|
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2005年5月15日発行 |
東京都に施設修繕費ズシリ
バブル後「箱ものラッシュ」のツケ 「隠れ借金」数千億円? |
|
東京都がバブル後の1990年代前半に次々と建てた都庁舎など巨大な「箱もの」の公共施設が近く修繕時期に入り、東京都に巨額の設備更新費が発生することがわかりました。
更新費は数千億円とも試算され、都財政の表に出ない「隠れ借金」であり、更新費の大部分は準備をしていません。都民の税金で「箱もの」ラッシュのツケを払う羽目になっています。
東京都は新年度一般会計予算案で、初めて外壁パネル間のすき間を埋めるシール劣化状況を調べるため、3千650万円を計上しました。都庁舎は「超高層ビルゆえ風が強く、外壁シールの劣化は早い」ということです。
ビルは築20〜30年で設備の修繕・更新期に入るといわれています。
一般的に空調や電子機器、エレベーターなどの設備更新費は建設費の4〜6割とされており、都庁舎の場合は600億〜900億円と予想ができます。更新用の基金は準備できず、今後は都税に頼る一般会計から毎年支出せざるを得なくなります。
東京都がバブル後に建てた箱ものは90〜96年で、東京武道館から東京国際フォーラムまで8ヵ所あり、東京都が所有者です。設備更新が順次始まり、大部分でその都度予算化する必要があり、建設費からざっと試算すると2千500億〜3千800億円に上ります。
東京都財務局は、一般会計の他会計からに借り入れを「隠れ借金」としていますが、箱ものの設備更新費などは「本当に隠れた借金」「第二隠れ借金」いわれるものです。
|
|
|
|
|
東京・臨海副都心でビル事業を行っている東京都の第三セクター、東京ファッションタウン(本社・東京都江東区、資本金約172億円。写真上)、タイム24(本社・同、資本金約25億円。写真下)の二社が破綻、民事再生法の適用を3月31日、東京地裁に申請をしました。二社の負債総額は約1300億円にのぼります。
東京都は来年4月に、両社を臨海副都心の第三セクター、東京ビッグサイト(本社・東京都江東区、都が約73・47%を出資)に吸収させビル事業を継続する方針を選択しました。
二社の「再生」方針は、金融機関に負債のうち880億円(債権額の約80%)の債権放棄を求めるとともに、都が出資した46億5千万円、地代37億4千万円の債権放棄を求めるとしています。
両社はいずれも東京都、政策投資銀行や都市銀行、大手ゼネコンなどが共同出資して設立したビル事業を主とする株式会社。両社とも国の「民活法」の適用を受け、補助金や無利子融資を受け、1996年にビルを開業しました。
二社とも債務超過に転落したため、都は2000年から地代の繰り延べ払いを認めるなどの支援策を講じたが、04年3月期決算では累積損失が合計で434億円を超えました。
この他、東京テレポートセンターなど臨海部ビル経営をしている第三セクターも債務超過に陥り、都が財政支援をしています。三社の決算で、独立監査法人の監査報告は「継続企業の前提に重要な疑義が存在」と警告しています。
「臨海三セク都民オンブズマン」は2月に提言を発表、債務超過の臨海三セク5社を完全民営化するか、法的整理をするよう求めました。
破たんしたビル経営三セクを、どう抜本処理するのか、石原都政の対応が問われています。
|
|
|
|
|
板橋区在住・荒井富江さん(82歳) |
私は、ひとり暮らしで年金もなく「生活保護」で暮らしています。昭和59年に肝臓を半分切除したために、それ以来、働くことができません。病院以外にも、ハリ、灸、マッサージを、やむなくかかっています。そうしないと、足が硬くなって歩けないからです。1ヶ月に2回もかかるので6000円もかかります。生活保護では(医者が認めたもの)ハリ、灸、マッサージは、認められませんので現在はお金がなく、治療ができないでいます。
04年度からは老齢加算として支給されていた1ヶ月1万9730円が9670円に減額されたからで、本当にひどすぎます。それも3年間ですべて廃止するというのです。
板橋区では「経営刷新計画」の名によって80歳以上の人に支給されていた「敬老金1年に5000円」を廃止したり、ひとり暮らし「高齢者福祉電話事業」としての電話料の助成(1ヶ月2700円)を廃止されたために、その影響は大きいのです。国も都も区も国民の命をどう考えているのでしょうか。
また、民間住宅で暮らしていますが、老朽化が激しく他の住宅移りたいのですがひとり暮らしの住宅が少なく困っています。高齢者には民間住宅は貸してくれません。
住まいは人権といわれます。石原都政になって都営住宅の新規の建設はゼロです。安心して住める都営住宅をたくさん建ててください。
|
|
|
|
|
|
|
|
シリーズ自治体とは(9)
都民施設が使えなくなる指定管理者制度 |
|
|
PFI区部ユース・プラザ鰍ニいう民間事業者が管理・運営する旧夢の島体育館(BumB)と新設のフットサルコート |
都民財産切り売りと負担増
今、自治体の役割が変えられようとしています。自治体の役割は住民福祉の向上であり所得格差によって生じる生活満足度の差をなくすことです。しかし、石原都政は所得格差をさらに拡大して、富める者がさらに豊かになる都政を進めようとしています。その一つが指定管理者制度です。都民施設の利用料が高くなる、利用者を制限する可能性もあります。都民の財産を富裕層だけが利用できる施設に変える危険性です。
指定管理者制度は庁舎と競馬場を除く全ての施設が対象となります。第1回定例都議会では人権プラザ・美術館・体育施設・都営住宅・福祉住宅・児童福祉施設・公園・霊園などへの導入する33件の条例が可決されました。
現在、これらの施設は直営または関連法人が都の委託を受けて運営されてきました。これからは、企業を含む団体が業務を代行します。上限はありますが、利用料を設定したり、利用者を決定したり、独自の事業を有料で展開します。
豊島区や板橋区で体育施設の指定管理者となった(株)コナミスポーツでは「様々なプログラム、教室等の自主事業を展開する」としています。これまで勤労者や高齢者を対象にした健康増進事業は独自事業として有料の健康講座やスポーツ教室に変わります。しかも独自事業の場合は利用料に上限がありません。既に開設されたあるスポーツ施設では市民の申し込み情報がカード会社に流れる等の懸念が表明されました。情報管理や情報公開なども不透明な制度です。倒産による突然の施設閉鎖もあります。指定管理者制度で自治体の責任は施設設置者としての賠償責任のみに限定、運営や財政状況も事後のチェック、施設運営の決定権は民間企業など経営者に任されます。
利用・被利用の関係だけに
これまで多くの施設では利用者懇談会等を通じて住民と一緒に施設運営を行う努力をしています。私たちの選択権は料金を媒介として被利用として利用するか否かだけとなります。事業内容への意見や改善要望はできても主権者として事業者と一緒に改善を議論する制度ではありません。
条例改正を受けてこれから具体的な指定管理者の選定や事業内容を決定する段階です。各区市では住民や自治体労働者の運動で運営協議会の設置、情報公開、議員など利害関係者の排除を獲得しています。施設の労働者の労働条件を確保し各事業の平等性、継続性、専門性といった公共性を維持させましょう。【東京自治労連・書記長野村幸裕】
|
|
|
連載 石原都政と教育(第18回)
子どもと教育の風景(18) 東京都教職員組合 教文部長 滝沢 孝一 |
|
重なる風景
JR福知山線で起きた悲惨な事故の惨状にしばし言葉を失った。犠牲になられた方々に心よりご冥福を祈りたい。事故の調査が進むにつれて、なぜ列車が制限速度を大きく超えてあのカーブに入ったのか、その背景が明らかになってきた。
■JR西日本が高速化を売りにし、阪急との乗客取り合いをしている。
■一分でも遅延してはならないと「定時運行」が強いられる。
■私の同僚は約一分の運行の遅れを理由に「日勤教育」を受け、自殺に追いやられた。
■会社の再教育はすさまじい。管理者が大勢で取り囲む、草むしりさせる、人格を否定する暴言など恐ろしいものがある。
■「日勤教育」で乗務を降ろされると、乗務手当が付かず、月十万円の減収。基本給だけでは食べていけなくなる。
■度重なる合理化で約四割、2万人近くが職場を去り、会社はさらに4千人の合理化を進めている…。
JR西日本の職員の証言は、安全も人命も人権もなおざりにする凄まじい利益優先の「成果主義」の姿を生々しく伝えている。
こうした状況と縁遠いと思われる学校現場から、最近の職場の様子と似ているとの声が聞こえてくる。目先の「成果」を強要する教育行政。初任者のミスを取り上げて正採用にしないと脅す校長。気に入らない者は異動だ、強制研修だとうそぶく管理職…。見せしめや処分が横行する学校と先の風景が重なる。 |
|
|
|
|
5月1日・代々木公園でおこなわれた働くものの祭典「第76回中央メーデー」には4万3000人の労働者が集まりました。 |
|
|
「9条を守る大きなうねりを! とめよう憲法改悪」を掲げ、5月3日・日比谷公会堂に5000人を超える人が参加しました。 |
|
|
「核兵器も戦争もない世界のために、ともに歩こう」と、5月6日・夢の島で05年国民平和大行進・出発式が900人を超える人の参加者でおこなわれました。 |
|
|
三宅島帰島しての実相
生活の基盤の住宅復興急がれる |
|
|
噴火の火山ガスや酸性雨の影響で大きな被害受けた家屋−三宅島− |
00年9月の噴火で全島避難になった三宅島では、火山灰で家が埋まったり、火山ガスや酸性雨の影響で屋根に穴が開いたり大きな被害を受けました。
4年半の長期に及ぶ避難生活を終え、2月1日から帰島がはじまり、4月末で7割近い住民が帰島しています。今後三宅島の復興が急がれますが、そのためには何と言っても生活の基盤となる住宅の復興が急がれます。
本格帰島して、一時帰島では見出せなかった雨漏りや白蟻の被害が広がり、家屋の傷み方が予想以上に進んでいます。
また、金属の使われている箇所の痛みも激しく、アルミの窓枠に穴があいていたり、水道などの水回りの傷み、ボイラーが使い物にならなくなっています。
住宅の修理が急がれますが、大工さんの手が足りず、東京土建のみなさんが全建総連の一員として4月中旬から2ヶ月間、地元工務店の応援という形で延べ1千人を派遣することになっています。
また、建築資材の搬入が遅れ、電気屋さんが水道屋さんを兼ねているため、公共事業にとられ、住宅付随設備の修理も進んでいないの実情です。
そして、ふすま・障子・畳も新しくし、白蟻の被害で床も修理しなければならず、かなりの出費を余儀なくされます。
産業復興も急がれますが、農業では、畑がハンノキなどの雑木におおわれ開墾がすすまず、明日葉など農産物による収入も見通しが立っていません。漁業では、火山ガスや噴火灰でエンジンがダメになり、エンジンを載せ換えなければなりませんが、それだけの経済力も無く、見通しがたっていません。観光でも火山ガスの影響でどれだけの観光客が来るのか未知数というのが現状です。東京災対連は、三宅島の一日も早い復興にむけ、国・東京都に対する運動を強めていかなければばらないと考えています。【東京災対連・伊藤潤一】
|
|
|
|
107名の尊い人命が失われてしまった。JR脱線事故。事故の背景に過密ダイヤ、旧ATS等、安全より儲け第一になってしまったJRの体質が浮かんでくる
▼ドイツを旅行した時、温泉に入るため到着時間を頼りに電車で向かった。電車は遅れると聞いていたが、50分過ぎても到着せず、何回も車掌に問い合わせた記憶がある
▼JRの事故は、90秒の遅れを取り戻すためにスピードを出しすぎてカーブで脱線横転したと伝えられている。スピードを出したのは、賃金カットや「日勤研修」があるように見える。職員のミスを原因で考えるのではなく個人責任を追及する強権的職員管理である
▼自治体では人を相手にする仕事が多い。効率的な行政は必要であるが民主的でなければ、現場での「安全」という声は活かされないことになる。上司との関係が上位下達「命令と服従」の関係になっていないだろうか。医療や福祉が命や生活を守ることより「贅沢」と切捨てに熱心になっていないだろうか。内心の自由を侵す研修など強権的職員管理がなされていないだろうか
▼「安心して子どもを生み育て、老後も住み続けたい」庶民の願いはささやかである。その願いを叶えるのが自治体の役割である。そうした都政にする第一歩である都議選は近い。(昭) |
|
|
|
|
|
|