障害児全員就学実現50年 歴史を変えた運動に学び、都政転換を
2023年11月15日
 障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会会長 市橋 博
 革新都政は、一九七四年、障害児の全員就学を実現させました。それまでは、肢体障害児や知的障害児の障害の重い子どもたちは、教育を受けられませんでした。私事ですが、私は、一九五六年、世田谷の光明養護学校小学部に入学しました。当時、肢体不自由児養護学校は、都内で1校でした。そして、入学試験がありました。私は、どういう訳か、入学試験当日の教頭先生のお話しを覚えています。「この学校は、体の不自由な子どもたちが学ぶ学校です。障害の軽い子は普通学校に行ってください。障害の重い子には、就学免除・就学猶予という制度があります。あとで書類の書き方を教えます。」と話されました。
 私は、簡単なテストを受け合格しました。母も、私も、非常に嬉しかったのを覚えています。しかし、今考えると、障害が重いことを理由に、就学免除・就学猶予になった多くの子が多くいたと思います。「泣きながら書類を書いていたお母さんの姿があった」と言われています。「この子は教育を受けないでいいです」という教育権を奪う書類をお母さんが書き、印を押していたのです。残酷な話しです。


 こうした状況はよくない、と革新都政のもと、運動が起こりました。実態調査をしてみると、家に閉じ込められたままの障害児が多く居ました。教育を受けられれば、いのちを輝かせるのに、いのちを縮めている子どもたちの実態が明らかになりました。障害児のお母さんたちの願いをあつめ運動をすすめました。
 そして、東京の障害児の全員就学に向けて、一九七三年十一月二十日に旧都庁丸の内庁舎都議会階段前で「全ての障害児にゆきとどいた教育を保障する11・20集会」を開き、三十三団体一〇〇〇人が集まりました。当時の副知事が「憲法や教育基本法の精神をふまえ、どんなに障害が重くても一人ひとりに見合った適切な教育の場を用意することは行政の責務であり、このことは教育の原点である人間尊重の教育の実現そのものである」と挨拶しました。歴史の歯車が動きました。私の人生の中でも迫力のある、感動的な集会でありました。東京で一九七四年、全国で一九七九年に運動の力で実現させた障害児全員就学は、障害児・者の権利保障を大きく進めたものです。
 一九七四年は、同時に障害者福祉手当や障害者医療費助成制度など、東京都の独自福祉制度を革新都政のもとでスタートさせた年でもあります。
 来年、実施五〇年。しかし、単純に「祝五〇年」とする訳にはいきません。今日の都政のもと、障害児教育も障害者福祉も多くの課題があります。歴史を変えた運動に学び、あらたな運動を創り、都政を変えていく取り組みを計画しています。

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