これでは―街こわし 特定整備路線
2016年9月15日
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小池都知事あての要請書を手渡す特定整備路線連絡会の代表=9月6日、都庁
 2012年突如として東京都は都市計画道路特定整備路線(東京で28路線)建設を決定し2020年(平成23年)までに完成させるとしました。
 該当する道路が戦後直後の1946年に計画されたもので、その後、70年もの歳月を重ねるなかで、沿線地域には濃密に住宅地が形成され、商店街がつくられ大学や保育園などの文教・公共施設が計画線上に建設されるなど、都民の生活の場が形成されてきており、品川区や北区、豊島区などの住民は強引な東京都の計画に納得できず反対運動を立ち上げ、勉強会、地域宣伝や請願署名など運動を起こして東京都の計画を翻そうと取り組んできた。
 ところが東京都は、歴史的経緯を有する計画であるにもかかわらず12年に至って、突然この道路の建設計画を策定し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに完成させるとして、建設を強行しようとしています。
 東京都特定整備路線連絡会(13団体)は、全都集会を開催し、都議会に1万筆を超える反対署名を提出、国土交通省に対しては4500人を超える行政不服申請を行い、また、2つの路線で東京地方裁判所に提訴もおこなうなど、計画の見直しと撤回を求める取り組みをすすめています。

住民説明と違う道路事業認可申請理由

 東京都は計画策定にあたり道路の必要性について、地震発生時に火災延焼を遮断する効果があることをあげているが、根拠とされる「首都直下地震被害想定」のシュミレーションは地震火災発生時に「初期消火」を行わないことを前提に策定されたものであり、火災が突破する遮断帯や風向きによっては遮断効果が認められない遮断帯が存在することなど計画に重大な瑕疵があることは明らかです。
 東京都は、道路建設の主目的を「交通の円滑化」として国土交通省への事業認可申請をおこなっており、『防災の名目』が、住民の反対を抑えるための方便に過ぎなかったことを裏づけるものです。当初の都市計画決定とされる「戦災復興院」告示についても、重大な法的瑕疵が指摘されており、東京地方裁判所で争われているところです。

商店街の分断・破壊 生活と環境に深刻な打撃

 このような重大な欠陥を有した道路の建設が強行されるならば、おおくの都民が住みなれた街を追われることとなり、戸越銀座や大山ハッピーロード、十条などの全国的にも知られた商店街が分断・破壊され、貴重な大学の薬草園や自然公園なども寸断されることとなり、都民生活と環境に深刻な打撃が与えられることは避けられません。
 全国の自治体では、国土交通省の都市計画運用指針(2000年発出)にもとづく都市計画道路の見直しがすすめられています。

小池知事へ要請
一旦立ち止まって検証を

 小池知事が、都知事選挙期間中に「はけの自然と文化を守る会」がおこなった公開アンケートに、「優先整備路線に位置づけるかどうか、見直しが必要な路線もある」「地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置づけることが不適切だと判断される路線については、大胆に見直していきたい」と回答しています。
 また、選挙ビラで、「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」と公約されていることについても、首都直下地震の切迫が指摘されている東京において人命を守るための住宅の耐震化・不燃化が最優先の課題であることから、その実現に期待するものです。
 知事が「一旦立ち止まって考える」ことを表明されていることも重要です。
 連絡会は9月8日、住民合意がなく、欠陥計画とも言うべき特定整備路線について、一旦立ち止まって検証をおこない、計画を中止するよう小池東京都知事に要請しました。

特定整備路線
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