都民に冷たい、豊洲移転強行、大規模開発推進の2018年度東京都予算案 予算議会へ切実なくらし、福祉の要求・世論を!
2018年2月15日
2018年度 東京都予算案と小池都政(第①回)
東京都は1月26日、2018年度東京都予算案を発表しました。予算案の審議と都政のあり方を問う都議会第一回定例会は、2月21日から3月29日の会期で開催されます。
いま、東京は一極集中の加速による矛盾が激化するとともに、「アベノミクス」によって、貧困と格差が耐え難い水準にまで達し、都民のいのちとくらしへの不安がかつてなく高まっています。
このなかで小池都政には、この都民の困難を打開するための子育て、高齢者福祉をはじめとするなど福祉、医療、介護、雇用、営業、教育を最優先した予算編成をおこなうことが求められています。
予算規模は一般会計で7兆460億円、全会計で14兆4440億円です。その規模は、スウェーデンの国家予算に匹敵する規模です。この予算を都民のためにどう使うかが問われています。
□安倍政権の悪政からのくらし、福祉を守れ!
予算編成方針は「将来を見据えて財政の健全性を堅持しつつ、東京2020大会の成功とその先の未来に向けて都政の課せられた使命を確実に果たしていく予算」とうたっていますが、石原都政以来つづく大規模開発偏重の基本構造は継続された予算案になっています。
15年度舛添都政の予算編成時の「都民福祉の充実による生活の質の向上」という基本方針は外され、都民のくらしと福祉を守る視点は見あたりません。
小池知事2回目の予算案には、安倍内閣の全世代を直撃する社会保障制度全般にわたる改悪に対決する姿勢は見られず、国民健康保険制度の都道府県化による保険料の引き上げ、介護保険料の値上げなどの都民への重い負担増、地域福祉の困難、介護職員の処遇改善に都政が手をさしのべる施策も基本的にありません。切実な都民要求の35人学級、シルバーパスの拡大、都営住宅の新規建設もゼロで実現していません。
一方で、保育待機児解消や特別養護老人ホームの整備、子ども食堂支援など社会的課題として解決が迫られている分野での施策の展開が見られますが、革新都政をつくる会が「都民といのちとくらしの困難を打開することは待ったなし」として提出した緊急要求や憲法に定められている「健康で文化的な最低限の生活」を求める都民の要求に真正面から応えるものとなっていません。この中で、特別養護老人ホームの整備費補助249億円(2倍)、待機児解消で6万人分を、学童保育も1万9千人分(19年度末)に引き上げ、子ども食堂への運営費補助、木造住宅耐震助成の対象の拡大、多摩・島しょ市町村への市町村総合交付金の増額50億円などは、都民運動と世論の高まり、日本共産党の都議会での論戦で実現しました。
□大規模開発が継続
投資的経費は1兆1121億円で17年度より386億円増額です。
その内容は、大規模再開発、外かく環状道路・都市計画道路特定整備路線や空港・港湾などの大型インフラ整備の公共事業が中心で、防災や学校施設などの生活密着型公共事業は後景におかれたままです。15年度以来、1兆円台に突入した「東京大都市改造計画プロジェクト」(実行プラン)では20か所、「実行プラン30年度」では首都高速の日本橋周辺での大規模更新、「グランドデザイン」に基づく計画や方針の策定を打ち出しています。国家戦略特区による大規模開発の認定案件は、都心を中心に31件にのぼっています。
□豊洲移転を強行
小池知事は、都民を裏切った豊洲移転の関連経費を113億円計上し、10月11日移転を強行しようとしています。また、築地解体経費23億円、再開発の検討費として0・5億円も予算化。築地を通る環状2号線のための用地買収費を約100億円、一般会計で措置しています。
土壌汚染が未解決で、市場関係者、都民がこぞって反対している築地市場の豊洲移転は認めるわけにはいきません。
□オリンピック準備で1千146億円
昨年の予算の2・3倍の予算計上、大会までの経費(V2)は最高3千億円の予備費を別枠にして1兆4千億円と発表されましたが、関連道路などの建設費を見込めば数兆円にのぼると見られています。IOCからも経費削減を厳しく迫られています。
□「基金」はくらし、福祉の拡充に
東京都は将来の戦略的施策の展開に基金(貯金)を膨大にため込んでいます。
(表参照)
将来の為にこのようなため込みは必要でしょうか。不要・不急の投資財源と基金の一部を使うことだけでも、都民のくらしや福祉の拡充は十分可能です。
革新都政をつくる会は、昨年11月27日、「2018年度東京都予算編成と都政運営に対する重点要求」を小池知事に提出し、その実現を強く求めてきました。安倍政権が改憲と国民生活破壊の悪政を強行するもとで、都政はその防波堤として都民を守らなければなりません。くらし、福祉の充実を求める都民世論がうずまく中で、2月21日からおこなわれる予算案審議の都議会第一回定例会での徹底した論戦と都民運動が求められています。
2月21日(水)の都議会開会日行動を大きく成功させ、都民要求実現、「都民が主人公」の都政めざしてがんばりましょう。