“せんせい”ふやそう 大きな社会問題 教職員の長時間過密労働
2019年7月17日
教職員の長時間過密労働が大きな社会問題になる中、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は、「学校における働き方改革に関する総合的な方策について」を答申しました。教職員定数の抜本的な拡充、定額働かせ放題を強いる給与特別措置法の見直しなどは見送る一方、東京都も国に要求している「1年単位の変形労働時間制」を導入できる法改正などを提言しています。
変形労働時間制では、週3日または4日の勤務時間を現行より1時間延長して8時間45分とし、退勤時間をいままでよりも1時間遅くすることもが想定されます。その分、長期休業中に15~20日の休日を設けるとしています。しかし、若い教職員が増えている学校現場では、育児や介護などを抱えていたり、また自身の病気疾患などで時間外労働を控えなければならない教職員も少なくありません。変形労働時間制の導入は、勤務時間が延長されるだけで、より働きづらいものとなってしまいます。各区市町村単位でも、昨年、都教委が策定した「学校における働き方改革推進プラン」に基づき、独自に働き方改革が進められが、実効ある取組は進んでいません。いまだに勤務時間管理システムさえ導入していない地区もあり、都教委の調査でも依然として、小学校で36%、中学校で48%の教職員が過労死ラインを超えて働いています。精神疾患による病気休職中の教職員が、東京都だけで600人を超えています。学校現場では、超過勤務縮減の数値目標だけが独り歩きし、お題目だけのノー残業デーの設定や、管理職が「早く帰れ」と職員を追い立てる時短ハラスメントがあちこちで起きています。
長時間勤務の大きな要因は、学習指導要領が改訂される度に授業時間数が増えたにもかかわらず、それに見合う教職員定数の改善や業務の縮減が行われてこなかったことにあります。教職員がいきいきと働き、子どもたち一人ひとりと向き合えるかどうかは教職員の勤務条件の問題だけではなく、子どもたちの教育条件の問題でもあります。
いま、全教などのよびかけにより、全国規模で「せんせいふやそうキャンペーン」をすすめています。ここでいう「せんせい」とは、教員だけではなく、学校で働く様々な教職員を大幅に増やすことを求めています。HPからも署名できるようになっています。