事務局長 中山 伸
小池都政が、2018年第1回都議会定例会に提出した「東京都迷惑防止条例改正案(公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例案)以下「改正案」が、本日の都議会本会議で、日本共産党、ネット、維新の会、立憲民主の反対、自民、公明、都民ファーストなどの会派の賛成多数で可決されました。
都議会に提出された「改正」案は、現行の規制に加えて、「みだりにうろつくこと」「電子メール(SNSを含む)を送信すること」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げること」「性的羞恥心を害する事項を告げること」を新たな規制の対象とし、罰則を重くしたもので、労働運動や市民運動、マスコミ等の報道・取材活動など、憲法が保障する言論表現の自由(21条)や労働基本権(28条)を捜査機関が恣意的に侵害することを可能とするものです。
改定によって、「正当な理由なく、専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」という極めて曖昧な要件で、通常は処罰されることのないこれらの行為が処罰の対象とされることになります。また、「悪意の感情」を判断するのは警察とされており、自白の強要も危惧されるものです。さらに、被害者の告訴は不要であり、現場の警察の判断で逮捕が可能となります。
しかも、「改正」案の新たな規制の内容は、現行のストーカー規制法で対応は可能であるだけでなく、そもそも、「改正」しなければならない立法事実が示されていません。
今回のあらたな規制を盛り込んだ条例は、国民の言論表現の自由、労働組合の団体行動権、知る権利、報道の自由を侵害し、法律の範囲内で条例を制定できるとした憲法94条に違反するものであり、断じて認められません。
また、国政においては、安倍政権が特定秘密保護法、盗聴の強化、共謀罪を強行、憲法9条改悪をすすめています。小池知事は、先の総選挙で、党首をつとめた希望の党の政策に、憲法「改正」をかかげましたが、今回の条例改定は、安倍暴走政治に追随し、国民の運動の抑圧と報道の規制に道をひらくものと言わざるを得ません。
革新都政をつくる会は、以上の立場から「条例改正」の強行に断固として抗議するとともに、市民監視、表現、集会などの抑圧につながる条例の撤回を求めるとともに、警察権力による濫用を許さないためにたたかうものです。そして安倍9条改憲を許さない3000万署名の国民運動を発展させるとともに、憲法を都政のすみずみに生かした「都民が主人公」の都政を実現するために奮闘するものである。
以 上