小池知事初編成17年度都予算案 保育など都民世論が動かす 大規模開発は推進
2017年2月15日
(1)全体の特徴
 小池都知事は12月に発表した「実行プラン」の具体化として、就任後初めて編成した2017年度予算案を1月25日、発表しました。

□予算編成方針
 「『新しい東京』の実現に向けた改革を強力に進め、明るい未来への道筋を紡ぐ予算」とし、①「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」の3つのシティの実現と成長創出を進める。②事業の総点検を行い、財政構造改革を推進するとしています。

□予算(財政)規模
 予算規模は一般会計で6兆9540億円、全会計で13兆円を超えており、国家予算の7・1%(一般会計比)を占め、スウェーデンの国家予算に匹敵する規模です。

□歳入の73%が都税
 東京都は国からの地方交付税交付金を受けておらず(不交付団体)、歳入は、都民や企業の税金が七割強を占めています。特にその中で「法人二税」は34%を占めています。〈表〉
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□歳出の特徴
◎3つのシティで1兆4396億円
 小池知事は「実行プラン」の3つのシティは100%予算化したと表明。待機児解消を7万人(20年度まで)を目指し、1万8千人分計上、保育士の給与の増額、都立高校生に給付型奨学金の創設や私立高校生の授業料を実質無償化する特別奨学金の拡充などを打ち出していますが、国保や介護保険の負担増への支援は見られません。(詳しくは次号)

◎扶助費は47億円減額
 扶助費は、生活保護法、老人福祉法、障害者福祉法など社会保障制度に基づく被扶助者へ直接支給される経費です。これが47億円も削減され、構成比が2・7%から2・6%に下がっています。35人学級と都営住宅新規建設も見られません。(詳しくは次号)

◎投資的経費、1兆736億円
 投資的経費は、防災対策など命や安全など住民密着型の公共事業も含まれますが、大規模都市開発、幹線・特定整備路線道路や空港・港湾などの大型インフラ事業が中心です。
 今回、減額をされていますが、15年以来、1兆円台に突入し、東京の大都市改造計画プロジェクトでは、舛添「長期ビジョン」の19か所の計画だったものが20か所(池袋が追加)に拡大しています。石原都政以来の大規模開発は一層進み、東京一極集中を加速させています。〈グラフ〉
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◎豊洲移転費は計上せず
 地下水の汚染問題や、豊洲移転の経緯、建物の設計・施工の経緯など、都民からは移転中止の声が上がり、共産党などから「百条委員会」の設置が求められ、小池知事は予算を計上せず、築地市場などの補修に8億円を計上しています。
 また、五輪・パラリンピック関連でも、仮設整備費負担問題で結論が出ず予算化は見送っています。

□事業評価で720億円
 予算編成の一環としてPDCAサイクルを使い16年度の事業評価を行い、財源確保を行ったとしていますが、各種事業委託や、職員削減が行われており注視する必要があります。

□「基金」は3兆円超?
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各地で反対する住民の団体が集まる「特定整備路線全都連絡会」は、計画の不当性を告発し計画の中止を求める早朝宣伝を都庁前で行う=2月8日
 東京都は将来の戦略的施策の展開に基金(貯金)を膨大にため込んでいます。
 16年度最終補正では3092億円を基金につぎ込み、17年度は、3つのシティに向けた基金、財源として活用可能な基金として合計、1兆9035億円を積んでいます。これ以外に「減債基金」があり、17年度末の見込みが発表されていません。16年度末見込みは1兆3639億円ですから、優に3兆円を超えます。この3分の1でも都民の暮らしや福祉の拡充に使うことは可能です。

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