~連載(第21回)~ 検証 革新都政その後 小池都政4年② 新型コロナ対策 問われる知事としての資質
2020年5月18日


 世界での新型コロナウイルスの感染者は417万7502人、死者は28万6330人(5月12日現在)に達しました。新型コロナウイルスの感染拡大防止、治療薬やワクチンの開発などによる新型コロナウイルスの克服は、全人類的課題となっています。
 一方、日本国内の感染者は1万6680人、死者670人。東京都での感染者は4987人、死者は196人(同)となっています。
 その東京で都民(東京都在住者)の感染が報告されたのは2月13日でした。そして5月の連休を過ぎて、ようやく感染は減少傾向をみせることになりましたが、その背景には、この間のマスクと手洗い、うがいの実行、不要不急の外出や大型店舗・興行施設・飲食店などでの営業の「自粛」などでの都民と業者・企業の協力と努力、都民の命と健康を最前線で守る医療機関や保健所、消防・救急隊、行政窓口などでの献身的な活動を抜いて考えることはできません。

 これまでも東京都として、東京都ができること、なすべきことをしっかりと積み重ねてまいりました。
 小池都知事記者会見
(2020・03・30)


 これは小池知事が、2020東京オリンピックの7月開催の延期が決まった翌日に、東京で新型コロナウイルスの感染拡大の爆発的拡大の危険あると記者会見を行ったときの発言です。
 しかし、東京での最初の感染者発生からの3ヶ月の東京都・小池知事の対応をたどると、到底、「できること、なすべきことをしっかり」とやってきたと評価することはできないのではないでしょうか。
 例えば、お隣の韓国では、最初の感染者発生の直後から、ドライブスルーの検査所72カ所の設置、発熱外来(選別診療所)638カ所の開設など徹底したPCR検査を実施し、重症の患者は病院、軽症の患者は施設などに収容するなどの対策を講じることで、感染拡大を抑えることに成功しました。その基本は検査と隔離ですが、小池知事は、
「クラスター対策」を感染拡大防止の基本対策とし、PCR検査を感染者の重症化を防ぐという位置づけとする安倍首相・厚生労働省の路線に追随し、全面的なPCR検査や発熱外来の実施を拒みつづけることで、感染を拡大させることになったのです。
 また、国や東京都の「自粛」要請のもとで、非正規の若者などが深刻な生活苦におかれ、中小零細業者では、新宿のジャズライブの名店「ジャズスポット・J」が廃業に追い込まれるなど瀬戸際の状態に置かれています。
 ところが小池知事は、こうした事態に真正面から応えようとはしませんでした。
 実際に、小池知事が今年の予算議会で提案したコロナ対策予算では2019年度補正予算がわずか64億円。うち中小企業融資を除く対策費はわずか4億円、2020年度補正予算でも中小企業融資を除いた対策費は感染防護服の備蓄20億円を除くと19億円と事態解決にはほど遠いもので、到底「できること、なすべきことをしっかりと積み重ねて」きたといえるものではありませんでした。
 また、4月の臨時議会に提案された補正予算(3574億円)も全面的PCR検査の実施や発熱外来の開設など抜本的対策は見送られ、中小零細業者の「自粛」に対応する損失補償や営業補償も盛り込まれず「協力金」に止められました。

 オリンピックに対する忖度が危機対応を遅くして失敗した
 神戸大学感染症内科
 岩田健太郎教授


 小池知事は「オリンピックに忖度」し、厚生労働省から、爆発的な感染拡大の危険を通知されていたにもかかわらず、オリンピックを優先することですぐに都民に知らせることをしませんでした。都民に明らかにしたのは東京オリンピックの開催延期が決められた翌日、30日の記者会見だったのです。
 このように小池知事は2020東京オリンピックの開催を最優先にし、感染対策の初動を誤ることで、3月に入ってからの爆発的感染のひろがりを招くこととなったのです。知事としての資質が問われています。
 さらに小池知事は、感染対策の最前線で役割を果たしている都立・公社病院の地方独立行政法人化を強行使用としています。このような人物に「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法)ことを使命とする自治体の長の資格はありません。
卯月はじめ


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