都民はそこのけ「東京大改造」優先の 東京都予算―2020年度
2020年4月15日
2020年第1回都議会定例会が3月27日に終了し、新型コロナウイルス感染症に対応する補正予算(401億円)を含む2020年度予算及び2019年度補正予算が自民・公明・都民ファーストなどの賛成多数で成立しました。
真剣度が問われる
コロナ予算
今議会は世界で蔓延している新型コロナウイルスの都内感染の急激な拡大という緊急事態のもとで開催され、都民の生命と生活、社会と経済を新型コロナウイルスから防衛するということが、最大の課題となりました。夏の東京オリンピック開催を最優先課題に都政運営をすすめてきた小池都政のもとでのコロナ感染予防の対応は迅速かつ徹底したものとはならず、東京における感染拡大を招く結果となりました。
こうしたもとで小池知事が提案したコロナ対策予算は2019年度補正予算でわずか64億円(うち中小企業融資を除く対策費はわずか4億円)、2020年度補正予算でも中小企業融資を除いた対策費は39億円で、感染防護服の備蓄20億円を除くと19億円で、内容面でも事態解決にはほど遠いものとなっています。加えて、深刻な経営危機に直面している中小零細業者とりわけ飲食サービス業などに対する営業補償、損失補償などは盛りこまれなかったのです。これで真剣に新型コロナ対策にとりくんだ予算と言えるのでしょうか。
自民党型都政の継続
スウェーデン一国並みの巨大な予算を有する東京都。その予算を都民生活の支援、福祉や教育の水準の引きあげ、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活の保障」の実現のために使うことが都政に課せられた第一議的な課題です。
ところが、小池知事は、「待機児ゼロ」の公約を棚にあげ、高齢者の介護施設整備、貧困と格差の解消、国保や介護保険、消費税増税などの負担軽減、小中学校の30人学級、都営住宅の新規建設、木造住宅の耐震化などの切実な都民要求に背を向け、そこで生みだした財源をオリンピック開催経費、1m1億円の外環道、3500億円もの特定整備路線、国家戦略特区による超高層ビル再開発などに湯水のようにつぎ込もうとしているのです。
とりわけ許されないことは、小池知事が都議会で、庁内の合意もなく独断で都立・公社病院の地方独立行政法人化を表明したことです。これは都知事選挙での自民党の推薦を再選戦略の柱としている小池知事が、安倍首相の全国の公立公営病院の縮小計画に忖度したものと指摘されています。
都立・公社病院は新型コロナウイルス対策の最前線での役割が求められる不可欠な基幹病院です。独法化はただちに撤回すべきです。
小池知事が提案した予算は日本橋周辺の再開発、築地市場跡地再開発、羽田空港低空飛行の機能拡張やカジノ誘致など東京大改造をすすめる計画が目白押しであり、財界、大企業奉仕の予算に他なりません。
さらに、夏に予定されていた東京オリンピックが1年延期されましたが、その決定は開催都市東京ではなく、安倍首相がトランプ米大統領と相談し、IOCとの協議で決定したものです。小池知事は開催都市の長であるにもかかわらず、これに抗議することもなく唯々諾々としたがったことは許されません。
また、延期によって莫大な追加経費が発生することになりますが、この問題について小池知事は口をつぐんでおり、このままでは東京都民に押しつけられることは明らかです。
都知事選挙モード予算
予算は、あたかも都民要望に応えるかのような沢山の新規メニューや「華々しいうたい文句がいくつも」(東京新聞)並べられていますが、これは「夏の知事選をにらんだアピール」(同)にほかならず、都知事選挙モード全開の予算と言うことができます。
このような都民不在の都政を転換する機会となる東京都知事選挙が7月5日(投開票)に迫りました。市民と野党の共闘を実現し小池都政を転換しようではありませんか。