都民よりアベノミクス~2016年度東京都予算~
2016年2月15日
一般会計7兆110億円 全合計13兆6560億円

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 東京都の2016年度予算原案が発表されました。予算の規模は、一般会計(注)が7兆110億円、特別区財政調整会計などの特別会計と上下水道などの公営企業会計などをあわせた全会計で13兆6560億円とされています。この予算規模は、先進国家予算に匹敵し、スエーデンを上まわる17位に位置する財政力を有していることになります。この豊かな財政を何に使うのか、予算はその自治体の姿勢を問う際の基本的指標を示すものとなります。

誰のための予算なのか
 このことを露骨に示す出来事がありました。それは、予算の編成を終えた舛添要一都知事が、いの一番に報告に駆けつけたのが、安倍政権の菅官房長官だったのです。舛添知事はそこで、「国と連携し、日本全体の成長を支える首都東京の取組~新・三本の矢に対応する都の取組~」と題した資料を提示し、アベノミクスの新三本の矢に貢献する予算を組んだことを得意げに報告したのです。これは、アベノミクス=大企業が潤えば、その一部が滴り落ちてくるという「トリクルダウン」の経済政策を予算編成の柱にしたことを示すものです。
 実際に、予算書を見ると冒頭の編成方針には、「『世界一の都市』の実現に向けた取組」がかかげられ、予算の説明では、「2020年とその先の東京と日本全体に対する「投資」という観点から(略)重点的に予算を配分した」とされ、「東京都長期ビジョン」にもとづく9つの「都市戦略」がかかげられていますが、その予算の大半はオリンピックや大規模開発、インフラ整備につぎ込まれ、「都民福祉の充実による生活の質の向上…都民一人ひとりが安心して豊かに暮らせる社会の早期実現を図る」(昨年度編成方針)という立場が編成方針の基本事項から外され、「福祉先進都市」はわずかに9・7%に過ぎないのです。

都民のくらしと営業は
 いま、おおくの都民は、貧困の増大と格差の拡大、子育てや介護の困難、冷えこむ地域経済など、くらしや営業の困窮に苦しんでいます。こうしたときに求められる予算は、こうした都民にあたたかい手をさしのべることではないでしょうか。例えば、国民健康保険や介護保険などの値上げ=負担増の解消、不足する保育所や介護施設・サービスの抜本的拡充、若者の雇用の創出と教育費負担の改善、木造住宅やマンションの耐震化、経営難に苦しむ中小企業への支援などに思いきって予算をつぎ込むことではないでしょうか。

税の使い方の逆立ち
 ところが、舛添都政にはその心が見あたりません。実際に、今年度、3200億円もの収入増となりましたが、これを都民のために使うのではなく、すべて基金(2面)にため込んでしまいました(最終補正予算案)。東京都のため込み(借金返済のための基金を除く)はなんと1兆9000億円近くにも達しているのです。
 また、住民追いだし、住環境破壊の外郭環状道路や都市計画道路・特定整備路線など不要不急の大型公共事業を見直せば、都民のために使える予算は充分に生まれてくるのです。都民のための予算への抜本的転換が求められています。
(注)一般会計=税を主な財源とし、地方公共団体の基本的な活動に必要なあらゆる経費を計上(都財政用語辞典)

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安心して子ども産み育て老いていける東京に!

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新日本婦人の会東京都本部会長・佐久間千絵
 新日本婦人の会東京都本部は、東京都に向け2つの署名(18歳までの子ども医療費無料化を求める請願書、安心して住み続けられる介護保険制度の充実を求める請願書)を1月末までに会員の半数を目標に集めようとがんばっています。
 舛添都知事は都議会第4回定例会所信表明で、第3次安倍内閣が打ち出した「新3本の矢」は経済成長と生活の質を両立させるという東京都の政策と方向性を一にするとあらためて表明し、そのことに心底失望しています。
 貧困と格差広がる中、安心して子どもを産み育て、老いていける東京に!私たちの切実な暮らし・福祉・いのちを守る施策の実現に向けこの二つの署名を軸に大きく展開していきたいと思います。
 ご協力よろしくお願いいたします。

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医療、認知症対策の大幅増額を

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東京民主医療機関連合会事務局長・今井晃
 東京都は、「福祉先進都市」の実現へ向け、保育と介護の人材確保・育成、特別養護老人ホームの整備補助等を増額したと発表しました。実際に一定の対策が施されていることは確かです。しかし、例えば介護人材の項目では、前年の29億円から48億円に増加しているものの、増加分の8割がキャリアパス導入促進事業に充てられ、深刻な人手不足の解消に向けた「確保」予算はわずかにすぎません。そもそも200億円を超える保育人材確保予算と比べてもボリューム自体が小さすぎるのです。在宅医療の充実対策予算の増額が少ない(44億円から52億円)ことも問題ですが、救急医療(104億円から102億円)や認知症対策(41億円から40億円)が削減されていることは大きな問題です。地域包括ケアの推進に向けて少なくとも介護人材確保と在宅医療、認知症対策の大幅増額を行うよう、原案からの修正を強く求めます。

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都営住宅 ―― 新規建設予算1円も計上なし

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東京都生活と健康を守る会連合会事務局長・水上昭三
 東京都は、石原都政以来都営住宅の新規建設予算は1円も計上させていません。小泉政権のとき、社会保障費2000億円削減と同時期に公営住宅は「真に困窮する人を入居させる」として、入居所得基準額が20万円から15万8000円に引き下げられました。東京都も都民の切実な要望も聞かないで引き下げを強行しました。都民の都営住宅への要望は根強く基準が引き下がっても応募倍率はほとんど変わりません。
 承継問題も切実です。一親等から原則配偶者に子どもは20歳未満と60歳以上でないと承継を認めません。病弱者は都立病院の医者の診断書しか認めません。今年、墨田区で無収入の40代女性が都営住宅を出されました。非正規雇用やアルバイトなど年収が200万円以下の人たちが増える中で都営住宅建設がますます重要となってきています。
 また定期使用住宅若年ファミリー世帯向け住宅の募集が増えつつあります。‐10年になったら明け渡さなくてはなりません。この定期使用住宅の募集が増えつつあります。
 都生連は昨年都営住宅新規建設、承継問題、所得基準引き上げを求める署名4万154人分を3回に渡り舛添都知事に提出をしました。この署名数は青島知事が1997年「財政健全化計画」に反対をして12万1111名を集めた以来の数です。10戸でも20戸でも新規の都営住宅建設を強く望むものです。


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