練馬区長選 吉田健一氏の当選の原因を探る ねりま九条の会事務局長 大柳武彦
2026年5月15日
4月12日投票の練馬区長選挙は吉田健一12万3164票、おじま絋平9万0135票、三上きょうへい6811票、吉田健一氏の圧勝となった。(投票率36・71%、前回より5%アップ)
前回の2143票差をひっくり返した勝利の原因を考える。一言でいえば、区政を変えようという市民一人一人が頑張った、みんながみんな英雄の選挙だった。そのなかで九条の会の果たした役割は大きかったと評価されている。
おじま氏が37歳と若すぎるということもあったが、吉田氏の謙虚な人柄、豊富な経験、独創的な発想の魅力に、みんながほれ込んだ。これまでの区長は、住民の意見も職員の意見も聞かず、思い付きで、トップダウンのワンマン経営を行ってきた。美術館の建て替え、道路建設と再開発優先で、住民との摩擦を生み、学校給食無償化、小中学校女子トイレに生理用品を置くことも拒否し、谷原保育園閉園反対の声も無視し、住民の合意もなしに豊渓中学校の統廃合を決めるなど、保護者の恨みを買った。
他方、杉並区長の区営住宅抽選に外れた人に30万円の家賃補助、介護ヘルパーに1万円上乗せ、世田谷区長の空襲被害者への3万円の見舞金、公契約条例で1時間1610円の賃金は、区長を変えれば住民の生活を改善できることがわかってきた。
吉田氏は、政党の推薦を受けない完全無所属を掲げ、市民の応援に頼った。インクルーシブ、生活者ネット、日本共産党、社民党、新社会党、れいわ、また、立憲民主党の一部は自主的に支持して戦った。一部に言われる共産党だけが応援したのではない。前記の野党それぞれがそれぞれの立場で選挙戦をたたかったことが重要だ。
今回の選挙で、自民党、国民民主、維新、都民ファースト、小池知事の推薦の候補者は、過去の選挙の得票を足せば圧倒的な票差であるが落選した。それはこれまでの区政に対する不満がつのっていたからである。
4年間の取組が結実!
前回の落選から4年間、区議と市民が中心に定期的に集まり準備してきた。正式に候補者が決まった今年の1月から選挙が始まったわけではない。2024年10月に「練馬区長みんなで選挙2026」を発足させ、練馬区財政分析、美術館問題や道路、公園、谷原保育園問題など、地域ごとの報告を聞き、区政の課題と政策をまとめてきた。これらの会議に吉田氏は欠かさず出席してきた。吉田氏は、各九条の会議に参加し、熱い支持を受けてきた。こうして各分野の分厚い住民運動団体に支えられてきた。これらの住民団体は独自にチラシを作り、デモを行い、また候補者決定の遅れに業を煮やし、勝手連を作り、公営掲示板の貼りだしボランティアを募集し、200名を集めた。
駅頭でも、同時に数か所で宣伝、チラシも数回全戸配布し、SNSでは毎日報道し30万回に達する視聴者を得た。ねりま九条の会も、独自のチラシ「練馬区を夢のあるまちに」4千枚を作製、3月から37駅頭で配布した。
ねりま九条の会は今回の選挙は、真の住民自治を打ち立てる第一歩であり、高市内閣の悪政を足元から変える取り組みと位置づけた。
都知事選挙で実現した市民と野党の共闘が形を変えて力を発揮したといえるのではないだろうか。
選挙は勝利したが、あとは区長に任せておけばよいということにはならない。区民との対話の区政は区長の公約であり、5人6人の集まりに区長を呼び、区民参加の予算編成を実現する。
現場の住民の知恵と力を集め、区職員との協同が必要である。また区議会における支えも必要で、議会対策と来年の区議会議員選挙も視野に入れる必要がある。国や東京都からの軍拡、都市計画道路推進の圧力と対抗するために、他区との共同も必要になってくる。
今回の勝利は、憲法15条「公務員は全体の奉仕者」に反し、自民党など一部の政党、団体、企業に奉仕してきた区政に対する審判で、公正、公平な区政の実現を求めた区民の勝利、民主主義の前進を示したといえる。この流れは清瀬市、練馬区にとどまらず、全国的なものとなるだろう。










