ひろがる都民のたたかい 広がる格差と貧困を東京からなくすために ~ 全国一律最賃制の法制化を急げ ~
2024年9月15日
全労連・全国一般東京地本副委員長 森治美
東京都で働く労働者は、正規雇用が約460万人、非正規雇用は38%約280万人にのぼる。非正規の平均年収は216万円、年1800時間労働換算で時給1200円にしかならない。正規労働者であっても初任給は平均20万円程度である。さらに奨学金という名の巨額の借金を抱えて社会生活をスタートする。低い最低賃金によって賃金相場が上がらない仕組みが作られ、青年労働者の多くが最賃近傍で借金を背負いながら働いている。
2024年8月末の最低賃金答申で、東京は1163円となった。しかし一日8時間月22日働いてもやっと20万円、税・社会保険・家賃・光熱費を支払えば手元に残るのは食費を含んで5万円足らずである。全労連などが全国で行った最低生計費調査では時給1500円月25万円が全国どこで働いていても最低必要と言う事が明らかとなっているが、全く届かないのが実態だ。その原因は、現行法の欠陥にある。
日本の最賃制度は世界でもまれな「地域別」で、しかも引き上げ水準は「地域の賃金引上げ実績」と「地域の生計費」に加えて「企業の支払い能力」を同列で考慮することとなっている。現行最賃法は、業者間競争の公正化を目的としており、労働者の生活の最低限保障を目的としていないという致命的な欠陥がある。現行法を改正し、新たな最賃法の制定がどうしても必要である。そのポイントは①目的に憲法25条「生存権」を明記②全国一律③生計費のみを決定基準とする④公務員や18歳以下を除外しないことだ。併せて、98%の労働者が働く中小企業には直接の賃上げ資金や社会保険料を国が負担し、大企業との不公正取引を厳しく取り締まり、適正な賃上げの原資を確保できるようにする事が不可欠である。
そして、年金・生活保護・課税最低限の引き上げ基準と最低賃金を連動させる「ナショナル・ミニマム」(国民生活の最低限保障)制度の実現を並行して掲げ、国民共同の戦線を構築する闘いに踏み出すことが求められている。こうして、大企業・富裕層に不当に収奪されてきた「価値」を公正に再配分させることが、労働運動に求められている課題であると考える。