ひろがる都民のたたかい 生存権裁判。7高等裁判所で原告勝訴! 東京都生活と健康を守る会連合会 阿久津 豊
2025年5月15日
 国は2013年8月から3回に分けて、生活扶助基準(生活保護基のうち生活費部分)を平均6・5%、最大10%を引き下げました。物価偽装までして強行した大幅引き下げに対し、「憲法25条の定める『生存権』保障に反する」として、全国29地域・31訴訟団、1000人を超える生活保護利用者が原告となり、たたかってきました。
 2024年12月25日の閣議決定で、2025年10月から2年間、生活保護の特例加算について、現行の月額1000円を1500円へと一律500円引き上げることを決め、生活保護利用者の58%が増額されることになりました。しかし、この合意について怒りを禁じ得ません。消費物価総合指数は、2020年比で10%上昇しており、米をはじめ野菜、食料品は軒並み値上がりが続き、500円の引き上げでは、とても追いつきません。さらに水光熱費も値上げするなかで猛暑、寒さに耐えるのも限界となり、命にかかわる状況になっています。


 東京高等裁判所は、3月27日にはっさく訴訟(東京)、3月28日に埼玉訴訟で一審と同様に処分を取り消す原告勝訴の判決を言い渡しました。
 判決は、原告の置かれた大変厳しい生活実態を真摯に受け止め、国が行った生活保護基準の引き下げを厚生労働大臣の裁量権の逸脱と認定しました。生活保護基準は保護制度を利用している人のみならず、ナショナルミニマム(国民的最低限)として他の諸制度・施策と連動しており、国民の生活全般に極めて重大な影響を及ぼしています。そうした点からも現判決は、社会保障制度後退に歯止めをかける意義を持ったものでもあります。
 第2次安倍政権で生活保護基準が不当に引き下げられてから12年、異常な物価高騰が続く今日まで、原告は困難な生活を強いられ続けてきました。そればかりか他界された原告も大勢います。国は、現判決の意義を重く受け止めるとともに、こうした状況にも鑑みて、上告せず一刻も早く判決を確定させることを求めます。


 さらに今後、基準改訂にあたっては、負のスパイラルに陥る第1・十分位(所得階層を十等分して一番低い層)との消費支出を比較する手法は改め、憲法25条の「健康で文化的な生活」を保障する方法で公平に算出することを強く要望するものです。東京高裁には、東京であと2訴訟、千葉、神奈川、静岡とすべての地方裁判所で原告が勝訴した5訴訟の控訴審が審議中であり、東京、埼玉と立て続けに原告勝訴を再度勝ち取ったことは、全国的にも大きな意義があります。
 2025年5月5日現在、28地裁・30訴訟で判決が出され、19地裁で原告勝訴となっています。名古屋、福岡、大阪、東京、札幌、広島の高裁でも原告勝訴の判決が出され7勝目です。
 最高裁第3小法廷弁論期日が5月27日と決まりました 


笑顔つながる東京を 最新ニュース
社会保障
地球環境
ゆたかな教育
防災対策
都政のあり方
革新都政をつくる会とは
関連団体リンク
サイトマップ
旧WEBサイトへ