~連載(27)~ 考証 革新都政12年 革新都政誕生50周年 ―特別企画―
2017年2月15日
 いまから50年前の1967年4月、発達した資本主義の国である日本の首都に、都民が主人公の革新都政が誕生しました。
 革新都政誕生の原動力は、社共を軸とした統一戦線の結成と切実な都民要求と運動、都議会汚職事件など伏魔殿都政と都民不在の自民党保守都政に対する都民の怒りでした。
 首都での革新自治体の誕生は、国政に衝撃を与えるとともに、全国でつぎつぎと革新自治体が誕生する契機となりました。また、3期12年の都政のなかで切りひらかれた先駆的施策は全国の自治体の指標となり、老人医療費助成など国をも動かす力となったのです。

 私は次の姿勢で都政を担当する決意です。
 一、都民との対話を通じ、都民にわかる都政をつくっていく。できることとできないことをハッキリさせ、都民の納得を得て仕事をしていく。
 二、考える知事であることを期する。問題がむずかしく、機構が複雑で、仕事が多ければ多いほど、都民の声なき声にも耳をかたむけ、考えることが必要である。
 三、とはいえ、最大多数の都民の利益のため決断したことは、蛮勇をふるって実行する。もちろん、それらについて責任をもち、進退をいさぎよくする。

と美濃部知事は立候補にあたって抱負を述べています。

何を実現したのか

 では、革新都政はどのような挑戦をおこない、どのような施策を実現したのでしょうか。詳細はこの「論考革新都政12年」の連載を参照していただきたいと思いますが、次の標語がそのとりくみを象徴していると思います。
 憲法をくらしに生かす/ゆりかごから墓場まで/ポストの数ほど保育所を/15の春は泣かせない/障がい者(児)の希望者全員入学/おとしよりに温かい手をさしのべる/東京に青空をとりもどす/三多摩格差の解消/東京から火薬のにおいをなくす
 そしてこうした施策を実現、推進するうえでおおきな役割を果たしたのが、住民自治の推進です。
 これはそれまでの明治以来の天皇制支配のもとでの官治主義(国の下部行政組織)をうち破って、「住民が主人公」の都政を実現する道でもあったのです。

都民参加の推進

 その第一は住民参加の実現です。美濃部知事は都民のとの対話を推進するとともに、真に住民自治を促進するためには、都民の参加が不可欠と考え、公害闘争、福祉、都市づくりなどさまざまな局面で都民参加をすすめました。

 この報告書は、都政を考えるための一つの素材といえましょう。これを手がかりとして、都民のみなさんが、都政について大いに論議され、より積極的に都政に参加されることを希望してやみません。
 都政白書69 'まえがき

見えない建設

 革新都政は、さまざまな分野での民主的な運動の促進、自治体労働者との共同など最終的には都民に便益として還元される、“見えない建設”といわれるとりくみも重視しました。例えば、社会教育の分野では、東京都社会教育委員会議による答申や助言が、民主的な社会教育・文化活動にたずさわる多くの都民に示唆を与え励ましを与えることとなりました。教育行政でも、「権力的な学校管理は次第に後退し、教育の現場にふさわしく、教職員の自由と創意が生かされる実践・職場の民主化のとりくみが力強く」(ひろめよう革新都政の12年の実績・東京都区職員労働組合)すすめられることになったのです。

権限無き行政の展開

 地方自治体は、3割自治といわれる制度のもとで、財政も権限もきわめて制限されています。こうしたもとで革新都政は「横出し」「上乗せ」などのサービス拡充にとどまらず、国の専管とされる労働行政についても、労政事務所が企業に対して実質的指導をおこない違法労働行為を是正させるなど、労働運動と連携して労働者の権利を守るとりくみも前進させました。
 都政は、自らの権限の及ばない範囲については、都民の世論の力や市民運動のエネルギーと結びついて、都民生活の防衛を図っていかなければならない。権限なき行政の展開は、都民とともに進むことによってはじめて可能である。
 都政白書69 'まえがき

 革新都政の12年は自治体がやる気になればさまざまな制約のもとでも、住民の要求に応えることは可能であることを示しています。

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