小池都知事初の都議会第3回定例会 豊洲『新市場』への移転~大問題 都民世論と市民の運動が都政を動かす
2016年11月15日
都知事選挙での論戦、都民要求にもとづく都政の在り方への都民・国民の注目が大きく広がる中で小池百合子知事の初議会、都議会第三回定例会が、9月28日開会、10月13日閉会の日程で開催されました。
築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転は、15年前に当時の石原知事が、同地が深刻な土壌汚染地であるのを知りながら決めたことによるものです。自民党や公明党などが移転に賛成・推進する中で、日本共産党は、一貫して築地の現在地で再整備すべきだとして反対を貫くとともに、ごまかしと欠陥に満ちた土壌汚染調査と対策工事などを厳しく告発し、食の安全を守るために奮闘してきました。
日本共産党は、主な建物の下は盛り土せず、地下空間にしていたことを告発し、長年にわたって、都民と都議会を欺いてきた都の重大な責任を、厳しく追及し、真相を明らかにするよう求めました。これに対し都は、都自らが地下空間にすることを決めた事実を隠し、地下空間は、「技術会議」独自の提案などとする、事実をねじ曲げた報告と答弁で切り抜けようとしたのです。
地下水管理システムを資格に欠けた企業が受注している疑惑、さらには、土壌汚染対策や市場の建物建設などをめぐり大手ゼネコンと都による官製談合によって、建設費がはね上がった疑惑など、様々な問題点が追及されました。
小池知事は地下水の管理にかかわる契約の経過については、「必要があれば調べる」、建設費の高騰については、「都民に開かれた場で、なぜこのような額になったのか、その理由を明らかにしていく」「より透明性のある入札制度の構築に向けて議論を行っていく」述べています。
いま、東京都が豊洲移転中止に向けた本格的検討を行うことが求められています。また、移転延期に伴い損失をこうむっている業者に対する補償、支援を行うとともに、築地市場の補修等をしっかり行うことが必要です。これからの都のとりくみを注視し、より良い方向にすすむよう、ひきつづき取り組みを行うことが求められます。
膨らむ五輪開催費の見直し
2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、小池知事は、東京五輪開催経費を検証している調査チームの報告を受け、都が建設する三つの恒久施設(①海の森水上競技場=ボート・カヌー、整備費491億円、②アクアティクスセンター=水泳、整備費683億円、③有明アリーナ=バレーボール・車いすバスケットボール、整備費404億円)について抜本的な見直しを検討する考えを示しました。
いずれも座席数など過大な仕様や、大会後の利用計画の不十分さが問題となっています。
一方、調査チームの報告書は、組織委員会の負担すべき(責任である)仮設施設整備費について、都内の施設は都が全額負担を提案するなど、逆に都民負担につながる内容もあります。
都が何よりも行うべきは、組織委員会に、最新の大会運営費の総額と内訳を速やかに公表させて、費用削減に力をつくすよう申し入れることです。
都が選手村の基盤整備に400億円以上の公費を投入する一方、建設を請け負う大手デベロッパーに1m2当たり10万円以下という破格の価格で提供することなどがただされました。
引き続き、五輪費用の透明化と削減にむけて、都民の声を都政に反映させていくことが求められます。
都知事選の争点のひとつとなった待機児童対策、奨学金など切実な都民要求の実現が求められました。第3回定例会では、待機児童対策の補正予算が提出されました。保育士の宿舎借上げ支援の対象拡大や、認可保育園の整備費補助の拡充、借地料の補助拡充など、一定の前進です。
同時に、深刻な待機児童問題解決には、質の低下につながるような規制緩和はせず、大幅な給与引上げなど処遇改善、土地の確保、認可保育園の大幅な増設を進めるために、さらなる施策の拡充が必要です。
都独自の奨学金について、知事が「今後速やかに検討を進める」と答えたことは重要であり、知事が答弁したように、経済格差が、将来の希望の格差につながってはなりません。早急な具体化が求められます。
都民福祉の施策をさらに充実していくためには、都政をゆがめてきた石原都政以来の大型開発優先の路線を正し、都政に都民福祉の増進という魂を取りもどすことが必要です。これまでの長期ビジョンは、大型道路整備や都市再開発などに事業費全体の26%を投入する一方、福祉充実の事業費はわずか8%に過ぎないというもので、これを引きつぐのではなく見直していくことが求められています。