財界ファースト・都民置き去り予算 自民・公明・都民ファの賛成多数で成立
2025年4月15日
3月28日。38日間の会期で開催されていた都議会第1回定例会が終了しました。この議会は異常な物価高騰、止まるところを知らない貧困と格差の拡大、歴代自民党政権による消費税大増税、社会保障の連続改悪のもとで開催され、東京都が国の悪政から都民を守る防波堤の役割を果たすのか、過去最高額の予算を都民のために使うのかが強く問われました。
第1回都議会定例会で自民・公明・都民ファの賛成多数で成立した2025年度東京都一般会計予算は9兆1580億円と4年連続で過去最高額を記録し、全会計では17兆8497億円とスウェーデンの国家予算に匹敵する莫大な規模となっています。
東京都は昨年7月に発出した「副知事依命通達」で「東京が世界の成長を牽引し、活力あふれる都市へと飛躍するため、国際競争 力の強化」をはかることを第1にあげ、そのために小池都知事お気に入りの「稼ぐ都市」、超高層ビルによる東京大改造については「聖域」としてシーリング(予算の要求上限額)の枠外、青天井とする一方、一般施策については前年度同額のゼロシーリング(物価高騰を考慮すれば実質マイナスシーリング)、さらには前年度不用額を残した施策(都民施策については計画的に使い残し)については10%のマイナスシーリング、革新都政時代につくられて今日も都民運動で守られている2分の1補助は徹底した見直しを押しつけています。
実際に予算の中身を見ると、築地や神宮外苑などの超高層ビル再開発を軸に、お台場の巨大噴水、特定整備路線などに都民の税金を湯水のようにつぎ込み、1兆円を超える投資的経費を計上する一方、財界要求に応えた一部のパフォーマンス予算を除き、高すぎる国民健康保険の引き下げ、小中全学年での少人数学級実施や教員の大幅増員、新規都営住宅の建設、商店街振興予算の拡充などの都民要求にはまったく応えようとせず、喫緊の課題となっている物価高騰対策は全体のわずか0・9%に止められるなど、少子化対策を錦の御旗にしたパフォーマンス予算優先の恣意的で著しく公平性を欠いた予算となっています。
7会派、議会の3分の1の41人が反対しました。
都議会第1回定例会で問われたもの
独断・専横、議会軽視
東京都の予算の編成作業は福祉や医療、教育、住宅、中小企業などの施策についてその必要性、妥当性、継続性、都民要求、財源対策、市区町村との調整・合意などを半年間かけて慎重に検討。係、課、部、局と積み上げ、財務局の査定を経てはじめて予算案として提案される仕組みになっています。ところが小池都知事はこの間、年頭の知事査定で、各部局の頭越しに、1000億円もの予算案をもちだし、有無を言わせず決定するという、トランプ顔負けの独断、専横の予算編成をおしすすめています。そして提案される施策は、与党対策、選挙対策としてのパフォーマンス予算として都庁のなかからも批判の声が上げられるに至っています。
また、議会との関係でも、野党各会派の質問に対する答弁を拒否し、答弁の内容でも自公都民ファの与党への答弁との間に露骨に差をつけ、とりわけ一人会派などに対して「排除します」という姿勢をとっていることは許されません。
議会は知事の付属機関ではなく、行政から独立した協議・合議の場であり、少数意見は例えその時は少数であっても将来には多数の意見となる可能性をもつものとして尊重されるべき、民主主義の根幹をなすものです。小池都知事の不遜な態度は許されません。
都議会自民党裏金問題
国会で政権党の自民党が政治資金パーティの収入を政治資金収支報告書に記載せず、国民に対して隠していた「裏金」問題が大問題となり、国民的批判を浴びているなか、都議会自民党が同様に、政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に記載せず、収入の「中抜き」おこなっていた「裏金」(注)問題が発覚、都議会で厳しい追及がおこなわれました。
しんぶん赤旗は独自に入手した「裏金リスト」もとにスクープ。1月末に都議会自民党が記者会見で発表した裏金議員数や裏金額に「虚偽の疑い」があることを報道。日本共産党都議団もあらたな資料をもとに都議会自民党が「裏金つくりをマニュアル化し、意図的、組織的」に裏金づくりをおこなっていたことを明らかにしました。
また、共産党都議団も加わった6会派で「事件の真相解明と政治資金の透明性確保に主眼を置いた」政治倫理審査会の設置を提案しましたが、自民・公明・都民ファなどが激しく抵抗し成立に至りませんでした。
注)都議会自民党が主催した政治資金パーティーで都議1人当たり100枚200万円分のパーティー券が配られ、半分の50枚100万円分が販売ノルマとされ、ノルマ超過分の収入は都議自身が「中抜き」し、政治資金収支報告書に不記載。