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会の機関紙「都民がつくる革新都政」2005年8月15日発行 |
九条の会・有明講演会に9500人
三木、鶴見、小田、奥平、大江、井上氏が講演 未来に知らない形での“変化が来る” |
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7月30日、東京・有明コロシアムで「九条の会・有明講演会」が開かれ、全国から9500人が参加しました。
講演会は、クラシックギターの第一人者・荘村清志さんの演奏で開幕、「九条の会」の呼びかけ人のうち六氏の講演がおこなわれました。
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会場をうめつくし講演を聞く人たち=2005年7月30日、有明コロシアム |
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三木睦子さん(三木武夫記念館館長)は、「みんなで平和を守り、楽しい静かな芸術の光に満ちた日本でありたい」と繰り返し訴えました。鶴見俊輔さん(哲学者)は、「私はもうろくしてきた。しかし、もうろくを盾として戦争に反対し続けたい。もうろくを組織しよう」と呼びかけ、大きな拍手が沸きあがりました。小田実さん(作家)は、孫文の演説を引用し、「軍事力の支配による『覇道』をめざすのか、道義による『王道』をめざすのかと述べ、憲法を守り抜き、覇権を行使する日本ではなく、九条を中心とした『王道』の日本をつくっていくこと」を訴えました。奥平康弘さん(憲法研究者)は、九条二項の改悪論に対して、「一項は二項があって宣言としての意味がある。二項を欠けば一項はもぬけの殻となる」と厳しく批判しました。「九条改悪は阻止できる」という大江健三郎さん(作家)は、日本の現状を悲観する意見に対し、友人である米国詩人シュナイダー氏が、「あと5年は君の嘆くとおりかもしれない。しかし、10年たったらどうだろうか」と言ったことを紹介しました。そして、シュナイダー氏の「求めるなら助けはくる/しかし決して君の知らなかった仕方で」という詩の一節の「助け」を「変化」に読み変え、未来に知らない形での変化が来ることを示唆し、会場を大きな感動につつみました。井上ひさしさん(劇作家)は、先の戦争に対して「あの時代が正しかった」「あの時代が素晴らしかった」という人たちが増えていることに危惧しながら、そんな人たちに自分たちの運命を左右されたら困る、運命は自分で決める、そうすれば世界的な動きが一つになって「奇跡」がおこるかもしれない、それにかけたいと強い決意を述べました。また、帯広で講演中の澤地久枝さん(作家)からはビデオでのメッセージが紹介されました。
講演会では、全国に3千を越える「九条の会」がつくられていることが紹介され、「会」では、さらにこれを大きく広げようと呼びかけています。
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サラリーマン大増税計画
年収500万円4人家族 勤労世帯で増税42万円 |
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政府税制調査会(首相諮問機関、石弘光会長)は6月22日、サラリーマン増税を柱とする個人所得税に関する報告を公表しました。
報告は、サラリーマンの収入に応じて一定割合を課税対象額から差し引く給与所得控除の見直しの方向を明記。専業主婦のいる世帯の税負担を軽減してきた配偶者控除や扶養控除の見直しも盛り込みました。
報告書は、所得税・個人住民税の定率減税廃止を明言しました。定率減税の廃止に加え、給与所得控除の半減、配偶者控除、扶養控除の全廃が実施された場合、年収500万円の4人世帯(サラリーマンと専業主婦、子ども二人)では、年42万円の増税になります。
まだ庶民のフトコロから搾り取る
年金を改悪し、医療費の負担を増やしたうえに、まだ庶民のフトコロからしぼりとろうというのです。
総会後の記者会見で石会長は、「増税、国民負担増なくして今後の年金、医療、介護の財源を含め、少子高齢化は乗り切れない」と強調。「国民全体で国をどう支えるかという議論からいって、就業者の8割を占めるサラリーマンの方々に頑張ってもらうしかない」と述べ、サラリーマン増税に対し開き直りました。
「政府税調が、サラリーマン所得の控除の整理・縮小を打ち出したが、取りやすいところを狙ったようにも見える。一方、無駄遣いや不当な支出の方での改善はほとんどない」(朝日新聞・天声人語/05・6・30)
「『サラリーマンいじめに関する報告書』‐。政府税制調査会がまとめた個人所得課税に関する報告書は、こんなタイトルを付けたくなる内容だ」「ここはひとつ、納税者は声を大にして怒るべきだ」(毎日新聞・記者の目/05・6・24)と、テレビや新聞も、大増税計画を告発しています。
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都立八王子小児病院なくさないで!
市民の心つかんだ14万枚のビラ |
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「都立八王子小児病院をなくさないで」と大きなタイトルに、泣いた赤ちゃんを抱っこしたお母さんが「府中なんて遠すぎます」と吹き出しで書かれたカラーのビラ14万枚が、市民の心をしっかりつかみました。
書いてあることは、自分が思っていることそのものだと市民は思ったのでしょう。7万2千枚を読売新聞に折り込んだのは、都議選間近の5月末の日曜日でした。次の日から新婦人の事務所には、署名と意見が書かれた受取人払いのハガキが束になって届き始めたのです。
未熟児で、心臓病で、命を助けられたという切実なものから、「国を挙げて少子化対策を叫ぶなかで小児病院をなくすとは何事か」と世代を越えた多くの意見、「三多摩格差をこれ以上拡げるのか」という怒りがいっぱいのもの・・・。
今年1月の八王子市の広報には、小児病院の限界?周産期医療ができない、耳鼻科、整形がない、建物が狭く古いなど、統廃合も仕方ないかとあきらめさせる中身でしたが、市民はあきらめていませんでした。
おりしも都議選真只中、市民から寄せられるハガキは、小児病院存続を都議選の争点へと押しあげていきました。4年前全ての候補者が小児病院存続を掲げていたのに、今回は、日本共産党の清水さんしか政策として掲げませんでした。市民の良識ある要求の力は、他の候補も最後には、存続を口にせざるを得なくなるほど、追い詰めたのです。
今でも、毎日10枚程度のハガキとなって帰ってきます。「障害を持つ娘のために、八王子養護学校、小児病院が近くにあるところに引越ししてきました。これからもなくさないで下さい」今日、届いたハガキです。【新婦人八王子支部・鎌本美恵子】 |
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みなさんは都議会を傍聴したことがありますか。おそらく、多くの方はその時間をやりくりし、都議会議事堂まで足を運ぶ、というようなことはしないのでは。
都議会で決められることは、私たちの生活と密接なものが多く、それを決定しているのは、私たちが選挙を通じて選んだ都議会議員です。どのような制度や条例が作られ、都民の意見や要望が都政に反映されるのか、都民の代表である都議会議員や自治体の役割に照らしてみることが必要です。
都議会は都民の意思決定の場
地方自治体(東京都)には議決機関として議会を設置することが決められています(憲法93条)。都議会は憲法で定められた、東京都という地方公共団体の意思決定の場であり、1200万都民の声を都政に反映させていくことを大切な使命とする場です。議会は年4回(2・6・9・12月)開かれます。
東京都には意思を決定する都議会(議決機関)と決定に基づき事業を執行する行政機関があります。執行機関の長は都知事です。都議会と都知事は対等な立場にあり、議員には都知事が都民に有益な都政を行っているかどうか、チェックする大切な役割が課せられています。また、個々の政党、会派がどのように審議に参加し、都民の代表として役割を果しているか有権者として見逃せない場面です。
議会のチェック機能活かし
石原都知事は、6月6日、2人の副知事と教育長、出納長を交代させる人事を都議会に提案しました。
ことの起こりは、都議会での浜渦副知事の発言が、混乱を招き、都議会は百条委員会を設け、議会での発言を「偽証」と認定。浜渦副知事の責任を追及、「都政は混乱し、著しい停滞を招いている。この混乱は都民にも影響している」と、問責決議を行いました。(6月都議会にて)
知事の側近中の側近とされる浜渦副知事。週2、3日しか登庁しなくなった知事の名代として、すべての政策や人事に口を出す。ほかの副知事が担当する分野までも、まず浜渦副知事に「お手紙」を出し、事前に了解を取らないと都知事に説明もできないなど、権限が集中しました。
石原知事が週2、3日しか登庁しないことが側近の専横を招き、知事は会見で「人事の一新が責任の履行だ」述べましたが、任命責任は果そうとしませんでした。(ほかの特別職よりも1ヵ月「延命」し、7月22日辞職、都の三セク「東京交通会館」副社長の天下りポストまで用意された)
議会で唯一、知事の任命責任を問う問責決議案を提案したのは日本共産党だけでした。(自民・民主・公明・ネットが反対し、にぎりつぶしました)
マスコミも、「自民、公明、民主など都議会各党から知事の責任を追及する声は上がらない。・・・共産党を除いたオール与党体制ができてしまっているのだ」(「週刊ダイヤモンド」6月18日号)と報道。
まさに、この指摘にあるように、多く政党、会派が与党化した議会はその存在意義を失うことにもなりかねません。
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【第17期各会の構成】
自由民主党 48人
民主党 35人
公明党 23人
日本共産党 13人
生活者ネット 3人
行革110番 1人
自治市民93 1人
市民の党 1人
都議会クラブ 1人
無所属 1人
(定数127人)
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連載 石原都政と教育(第21回)
子どもと教育の風景(21) 東京都教職員組合 教文部長 滝沢 孝一 |
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暑い・暑い・夏
教科書採択の夏は本当に暑い。4年前もそうだったし、小学校用教科書の採択の年だった去年の夏も猛暑だった。そして、この原稿を書いているこの夏の「今」もうだるような日が続いている。
「つくる会」は東京の半分の採択区は押さえたと豪語し、応援団は前回と比べものにならないほど精力的に動いた。東京はどの採択区も危ないとあちこちでささやかれた。すでに教科書の暑い夏が始まっていた。
8月10日現在、東京では54の採択区のうち31が採択を終えている。31の採択区はどこも「つくる会」教科書を採択しなかった。各地域でたくさんの人々が共同して、戦争を賛美し憲法改悪に子どもを誘い込むこの教科書の採択をゆるさないと必死にとりくんだ。こうして「つくる会」教科書NO!の流れがつくられ、広がり、本物になった。
石原都知事と都教委は、この流れをなんとか断ち切り「つくる会」教科書を東京で採択させようと、予定を1ヶ月も早めて「つくる会」教科書の採択を強行し、都立学校の一部に押しつけた。論議もない、説明もない。ただ5人の教育委員がすべて「つくる会」教科書を推し、無言のうちに採択された。こうして、今回もまた教科書と教科書採択が政治の具になった。
しかし、このような都教委の「政治」の後も、「つくる会」教科書の不採択は続いている。
「今」は暑い・暑い・夏の真っ盛りである。 |
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東京都が、都民の血税1000億円を投資して創設した「新銀行東京」(本店・千代田区)が4月からスタートしました。
「新銀行東京」の経営理念では、「顧客本位を貫き、社会に貢献する。都民や中小企業へ成果を還元する。金融・産業・行政などの力を融合させ、新たな金融サービスを提供する」などとしています。
融資対象企業についても「債務超過や借入過多の企業のほか、財務内容に問題がある中小企業も対象になり得る」となっており、不況で苦しむ中小業者には“救いの銀行”と期待を抱かせる内容となっています。
申し込んだ方からの情報によれば「500万円の融資で、金利が9%、返済は3年の短期返済」という驚くべき実態が明らかとなり、早速本店交渉を取り組みました。交渉の結果、次のことが明らかになりました。
*東京都の制度融資は扱わない。
*白色申告者と税理士の署名・捺印のない申告書は融資の対象から外す。
という内容でした。
これでは「困っている中小業者には役立たないではないか」といったら、応対した新銀行東京の代表は「イヤだったら、既存の金融機関にいけばよいのではないですか。例えば、フランス料理店で、ラーメンを注文されてもメニューにはないのですから、ラーメンのあるお店にいっていただくしかない」と強弁。当初の経営理念とまったく違う「欠陥銀行」の実態が明らかになりました。
民間からの出資も当初の予定通り進まず、経営理念も逸脱する融資態度は、銀行業務将来を危うくすることにもなりかねません。事業不振に陥ったら、臨海開発と同様に都民の税金を際限なくつぎ込むことになります。
東京都の責任追及と新銀行東京に改善を求める運動を引き続き取り組んでいきます。【東京商工団体連合会】
「新銀行東京」は、預金者に対しても口座維持管理手数料(導入している銀行はかなり少数)を徴収していることがわかりました。
利用者から「自治体が出資した銀行なのに、手数料を取るのは納得できない」という声がでています。
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小泉内閣が8月8日、郵政民営化法案の参院での否決を受けて衆院を同日解散、「8月30日公示、9月11日投票」の選挙日程が決まりました。
郵政民営化法案は、民主党・日本共産党・社会民主党など野党の反対と自民党からの造反などで、賛成108票、反対125票と17票の大差で否決、廃案となりました。
「百害あって一利なし」の郵政法案の内容と、日本の財界とアメリカ政府が全面的に支援し、「改革の本丸」などとし、国会会期を大幅に延長したうえ、解散カードで国会を脅し強行しようとした小泉首相の強権手法への国会の審判を示すものでした。
「改革の本丸」が落城した以上、本来なら総辞職するのが当然です。しかし、小泉首相は衆院を解散し、道理のなさがはっきりした郵政民営化に固執しています。
郵政は郵便、郵貯、簡保を一体で運営し、税金を一切使わずに国民生活を支えています。
小泉首相は郵政民営化を「改革の本丸」と位置付ける理由として、特殊法人への資金の流れを断ち切る大改革だからと説明してきました。ところが、すでに2001年の「財投改革」で、郵貯資金を特殊法人に自動的に流す制度は廃止されています。天下り・政官業の癒着や大型公共事業の浪費など、特殊法人の無駄遣いの構造にメスを入れるという、政治が本来果すべき責任を回避する議論です。
郵政民営化で「小さな政府」にする必要があると強調しますが、郵政は独立採算で経営し、職員の人件費にも税金を使っておらず、民営化しても歳出は減りません。
総選挙は、庶民大増税や九条を中心とする改憲の流れを変える、主権者国民が審判をくだす絶好のチャンスです。 |
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戦争できる国づくりが進むなか戦争体験を聞く会などの取り組みが盛んである
◆房総で花卉栽培を行っている人達は、戦争に役立たないと食料を作らされた。戦後、花卉栽培を再開したが食糧事情も改善していない中、多くの需要があった。戦没者慰霊祭のためであった事を話していた
◆召集令状の配達を行った自治体職員は、「気の毒にと思いつつ…薄情でつらい仕事」と語っている。兵隊や従軍看護婦として悲惨な経験をした人、体験者のみが抱える60年後も忘れられない重いものが人生のなかで占めている
◆戦争中の物資不足が忘れられず味噌、椎茸、塩、砂糖など、保存のきくものは1年位買いためておかなければ心配という高齢者もいる。戦争に行った人も行かなかった人も戦争を心の奥底にしまって、抱えている人もいる
◆憲法は、地方自治を明記し、自治体に住民の福祉を増進させ暮らしを守る役割を担わせた。戦争で塗炭の苦しみを味わった高齢者。その高齢者福祉を切り捨ててきた石原知事は、靖国神社にどういう思いで参拝するのだろうか
◆九条の会の講演会で、井上さんは「平和憲法を守ることは日常的な生活を守ること。家族で買い物や仕事をするという日常的な暮らしを守ること」と訴えた。私たちの暮らしは憲法に大きく守られている(昭) |
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