東京都は、大都市東京の活力と魅力を高めるため三環状道路の一つである「中央環状線については品川線の早期整備に向けて」と、本来、東京都が負担する必要のない首都高速道路公団の事業に、都民税1250億円を注ぎ込む道路建設の推進を決めています。 品川線は首都高速道路公団が整備すべきもので、都も総事業費4千億円の半分を直轄事業として整備するとしています。都の税金投入額は、首都高公団が実施する従来方式に比べ、750億円も増加し、1250億円に膨らみました。 軟弱な地盤の工事 品川線は地下トンネル方式で、この延伸部分が通る山手通りの大部分は、目黒川沿いの低地で地盤が悪い。そこでの地下工事だから、建設費の膨張が予想される(「都政研究」2月号)と懸念の声があがっています。 中央環状線は建設費が高く、採算の面からも疑問が出されていました。2年前に開通した王子線(板橋区‐足立区江北約7キロ)では建設費が当初計画の3倍の4130億円に。現在建設中の新宿線(板橋区熊野町‐目黒区青葉台約11キロ)も、やはり当初計画から倍化し、1兆240億円と、1メートルつくるのに1億円以上かかる“高額道路”となっています。 都民の意見反映を 事業主体の首都高速道路公団は、道路四公団の民営化により、今秋には新会社に移行します。計画を継続するかどうかは、事業を引き継ぐ新会社に委ねられています。予算特別委員会の締めくくり総括質疑(3月25日)で、共産党の吉田信夫都議は、都の負担が従来方式よりも膨れ上がるだけでなく、「際限なく負担が増える可能性が強い」と、せめて公団が新会社化されるまで計画を見合わせ、都民の意見を聞くべきだと追及しました。都の負担が増える750億円あれば、都営住宅2500戸、特別養護老人ホーム50施設、認可保育園80園が建設できることを明らかにし、見直しを求めています。 こんな無駄遣いに、自民党は「石原知事の英断」とほめちぎり、民主党は「前進」したことを評価し、公明党は「整備促進」を、都民には「財政が大変」といって福祉を次々削る一方で、こうした理不尽がまかり通る都議会となっています。 道路整備は、生活地域の電柱の埋設や自転車専用通路の確保など、震災にも備えた住みよい安全な街づくりという点からこそ行うべきものであります。
「臨海部開発問題を考える都民連絡会」が主催した「都市再生」開発現地見学(第3回目)が、6月5日(日)35人が参加し行われました。朝9時30分、東京駅丸の内南口、中央郵便局前に集合した一行は、貸し切りバスに乗り込み、昨年オープンしたオアゾ(旧国鉄本社跡地)や丸ビル、2007年に竣工する新丸ビル(東京駅の空中権を譲受、高さ198メートル)建設現場などの丸の内・大手町界隈の再開発地域を巡り、石原知事が推進する秋葉原の再開発(ITセンター)地区に向かいました。 街壊しの「巨大開発」 旧神田市場跡(都有地・1万6千平方メートル)を鹿島グループに払い下げ(入札をめぐる経緯など疑惑が指摘されている)ています。その場所に、秋葉原ダイビル(高さ147メートル)がこの3月に完成、06年には秋葉原UDX(同101メートル、東京都の基盤整備事業として土地の区画整理を行う。写真右下)も完成予定となっています。周辺は既存の電器店が撤退し、街の様相が様変わりをしています。 中央区勝どき6丁目では、東京食糧倉庫跡地に「東京最高層地上58階建てツインタワーマンション」建設現場を見学調査。入居世帯数は「2800戸」(勝どき5・6丁目、豊海を合わせた2600戸を上回る)という巨大なもので、交通量や環境悪化は必至。さらに、豊洲や東雲の地域にも、超高層マンション建設の巨大な開発が進められています。 臨海副都心では、依然として空き地が目立ち、第三セクターが運営する「テレコムセンタービル」(すでに都が赤字第三セクターの救済に4百億円に上る金額を投入)のガラガラの空き室状況を入り口のインフォメーションボードで確認。都が空き室を埋めるため入居させた「都職員研修所」の看板が4フロアー埋め、参加者から「家賃などいくら払っているのか」と、怒りの声があがっていました。さらに、入居していたNTTドコモも品川駅東口の再開発地域にできた超高層ビルに移転、いっそう空き室状態がひどいものになっていきます。 現地見学は、品川駅東口再開発地域、六本木ヒルズ、六本木防衛庁跡地再開発、そして汐留の汐サイトの超高層ビル群を見学調査しました。 改めて「経済の活性化」や「都民が安心して暮らせる街づくり」とは程遠い、大企業と大手ゼネコンが設ける仕組みが、小泉内閣と石原都政が進める『都市再生』であることを実感するものでした。
世田谷区にある小田急線梅ヶ丘駅から5分の都立梅ヶ丘病院が廃止されようとしています。 これは都立病院改革マスタープランによるもので、清瀬小児病院・八王子小児病院と共に統廃合し府中に小児総合医療センターをPFIで建設するというものです。今、世田谷で存続の大きな運動が起きています。 日本で唯一の子どもの心の専門病院だからこそ 梅ヶ丘病院は50年以上、幼児から18歳までの、心を病む子どもたちの治療をしてきた児童精神科専門病院です(一日平均入院210床外来130人)。虐待やPTSD、不登校やいじめ、知的な発達の問題や学習上の困難など、児童精神科医療への期待や重要性が増しています。厚生労働省も「子どもの心の診療に携わる専門医師の養成に関する検討会」を開催しています。 地域に支えられて存続の運動 2003年1月患者家族や地域住民、関係団体による「梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実を求める会」が結成しました。石原知事の都立病院つぶしの中身を伝え、児童精神科医療を守り続ける事が大切であると訴えてきました。月2回の駅頭宣伝、歩行者天国や羽根木公園での署名活動、新聞の折込ビラ、商店街へ「梅ヶ丘病院を存続させて」のポスター貼り出し、「子どもの心の健康を守ろう」というシンポジュウムは3回開催し、今年4月は230人の地域の皆さんが区役所集会室に集まりました。一人で400人以上署名を集めた人、病院の門前で外来患者に訴えている家族もいます。会で現地見学会も持ち、改めて梅ヶ丘病院の環境の良さと、地域の理解のあること、青鳥養護学校梅ヶ丘分教室もあり、地域機関との連携が取れていることを実感しました。 家族の声を東京都や世田谷区へ 梅ヶ丘病院の存続と小児医療充実を求める都議会請願署名が、5万8049筆提出され継続審議となりました。家族からの陳情書は一部採択されました。世田谷区助役にも要請しました。病院の近くに越してきたこと、何年も外来診療にかかること、病院から、アルバイトを紹介してもらってよかったこと、病院の中に来るとほっとする空間があることなど切々と存続を訴えました。 3年目になり「存続を求める家族の会」も発足しました。都病院経営本部は「今まで梅ヶ丘病院の果たしてきた役割を十分評価している。地域住民の声として真摯に受け止めていきたい」と議会答弁しています。家族の意見を聞くことは、まだ実現していません。 運動もあり廃止は09年度に延びました。然し都はPFI業者を今年度中に決める予定です。梅ヶ丘病院の大切さ、都が果たすべき役割を、今後も都民や利用者に訴え梅ヶ丘病院の存続を実現させたいと思います。【梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実を求める会・森松恵美子】
7月3日投票で都議会議員選挙が行われます。選挙を前に、石原都政は「ひどいひどい」と言われていますが、その反面三百万票も獲得。この石原都政が何をやってきて、これから何をしようとしているのか、意外と知られていないのではないか。また、知事をチェックする議会はどうなっているのか。 都民連は参加各団体が、その経験と英知を集めて、石原都政の危なさを告発するパンフレット「住んでて良かった 働いてて良かった東京を」を発行しました。 組合や団体で活用できるように内容は、「住宅事業を都市再生事業に変質」「都立病院統廃合」「民間委託になった救急車」「削減続く福祉関係予算」「これでいいのか東京の教育」「中小企業切り捨ての実態」「超高層ビルで温暖化・環境破壊」「石原都政のゆがみの特徴」となっています。短くわかりやすい言葉でつづられ、学習会・小集会に最適です。ぜひ活用してください。【都民要求実現全都連絡会事務局長・高畠素昭】