24春闘-物価高騰を上回る 持続的な賃上げの正念場
2024年4月15日
24春闘-物価高騰を上回る 持続的な賃上げの正念場

東京地評事務局長 井澤 智

 物価高騰に賃金が追い付かず実質賃金が23カ月連続でマイナスとなる情勢で、24春闘は物価上昇を上回る持続的な賃上げを勝ち取るべく、粘り強い奮闘が続いています。3月7日には、日比谷野外音楽堂で中央総決起集会を開催し2000人以上が集まり、要求の貫徹を意思統一しました。
  要求への統一回答指定日の3月13日、要求額に及ばない回答を示した経営に対し全国でストライキを実施し、東京地評加盟組合では産別組合の垣根を超えた支援に入っています。全国の産別組合の統一行動では3月から4月にかけて、医療、交通、建設、運輸、公務の仲間が経営との交渉や省庁、国会議員要請に取り組んでいます。
 大企業を中心に組織する組合では33年ぶりの「高額回答」5.24%の賃上げと集計され、大手マスコミでも賃上げムードが報道されています。しかし、実質賃金は2月まで23カ月連続でマイナスであり、4月からは1万5千品目もの値上げが予定されるなか、物価高騰を上回る回答とはなっていません。
 東京地評も参加する国民春闘共闘委員会は中小企業の組合が中心に組織しており、4月の集計では賃上げ回答が2・58%と昨年同時期より0・52ポイント上回っていますが、苦戦しています。
 東京地評がコロナ禍前2019年に実施した最低生計費調査では、新宿で1人暮らしするには少なくとも時給1700円以上が必要との調査結果が出ています。実態は、昨年10月に行った独自の募集時給調査で平均募集時給は1221円であり、暮らせる賃金ではありません。
 大企業の本社が集中し莫大な法人税収等が入る東京都は、原材料価格の高騰を上位企業に価格転嫁できない中小企業を守るため、独自の相談窓口の拡充と大手上位企業の価格転嫁調査ならびに指導、その上で積極的な真水の支援策を実施するなどの施策が求められています。 東京都には都内で働く圧倒的多数の労働者の賃上げを促す責務があります。少なくとも都内で働くパート・非正規・アルバイトの時給が1500円以上になるよう引き上げた時給分を補填するなどの施策は、財政的な裏付けを含めて東京都でしかできない施策です。低所得層の賃上げは、都内経済活動に消費されて経済に好循環を生み出すものです。また、本当の環境対策は大規模再開発ではなく、中小零細企業に対する温室効果対策の補助制度の簡素化と拡充です。
 2024年の東京都知事選挙では、労働組合の要求を実現する都知事誕生をめざしていきます。


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