目だと思うのです。
三番目は、大連立の問題と関わるが、民主党が変わった。よく民主党が大勝したので、これは何だということですが、実は今回の民主党の大勝というのをきちんと見なければならない。古い民主党が勝ったわけじゃない。古い民主党は、軍事大国と構造改革を自民党と競い合っていた。ところが、今回選挙目当てでひっくり返しちゃった。3つの約束と言ったのだけど、その3つの約束というのは子供手当の創設とか、農家個別所得保障とか。年金については税負担するけれど、今まで消費税を上げると言っていたのが、税率アップしないと言って、今までの民主党の走っていた路線を急角度に、思惑はともあれ、転換した。今まで地方でも東京でも構造改革の痛み、特に地方には痛みを感じていたのだけど、自民もダメだが民主もダメだなと言っていたところが、今回、民主は反構造改革だということで一気に受け皿になった。
この3つのことは、初めて日本の国民が、民主党という形なのだけども構造改革反対の声を、軍事大国反対の声を上げた。これは非常に大きかった。但し大きな限界は、この声が今のところ民主に留まっている。今年確実に行われるだろう衆議院選挙で、この反構造改革の問題・反軍事大国の問題で、本当にこれを実行できるような政治勢力の所に、自民・民主の桶の中で動いていた票がそこから溢れて、共産に社民に流れてくるかどうか、あるいはまた民主が嘘をついたら、またまた自民に戻るのかどうかというのが、大きなポイントだと思うのです。
吉田 さっき言われたように反構造改革の、いわば旗頭みたいなものが、ちゃんと出来ないとダメだと思います。この10年くらいで二大政党論がずっと浸透して、国民の意識の方も何となくそういう感覚になっている。本気で受け皿を作るように努力しているのと、何だかなったらいいなという人はいるけれど、本気で受け皿を作ろうという努力もまだまだ足らない。そういう意味では、知事選挙などは第一歩になり得る。本当に政策で一致できれば、力を合わせようというようなことにしていかなきゃいけないと思っています。
改憲つぶす大きな機会ができた
中山 そういう情勢の中で、憲法を守る。九条の会も、この3年半の間で大きくなって、先だって行われた第2回の全国交流集会も大変活気に満ちていました。あの時に私自身は、憲法を守り生かすというところの議論が旺盛にあったと、考えているのですけれど。渡辺先生、憲法を守り生かす運動を、どう前進させていけばいいでしょうか。
渡辺 昨年は改憲問題という点では、大きく情勢が動いた年です。52年間一度も言わなかった改憲問題を、任期中にやるのだという総理大臣が出て改憲問題が最も大きな危機の状態に、憲法が最も大きな危機の時代があったわけです。それが、7月に自民党が敗北して、安倍政権が一年足らずであっけなく崩壊するということは、改めて保守の支配層も、この改憲という問題に手を付けるということが、いかに日本の政治の中で難しいか。国民がこの問題についてどういうふうに考えているかというのを、改めて自覚させられたと思うのです。安倍政権になって非常に注目されることは、憲法の改悪が自民党の中で進められた2004年以降3年間の間に、読売新聞の世論調査で見ると、連続的に憲法改正賛成派の票が減っているのです。遂に九条改憲反対の票が、読売新聞でも51%になった。これは、非常に大きな出来事だったと思うのです。一つに、国民が憲法の改正という問題について、正面から考えざるを得なくなってきた。もう一つ大きいのは、自動的に国民の意識が変わったというよりは、改憲に反対する運動がこれを変えたという点も、もう一つ注目されなきゃいけないと思うのです。04年6月に九条の会が出来た。それから3年間、改憲賛成の声が減っているということは、明らかに九条の会の伸びと重なって考えるしかない。これだけマスコミが全然言わないで、亡くなった小田実さんが、最初の有明の一万人集会の時、待合室で、「何故九条の会を日本のマスコミは取り上げんのだ」と、赤旗だけじゃないか、皆新聞読むのだけど、どこにも書いてないと言っていたのを覚えています。そういう中で、6500、6600というこの力は、だてにあるものではなくて、国民の意識を変えてきているということが、世論調査で表れていると思うのです。そこに安倍さんが登場した。それが、あの7月の安倍自民党の大敗に、結びついたと思うのです。ですから、まず明文改憲のスケジュールが非常に狂った。参院で自民党が負けた結果、衆参両院で憲法審査会は、まだ枠は作ったのだけど、規定も出来ていなければメンバーも決まっていない。1回も開けていない。おまけに、恐らく開いたら参議院では会長は民主党になるだろうということになる。そうすると、その憲法審査会の中で、例えば共産党や社民党は一人しか、今のところメンバーが予定されないのだけど、まず憲法審査会なんか作るなという声が非常に強いし、出来たとしてもそういう声を大きくしていくと、ちょうど改憲手続法反対運動の中で、共産党や社民党の議員が民主党の議員と組んで、様々な形で追及したようなことが、憲法審査会でも起こることになると改憲のスケジュールが大きく変わる。それどころか、テロ対策特措法の新法でも、これだけ大きく揉めて、自衛隊の米軍への後方支援ですら大きな打撃を受けたということで、本当に改憲を潰していく大きな機会が出来たと思うのです。この点はきちんと見て、大きな可能性を実際のものにする運動をどう強めていくのかということを、私達が考える時代が来たなという気がするのです。
吉田 憲法を世界遺産にしようなどという本が出る。これはこれで面白い観点だなというふうに思うのだけど、どちらかといえば、守りの延長に世界遺産というのもあったのだけど、遺産はないだろうと。むしろ、最近はもっと憲法を生かそうかというような中身になってきている。都知事選挙の公開討論会で、石原さんが「憲法なんかで日本を守れるのか」みたいなことを言ったことがある。また、テポドン飛んできたらどうするのだ。冷静に考えた時に、むしろ近隣の諸国と憲法9条に基づいて仲良くしていくということの方が、よほど日本の安全保障にとって、積極的な意味があって、心配だからといって、こちらもミサイル準備することより、はるかに有効な国を守ることになるのだ。ただ守りだけじゃなくて、憲法9条は実際に大きな力を発揮しているのだ、ミサイルみたいに目には見えないけれども、運動の量の広がりだけじゃなくて、運動の中でそういうようなことが、同時に皆の共通認識になりつつあるなと感じます。
日本の政治変える可能性をもつ東京
中山 吉田さんが選挙の時に言っていた、「憲法を守り生かす都政を」の意味が一層重要になってきていると思います。
そこで石原都政ですけれど、都政新報が社説で「危機が深まったこの一年」と打ち出し、「一斉に賞味期限切れが早まる」と書いています。石原都政の現状をどう見るか。とりわけ、都知事選を戦って、その後も万三プランの値打ちが今いっそう光っていますが。
吉田 憲法の話でいうと、9条と25条というのが大事な争点にぐっと浮かび上がってきて、憲法9条と25条といってもピンとこない人も結構多く、渋谷でビラ見たら、ピースアンドライフって書いてあるのです。要は9条と25条のこと。普通の人は、むしろ9条とか25条っていうと何か堅苦しくなる。ピースアンドライフというと、若い人は特に、なるほどそういう理解の仕方というのも大事じゃないか。
今の都政が、これだけ格差と貧困が進んでいるにもかかわらず、石原さんは、泣く子と政府には勝てないとかいって、地方に3千億円の税金振り分けを譲歩し、その代わりって約束したのが、オリンピックや外環道路作れだった。今の高齢者が安心して暮らせるような医療を何とかしろとかというのならまだ分かるが、あれならお安い御用ですって国は言うに決まっている。改めて石原慎太郎という人間が、ある意味非常に古い政治家としての顔の一面も現れているのかなということは感じるのです。今自治体がどういう役割を果たさなきゃいけないのかというようなことが抜けている。
どういう東京像を描くか、反構造改革という点から言うと、構造改革に反対するというだけじゃなくて、皆が安心して暮らせる社会を作っていく。そういう都市を日本に作っていく。そう考え改めて石原都政を振り返ってみると、彼が何かオリンピックで偉そうなことをいろいろ言うのだけれども、これからの時代にどういう都市を作るかというのを、相変わらず高速道路走らせてとか、オリンピックで国威発揚してとかいうような、非常にちゃちなというか、古ぼけたというか、そういう相変わらずの路線を走っている。本当に新しい時代に人間らしい、人間的な都市を作るというようなことが、我々ももっと研究しないといけない。発想を転換していくことが、必要になっているし、そういう共通認識を東京の中で広げていかなきゃならないなと思うのです。
渡辺 東京の、今の吉田さんの話って非常に重要だと思うのだけど、東京というものがやれる、日本の政治を変えていく上での可能性は非常にあると思うのです。今の自民党の、小泉以来の構造改革のやり方というのは、基本的に構造改革の執行を地方自治体に任せようという発想です。その典型が、今年4月から実行される後期医療制度改革だし、医療保険制度改革だし、後期医療保険制度の運営を都道府県に任せる。事業体に任せるということ。その中身を作る医療費適正化5ヵ年計画も、都道府県に立てさせる。それで数値目標出して、ベッド数とか生活習慣病の予防とか、どんどん削減させる目標出させて、出来なければ診療報酬点数を下げるか、社会サービスを切るか、保険料上げるかというのを選べと、ダメなら夕張だぞと、こういう話です。そういう時に東京という、ある意味では他の世界諸国の中では国になるような所が、具体的にそういう政府の構造改革政策に対してノーと言って、続けて今年4月からの医療保険制度について、それじゃどうするのかと、まさにノーと言う東京ということを制度として具体化したら、東京都が、もしその問題ではっきりとした形で国に対決するということになれば、国は出来ないですよ。参議院選挙で一番はっきりしたことは、後期高齢者医療保険制度と言ってはみたものの、本当に4月から出来るのか。それで、民主党は抜本見直しと言った。自民党も福田さんも制度を走らせたい、だけどこれをやったら衆議院選挙で負けると分かっているから、これはちょっと伸ばしたいと、選挙の後に。
石原さんは普段は強がっているのだけど、肝心要の問題では出来ていない。これはやはり東京都政を変えなきゃいけない。構造改革の焦点であり、最も犠牲の大きい地方自治体が、むしろ構造改革に反対して安心の医療・安心の生活というものを実現するための、具体的なプランを出して、それを実行する財源問題では他の所はものすごくいじめつけられている。ところが東京は、財源的にはゆとりがある。それをオリンピックなんかに使うのでなく、この財源を、福祉のためにどうやって使うのか。このモデルを作れば、今の全国の都道府県の中で、全国の政治を変えていく上で、非常に大きな役割を果たす。
それは、東京は経験を持っているわけです。老人医療無料化の10年というのは、73年から83年まで国の制度になったわけです。73年に国が始まる前段階、69年あたりから美濃部都政、1年か2年後に京都と、大阪に黒田府政が誕生ということで、70年前後がダーっと。あっという間に、国の制度にしたわけです。しかし、70年代の終わりくらいから次々と、巻き返しが始まって、どんどん後退していく時期が、波を感じます。
構造改革の流れはずっと続いたが、これをもう一回転換させて、新しい流れを作る。美濃部都政のことを復活するのではなくて、この怒りをもう一回新しい政治の流れに転換する動きがやって来る。また作らないといけないという時代にやってきたな、差し掛かったなと思うのです。
政策活動が本当に大事
吉田 政策活動というのは、本当に大事だなというか、それは狭い意味での選挙の政策というだけじゃなくて、この運動の基盤になるようなものが大事だと思います。足立の区長をやった時の経験で言うと、区の職員組合などが財政分析だとかをずっとやっている。財政分析などというのは、あまり選挙の勝ち負けには直接影響しない。ところが、いざ自分がなった時にはすごく大きな力になり。これが無かったら、とても持たなかっただろうなと思うような場面が、いくつもあった。ずっと野党のままだったら、多分あまりそんなこと感じなかったと思うのだけど、やはり財政分析があって、なるほどと。思いつきで政策を言っているのじゃない、これはやれるのだということが言える。これがあったから選挙に勝つわけじゃない。ただ、勝った時にはものすごく力を発揮する。本気でそういうことも含め、財政分析も含めて、政策活動をもっと進めておく必要もあります。
渡辺 吉田さんがさっき言ったけれど、本気で勝つのだったら、4年目に政策作り出すのじゃ全然ダメです。どんな問題があるのかということの中で、対抗的な政策というのを具体的に検討していくというような運動の中で、こういう都政を作るにはということを考えないと。
吉田 今のうちにもっと揉めろと、私は言っているのです。直前になって揉めていたら手付けられない。意見が違うのもいろいろあるのは当たり前なので、政策も運動面もこうやったらうまくいくのではないかというようなことを、大いに議論することがむしろ大事で、ライフアンドピースじゃないけれど、いろいろな知恵などを皆持っているのだと思うのです。もっと大いに議論もしてやることの方が力を、エネルギーを出すことになると思います。
中山 あっという間に時間がたってしまいました。お二人の力強いお話にエネルギーと元気をいただき、革新都政をつくる会の存在と役割もますます重要になってきたと思います。都民の皆さんと力を合わせて大いにがんばりたいと思います。本日はありがとうございました。 |
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渡辺 治氏
1947年東京生まれ。一橋大学院教授(政治学、日本政治史)
吉田万三氏
1947年東京生まれ。07年東京都知事候補。歯科医師。 |
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「子どもにつたえる日本国憲法」の詩を群読する都教組の仲間=労働者憲法集会にて |
「九条改憲阻止のために先頭に立って闘おう」。
九条改憲阻止の一点で加盟単産や中立系労働組合が結集する集会が、07年12月10日夕、九段会館で開催されました。
16の組合がよびかけ、多くの組合の賛同のもと、900余名もの参加者が集い、大きく成功しました。
集会は“きたがわてつ”さんの「平和を願うコンサート」で開幕し、小森陽一さん(九条の会事務局長・東大教授)が『憲法擁護と労働組合の役割』と題して講演しました。つづいて、職場・地域での運動の取り組みが紹介されました。
冒頭、東京地評・堤敬議長はよびかけ組合を代表してあいさつ、「首都東京のナショナルセンターが違いを超えて集まったことは重要な意味を持つ」と意義を強調するとともに、今後のいっそうの奮闘を呼びかけました。賛同組合代表の東京全労協・押田議長をはじめ、来賓として、一千万人の九条署名に取り組む憲法改憲反対労組連・嵯峨仁朗さん(新聞労連委員長)、全建総連・古市良洋書記長、全労連・坂内三夫議長の各代表から連帯・激励のあいさつがありました。
小森陽一さんの講演とともに、職場・地域からの発言・報告は今集会の大きな山場でした。目黒区職労の荻野さんは「毎週続けてきた目黒の伝統」であるピースウォークが先月200回を突破したことを紹介。「継続することが何よりも大切」と訴えました。また、東京土建は、900人が一人1千筆の署名あつめを目指している「チャレンジャー」の取り組みを紹介。5百筆を達成した女性組合員は「みんなに声をかけると気持ちよく応えてくれる」との訴えに、会場一堂、打って出る行動力に勇気づけられました。首都圏青年ユニオンからの青年労働者の実態告発につづき、都教組の仲間が『子どもにつたえる日本国憲法』(井上ひさし著)から抜粋、脚色した詩を群読。労働者の平和を願う気持ちに溢れた朗読に静かな感動が広がりました。
集会では、「平和憲法を守るために、全力をあげて国民の中に打って出て、社会的世論を作り上げることを決意」するアピールが、満場の拍手をもって採択されました。 |
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来年度予算での導入を政府は見送りましたが、生活保護基準そのものの引き下げを行おうとしています。生活保護基準の引き下げは、生活保護受給者の生活に重大な影響を及ぼすだけでなく、最低賃金や年金、住民税の課税基準などと連動しており、国保料・税ならびに介護保険料、公営住宅家賃の減免制度や公立高校の授業料の減免などにも多大な影響を及ぼします。
ワーキングプアと呼ばれる働く貧困層が増加し、格差と貧困がかつてなく広がっています。そんな状況下で、生活保護が最後のセーフティーネットとして機能しなければならないはずです。憲法25条2項は「国は、・・・増進に努めなければならない」と逆行を許していないはずです。
高齢者を先頭に闘っているこの生存権裁判は、政府の誤った生活保護行政に歯止めをかけ、政府に貧困問題を放置させない取り組みとしても重要です。戦後営々と積み上げられて到達した生活保護基準の本格的な引き下げがここから始まったからです。
東京のほか、京都、秋田、広島、新潟、福岡、青森、神戸各地裁でも裁判がすすみ、全国の原告数は百名を超えています。京都、広島、青森、北海道では母子加算の削減・廃止をめぐっても裁判が闘われています。東京では、全国に先駆けて3月24日には結審をし、6月には判決を迎えることになりました。東京の判決の影響は計りしれません。
全国・全都から、ご協力をいただき、個人署名を年末に10万を超えて提出。さらに積み上げて結審までに15万を集めようと頑張っています。
裁判は、「最低生活費とは何か」「56条の正当な理由は厚労大臣には及ばないのか」「高齢者の特別需要とは」「交際費の重要性」「高齢者の健康で文化的な最低限度の生活とは」など激しい論戦がすすんでいます。
しかし、なんといっても生活保護者の裁判です。財政がピンチのままです。運動の飛躍的前進のためにあたたかい沢山のカンパをお願いしています。【都生連事務局長 秦一也】 |
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憲法学習会
「どうなる福田政権・どうする派遣恒久法」 |
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07年は多事。象徴的漢字は「偽」だったが、揮毫した清水寺の森清範貫主の「こういう字が選ばれるのは恥ずかしい。悲憤に堪えない」に共感▼08年を迎えて、朝日新聞4日付けの漫画(やく・みつる作)で小沢一郎の書初めは「壊」。夕刊「素粒子」も「今年(の漢字)は『壊』なのでは」。赤旗5日付けの漫画(白川ただし作)で福田首相が国民に推し付けているのが『苦』と大きく描かれている。作家の五木寛之氏が昨年末から言っているのが、「一九四五年から50年間が『躁』(そう)の時代だった。21世紀は『鬱』(うつ)の時代」。朝日新聞・5日be版で「今年は明るい年になると思いますか?」の問いに、「はい」は15%、「いいえ」は48%だという。新しい年に希望をもてないこの国なのか▼昨年の暮れに、中国「残留孤児」の新支援策が決まった。薬害肝炎の「一律救済」が議員立法で実現の運びとなった。いずれも訴訟を起こした原告たちの、国の責任を認め、人間の尊厳を認めてほしいという不退転の決意が、世論を広げ党派を超えた支持につなげた▼都民のくらしと命を守る要求は、人間の尊厳を求めるものであり、必ず支持をひろげ実現する。今年の漢字は、「真」にしたいものだ。 |
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