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都民がつくる革新都政
会の機関紙「都民がつくる革新都政」2004年7月15日発行
連載 ここが違う 第2期石原都政の特質(最終回)
前都庁職委員長 氏家 祥夫

「もう一つの都政は可能だ」をめざし政策・運動を都民共同でつくりあげる
石原都政の「歪み」と都民の反撃は広がっている

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莫大な税金注ぎ込み埋め立て売りに出した臨海部10年たっても分譲進まず多くの空き地が目立つ臨海副都心

 福祉・医療では「経済的給付」の削減に続き、児童・障害者・高齢者施設の廃止・民営化が進められ、16の都立病院が廃止・民営化で半減させられようとしています。
 大きな12都道府県の中で、福祉・衛生関連予算を削減しているのは石原都政だけです。東京の出生率が1・0を切ったのも大きく関係しています。東京の未来にかかわる大問題です。
 施設利用者や患者・住民のねばり強い反撃の運動が続けられ、反対の意思は関係市区町村の自治体にまでその輪が広がっています。
 都立の大学の解体に反対する運動は学内の教員・学生・院生はもとより、全国の国立・私立関係者やフランスの知識人の抗議にまで広がっています。
 「日の丸・君が代」での処分・統制問題に対して、教育庁管理職のOBまで抗議に立ち上がっています。民主主義をぶち壊し、法に違反するやり方が世間で通用するわけがありません。
 「都市再生」でも東京湾にそびえ立つ巨大ビル群が壁=「トウキョーウォール」として海からの風を遮り、ヒートアイランド現象を悪化させる“元凶”だとしてその恐ろしさが指摘されてきています。
 圏央道の土地の強制収用に対して地権者らが行政訴訟を起こし、国立市では美しい町並み・景観を求めてマンション訴訟が続けられています。
 臨海副都心などの第三セクターでは累計赤字が1815億円にもふくれあがっています。
 これらの被害や破綻は石原知事を支持した層にも広がり、運動は大きな流れとなって石原都政ノーに合流する可能性を秘めています。

小泉政治の「市場原理・戦争をする国」に対抗して
 石原知事は口を開けば、国政の批判をくり返してきました。しかし石原都政の内実は、小泉政治を先取りし、競争至上主義による勝ち組・負け組の階層社会と財界優先の社会、強権による戦争をする国へと導こうとするものでした。
 今回の参議院選挙結果は小泉政治の危険性と本質が国民の中に明確になってきたことを示しています。
 これから2007年に向けて、社会保障制度・消費税・憲法問題と国民的な課題は山積みです。都政は国政ヌキでは語れません。国政と都政を重ねて運動をすすめ、展望を切り開く重要な時期にさしかかっていると思います。

「人間が主人公の都政」をめざして
 フランスのスーザン・ジョージ女史は公共財をすべて貪欲な利潤追求の対象に変える世界の市場化を糾弾して「もう一つの世界は可能だ」を訴え続けています。
 都政も「競争や生き残り」「反民主主義」の都政とは無縁の、人間が主人公の都政は可能であり、いまこそその声を強く押し出す時ではないでしょうか。
 ‐平和を守り憲法をくらしに生かし、市場原理・経済成長至上主義でなく、地球環境と整合し、人間のくらし中心の「維持可能な社会」をめざし、加えてグローバル競争の拠点都市東京でなく、全国の道府県・市町村およびアジアと連携し、文化・水辺・森・広場の東京を修復・改造していく‐本格的な政策と運動を都民共同で作り上げようではありませんか。

墨田区 安易な拡大許さない指定管理者制度
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全区域住民へ宣伝
 墨田区では04年4月から、区立保育園と児童館各1ヵ所に指定管理者制度を導入しました。区立保育園は初めての民間委託で、計画が明らかされた段階から区職労は保育園分会とともに民間委託反対、公的保育拡充をめざす闘いを進め、3回の全区域住民宣伝チラシ配布、地域宣伝、駅頭宣伝を行いました。

区民の声が反映
 対区要請署名にも精力的に取り組み、父母の協力も得て、30、000筆を超える署名を集約、区議会に対する請願も行いました。しかし、当該保育園の父母を始め多くの区民の反対にも拘らず、民託化推進路線の区議会与党勢力の厚い壁に阻まれ、民託化を阻止することは出来ませんでした。しかし、従来の直営の保育水準の低下は許さないとの区民の声を一定程度反映して、委託先は区内で保育事業の実績ある社会福祉法人とさせました。

区民サービス維持向上を
 区当局は今後も指定管理者制度を活用した民託化を推進する計画を明らかにしています。区職労は公的責任を堅持し、区民サービスの維持向上と雇用を守る立場から、安易な指定管理者制度の拡大を許さず、直営事業の維持、現行の第三セクターへの委託の継続、民間企業の新規参入反対の取り組みを公共一般墨田支部とも連携し、区民、諸団体とともに進めます。
 また、指定管理者制度の受託法人における労働者の組織化についても意識的取り組みを追求し、福祉保育労、地域労連とも連携し、委託園での福祉保育労への加入の成果も挙げています。【墨田区職労書記長・田中芳雄】

東久留米市 公立保育園すべてを民営化
革新市政のときは
 稲葉革新市政時代、東久留米市は“子育てして良かった言える街づくり”を先輩市民の共同の財産として運動をすすめ、公立保育園の存在がありました。しかし、保守市政になって、03年8月25日、野崎市長は議員及び部課長を一同に会して「財政危機宣言」なるものを発表しました。

説明責任がない市当局
 そして公立保育園のすべてを民営化する、公立幼稚園は廃止する、という子どもにかかわる行革が発表され、市民のなかに大きな波紋を呼んでいます。
 市民および利用者の説明には、「財政危機」が先にありき、「理解してほしい」の一点張りです。
 平成18年に移転建替えにともなう「ひばり保育園」も、民営化の嵐にさらされました。ひばりの父母会、父母の会連合会、および保育問題協議会は、12月議会、3月議会、6月議会と、3回に及んで6種類の陳情請願を続けてきました。
 そして、市議会厚生委員会では市民の大きな運動によって採択になりつつも、本会議では全て否決という繰返しです。

市民運動の広がり
 市長は、挑戦的に「市長の決断に納得できないときはリコールする」という手法もある、とまで言っています。
 市長のやり方に納得できない市民は、お互いの運動を交流しようと、2回にわたって運動交流の集会を持ちました。それぞれの組織がお互いに運動しながら交流していく輪は、日増しに大きくなっています。18年前、吉田行革のときの市職が、運動の中心を担って闘ったときとは大きく違いはありますが、平成18年の市長選をにらみながら、いま、草の根の運動がひたひたと広がっています。【東久留米市職・初山京子】
NPO・働きたいみんなのネットワーク
失業者の年齢、若年化 中高年再就職活動困難
 NPO・働きたいみんなのネットワークが無料職業紹介所「ワークサポートセンター」を新宿百人町に開設したのは、2002年12月。以来、この1年半200人近くの求職者と50近い企業がワークサポートセンターを利用しています。
 事務所開設時の雇用状況は、完全失業率が戦後最悪の5・5%、特に東京のこの年の年平均失業率は5・6%となっていました。
 この状況を反映して失業者の年齢が年を追うごとに若年化していること、また中高年の場合、年齢制限でほとんどはねられ、たとえ再就職に成功しても企業側の契約違反の働かせ方でトラブルになって辞めざるをえないなど、再就職活動は困難をきわめています。
 そのために、失業期間も長引き、生活苦が進行していること。自営業倒産やリストラによる一家離散でストレートに路上生活が余儀なくされホームレス化が進行していること・・・。これが、今年5月の失業率4・6%に改善されたと豪語する小泉政治の現実です。
 3月9日東京都に対し、緊急地域雇用創出交付金の継続と改善のための意見を国に上げることを求め陳情を行いました。これにもとづいて、5月27日都議会の経済・港湾委員会で審議され、働きたいみんなのネットワークの代表は、東京地評・東京春闘共闘・建交労の各代表とともに審議の傍聴を行いました。
 求職者・失業者の働く場を確保するための雇用対策として交付金事業の必要性を訴えてきています。政府は、雇用情勢が改善されてきたとの理由で来年度から打ち切りにしようとしています。東京都は「この事業が成果あるもの」と評価しており、中高年の雇用創出・確保のためにも今後も継続するよう求めています。【働きたいみんなのネットワーク代表・佐々木浩】
 
 NPO・働きたいみんなのネットワークは1999年7月、失業・雇用問題を労働運動が取り組むことの重要性から東京春闘共闘会議が失業者と相談し、結成した組織。
 その後、失業問題を広く市民活動として発展させる方向でNPO法人化し、専門家のキャリアカウンセラーによる再就職支援のセミナーや、労働団体と連携した都内18ヶ所のハローワーク前アンケート調査5年連続実施、2002年11月末厚生労働大臣許可の無料職業紹介所「ワークサポートセンター」開設、求職者・失業者のための活動で現在に至る。
 
連載 石原都政と教育(第8回)
子どもと教育の風景(8) 東京都教職員組合 教文部長 滝沢 孝一
『茶色の朝』
 最近読んだ本のなかで、「これ、ぜひ読んでみたら」とすすめているのが『茶色の朝』という絵本だ。作者はフランク・パヴロフ、フランスとブルガリアの二重国籍をもつ。11ページほどの、ごく短い物語である。
 語り手の「俺」と友人のシャルリーの住むこの国で、すべてが「茶色」に染まっていく。猫、犬、新聞、本、ラジオ、服装、政党…。そして「茶色」以外の猫や犬、新聞も本もラジオも、瞬くうちに、みんなこの国に存在することすら許されなくなる。「茶色」以外のものが、この国から次々と抹殺されていく…。
 一九九八年、フランスでルペン率いる極右政党・国民戦線が大躍進し、保守派の中にルペンと協力関係を結ぼうとする動きが強まった時に、パヴロフはこの物語を書いた。四年後、フランス大統領選挙はシラクとルペンの決選投票となった。この時、この歴史の岐路のなかで、フランスの多くの人々が伝え、読み合ったのが『茶色の朝』だった。
 東京では石原都知事と都教委が、俺たちが決めた教育以外は許さんと、学校が工夫を重ねた教育内容や授業に泥靴で踏み込み、介入と処分を連発している。つい先日まで都教委も高く評価していた七生養護学校の性教育の授業を強引に踏みつぶし、教職員を大量処分。「日の丸・君が代」に反対する人間は「癌」だ!痕跡を残すな!子どもが起立斉唱するように指導内容に職務命令を出せとまで言い出した。
 『茶色の朝』の「茶色」は、ナチス党の制服の色。ファシズムを象徴した色である。
男女平等に対するバックラッシュをはね返して
ジェンダーフリーを否定

 石原知事は、6月1日の都議会定例会開会日の所信表明のなかで「最近、教育の現場をはじめさまざまな場面で、男女の違いを無理矢理無視しようとするジェンダーフリー論が跋扈しております。男らしさ、女らしさを差別につながるものとして否定したり、ひな祭りや鯉のぼりといった伝統文化までも拒否するなど、極端でグロテスクな主張が見受けられます。‐略‐男女の区別なくして、人としての規範はもとより、家庭、社会も成り立ち得ないことは自明の理であります。‐略‐四都県知事懇談会においてもジェンダーフリーについて全員一致で反対していくことを確認いたしました」と述べました。
 この2、3年、自治体での条例づくりなど、男女平等をめざすとりくみへの組織的攻撃と軌を一にした重大で許しがたい発言です。そもそも「ジェンダーフリー」とは「社会的文化的性差別に対する偏見から開放されること」であって「男だから女だからこうあるべき」という固定的な見方や押しつけをやめ、一人ひとりの個性と能力が発揮できることをめざすものです。6月10日、新婦人都本部は、抗議のFAXを『知事への提言』に送付しました。

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荒川区で条例案撤回
 この5月、荒川区でも「区男女共同参画社会懇談会」が、ジェンダーフリーの「逸脱や行き過ぎを防ぐよう留意する」との一項の入った報告を区長に提出。6月の区議会で「男女の特性」を強調した条例案が制定されそうになりました。これには、賛否を含め100件以上の声が全国から寄せられ、懇談会の密室性への批判も含め区民の運動もあり、制定寸前に区長が条例案の撤回を表明しました。
 こうした男女平等に対する逆流(バックラッシュ)の担い手は、「日本会議」「日本女性の会」「新しい歴史教科書をつくる会」などに集まる学者、「知識人」、自民党、民主党の「党派をこえた」国会議員、都議、地方議員です。
 憲法、教育基本法改悪が日程にのぼり、「戦争する国」「戦争する人」づくりのためには、人権や平等を主張する女性運動をたたき、萎縮させる必要があるからだと思います。女性が自らの心と体の主人公になることは女性の人権の重要な内容のひとつです。都知事をはじめとするバックラッシュ攻撃を世論と運動ではね返していきたいと思います。【新婦人都本部会長・上伸子】

子ども不在の教育破壊進める都教委
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盲聾養護学校経営調査委員会報告にもとづく不当処分撤回を求める宣伝=都庁前

 昨年の七生養護学校の性教育攻撃を機に始まった都教委の教育介入は、とどまることなく暴挙を重ねています。10・23通達に基づく「日の丸・君が代」の押しつけと反対する教職員に対する処分と脅しによる攻撃が続いています。
 公立小・中学校、都立学校あわせて248名の処分をおこなった上に、さらに5月25日、卒業式・入学式での生徒の不起立を理由に担任や校長など67名に対して「厳重注意」等の「指導」を行いました。また、6月28日には、「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に「懲戒処分」を受けた教職員に対して「服務事故再発防止研修」を行うことを通知を行ってきました。「処分」に対しては、現在東京都人事委員会に不服審査請求をしています。「処分の違法性、不当性」については係争中であり、まだ確定しているわけではありません。しかし、都教委はそうした事態すら省みることなくさらに教職員への不当な「研修」を強要しようとしています。
 こうした動きは、憲法や教育基本法の「思想、信条に自由」を踏みにじり、教育基本法10条で固く禁じている教育行政として行ってはならない教育への介入を力でもって行い、教育を支配しようとするものでとうてい許すことはできません。こうした実態を広く都民に知らせとりくみを強めていく必要があります。【都障教組書記長・佐田孝三郎】

狛江市長選
矢野ゆたかさん3選 50.21%獲得
 6月20日投・開票がおこなわれた東京・狛江市長選で、「豊かな狛江をつくる市民の会」が擁立した現職の矢野ゆたか氏が、自民・公明・民主・生活者ネット・連合東京が推し、石原都知事の応援も受けた河西信美氏(前都議)を破り3選を果たしました。各陣営を支持している政党間の力関係は1対8(前回総選挙比例票の比較)で、この基礎力量の違いをはね返しての勝利です。
 矢野氏は記者会見で、「草の根の市民のみなさんの力による勝利です。私は、最初の市長選から市民派市長候補として立ちましたが、この2期8年間のいろいろな局面を経て、今回の選挙で市民派の本物になれたと心から実感しています。市民の知恵と力をお借りして、自治体らしい自治体、市民とともに進んでいく狛江をつくるために全力をつくします」と語りました。
 開票結果は次の通り。

当 矢野ゆたか(無現) 15940票
  河西 信美(無新) 15804票
青い空
 「消費税アップNO!」「憲法9条守れ」と一生懸命がんばった参議院選挙は終わった。「小泉総理の顔を見るのもイヤダ」、巷の声溢れていたのに。その声はどこにのみ込まれていったのだろう
▼タレントや知名度を頼りに「改憲」「増税」の本音をうすめ「小泉にお灸を」と勝ち組民主党に一票を投じたのだろうか?そのほうが少しはましと思案の末に。でも自民党・公明党、そして民主党も改憲・消費税増税を2007年をメドにやってのけようという点では“似たもの同士”には変わりはない「もとを正せば自民党暮らあしー」ともヒネリたくなるのは私だけだろうか
▼選挙に負けて沈黙したくなる私の目に夾竹桃の花が揺れ、8月が近いことを告げている。1945年8月15日、15才のあの日の衝撃は天皇の玉音より「僕たち大人は戦争が悪いことを知っていた、でも勇気がなくて言えなかった。すまなかった!」と生徒の前に手をついて詫びたひとりの教師の言葉だった。《壊滅は至らざるなし爆心地廃墟のなかに灯ともらず》原爆でご両親を亡くされたその先生の短歌である
▼夾竹桃の花が新鮮にその日の私を呼び覚ます。憲法の生きる!国・都政づくりをめざしてもっと燃えてもっと広げてと。(中)
ぼくたちなんの仲間か知ってるかい? 九条の会キッズクラブさ!

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