小池都政は「Society5.0」と一体化して“総経済界”に取り込まれていく 安達智則(東京自治問題研究所主任研究員)
2019年10月17日


 小池知事は、今、将来の東京について(東京都「長期戦略」8月が主な素材)、区市町村長と意見交換を行っています。出発は9月19日の千代田区長からでした。杉並区は知事のパフォーマンスには加担しないと拒否、10月21日まで20分程度の時間の意見交換・要望を聞く取組を行っています。9月25日には、都内の19大学の学長からも「長期戦略」について要望を聞いています。
 その意見交換では、江東区長からは「有楽町線の延伸」(日経10月8日)、大学からは「認知症予防のビッグデータ活用」(日経9月26日)などなど、さまざまな要望提案が出されています。この様子はインターネット中継され、その様子はYoutubeでもみることができます。
 それをみると小池知事は、自信満々、区市町村長や大学学長に対して、「貴重なご意見を頂きました。長期戦略の参考にさせて頂きます」とリップサービスを繰り返しています。
 もちろん、来年7月5日といわれている都知事選が射程に入っているのですから、事前選挙活動の政治的狙いは鮮明です。
 しかし、どうして小池知事は、自信満々になっているのでしょうか。
 2017年の衆議院選挙では、自ら『希望の党』代表になり、惨敗をしたあと、区議選でも「都民ファースト」の凋落ぶりはハッキリしています。そして、その後指南役といわれた上山信一氏が都庁を去って、小池都政がレームダック(死に体)になろうとしていました。

“総経済界”のSociety5・0戦略と一体化していく小池都政

 レームダック化からの起死回生は、新しい成長戦略として政府・財界が打ち出したSociety5・0戦略に、都政が全面的に協力していくことでした。築地市場を廃止して、その跡地は2020東京オリンピック・パラリンピックの駐車場に使われるそうです。都民との公約は、反古にしてきました。
 Society5・0とは、〈Society1・0は狩猟社会〉、〈Society2・0は農耕社会〉、〈Society3・0は工業社会〉、〈Society4・0は情報社会〉、そして情報社会が進化した社会をSociety5・0と位置づけています。
 〈Society5・0〉社会は、AI・ビッグデータ・ロボット等々の最新技術が社会に実装されていることになります。
 小池都政による、Society5・0の社会実装に向けた取組は次のことで進められています。
 『稼ぐ力の強化に向けた『Society5・0』社会実装モデルのあり方検討会』(2019年5月9日、7月4日、8月23日に開催された)
 この『Society5・0あり方検討会(略称)』で注目されたことは、委員の人選でした。
 新自由主義を進める研究者だけではなく、〈グーグル・フューチャーのIT企業〉財界からは〈東京商工会議所・経済同友会・経団連〉がメンバーとして参加していました。
 それに加えて「新経済連盟」という、これまで聞き覚えのない経済界の代表も構成員として参加します。
 「新経済連盟」代表は、楽天の三木谷氏。参加企業は、AI・IT関連の企業556(2018年)。「Society5・0」のAI・IT・ロボット等を生業としている新興企業群の集まりが「新経済連盟」ということになります。
 新・旧、経済界が小池都政下に結集していること、これが小池都政の起死回生の政策的スタンスになります。
 そして小池知事が招聘したのは、元ヤフー社長の宮坂学氏。最初、東京都の参与として入ってきましたが、『Society5・0社会実装モデル検討会』では、知事と宮坂参与が、都政の責任者でした。そこでの元ヤフーの力量を評価して、小池知事は宮坂氏を副知事に昇格させます。
 こうして、新旧経済界の結集体、そのリード役としての元ヤフー社長、こうした体制を「総経済界」と呼びたいと思います。小池都政は、Societ

y5・0を実現する「長期戦略」基礎資料を公表

 ここでは、理想の都市像・生活像が、示されています。
 例えば、「合計特殊出生率2・07は先進国最高水準」、「待機児童は死語になっている」等。
 焦点の「Society5・0」社会についての例示もあります。
 「12『Society5・0』が実現した、世界一のデジタル都市・東京
 *スマート家電による家事の自動化や自動運転車・空飛ぶクルマ、遠隔医療、キャッシュレスなど、都民生活に広く最先端技術が浸透し、世界で最も便利で生活満足度の高い「Society5・0」都市となっている。」
 本当にこうなるのでしょうか。空飛ぶクルマ、遠隔医療に都民の期待があるのでしょうか。
 そうではなく、日常の買物で困っている高齢者の救済、非正規雇用から常勤になりたい若者への雇用対策、医療保険証がない人の実態把握と皆保険化、高い医療保険料(国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料)の生活圧迫の解消としての保険料大幅値下げのような総合的な福祉が必要であり、都政にも多くの都民が期待をしていると思います。
 小池都政は、「空想的Society5・0推進都政から、リアリティのある都民福祉増進の科学的都政改造」への転換が必要です。【参考文献】拙論『2020都知事選まで1年、小池都政の「過去・現在・未来」―総経済界と一体となったSociety5・0推進都政』「月刊東京10月号」
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