~連載(30)~革新都政12年 革新都政が挑んだもの ―生活機能優先(2)―
2017年5月15日
 よい都市づくりとは、保育園、集会場、学校などの地域施設の整備、安全な道路、上下水道、住宅、交通機関などの生活基盤の充実、さらに公害や防災から都民の生命と生活を守る都市構造の実現などが一体として考えられなければならない。
 都政1971~4

 革新都政が、都民が住みやすく安心してくらすことのできる都市を実現するために果敢にいどんだのが、生活機能優先の都市づくりでした。それまでは1964年のオリンピックをてこにした大企業のための開発・都市改造路線が大手をふっていましたが、これにブレーキをかけ、都民が主人公の都市づくりに大転換することでした。

 都民のための道路整備
 その一つが道路のあり方についての考え方の転換のです。

 私は、公園をつくり街路樹を植えるといった、「広場」と「緑」のための街づくりには費用を惜しまなかったつもりだが、道路建設だけはことのほか慎重に行った。
 私は道路についてこう考えていた。道路はつくればつくるほどいいというものではない。道路をつくれば自動車が集まり、かえって前以上に混雑して危険ばかりか公害をまき散らすだけである。
 従って、私は道路自体を新設することよりむしろ、歩行者の安全のために歩道橋をつくったり、車公害を防ぐために緑地帯を設けるなどの方に意を注いだ。
 美濃部亮吉

 これは国策としての自動車優先の国土政策、経済政策への挑戦でもありました。
 こうして革新都政は、1967年の誕生からの3年間だけで歩道橋を500ヵ所近く、信号機を東都政時代の5倍の10000基設置。また、12年の間に歩道を1100km、ガードレールを1000km以上も整備したのです。
 加えて、裏通りから車をしめだすための対策や子どもたちを交通事故から守るためにの児童遊園地についても、1967年から3年間で400ヵ所も増設し、お母さんたちや子どもたちから大歓迎されたのです。
 こうしたとりくみの結果、東京の交通事故は8万件近くから3万件に激減することになりました。

 都民参加をつらぬく
 かつて石原知事は、美濃部知事が「1人でも反対があったら橋を架けない」といって、東京のインフラ整備を遅らせたと攻撃したことがあります。しかし、事実は違います。美濃部知事は議会をはじめ都政の場でこのような発言をしたことはありませんし、革新都政は歴代都政のなかでも、道路をはじめ地下鉄、上下水道などの社会インフラを大きく前進させてきました。
 都市計画道路の建設を比べても、のちの鈴木都政は22.7km、石原都政は22.5kmにとどまっているのに対して、革新都政時代に年平均26.1kmも建設しているのです。
 そして何より誇るべきことは、革新都政がこれらのインフラ整備を、保育園の増設や老人医療費無料制度、都営住宅の大量建設、都立高校増設などの都民要望に応えた施策を推進させながら、同時に遂行していたことです。
 道路づくりについても、革新都政は都民の要望をふまえ、住民参加・合意のもとですすめたことも重要です。この点でも、他の都政のもとでは住民不在の強権的なやり方があたりまえのようにおこなわれ、とりわけ石原都政以降、外かく環状道路や特定整備路線など住環境破壊、住民追い出しの道路建設が大手をふってすすめられているのとは大違いです。

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