書評 革新都政をつくる会編著「転換点にたつオリンピック」(かもがわブックレット、2014年)
2015年10月15日
青沼裕之(新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所事務局長)

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 本書は2014年11月という好時期に発刊された重要な文献である。
 何故ならば、同年6月10日に舛添要一新都知事が都議会の所信表明で、2020年東京オリンピック・パラリンピック会場計画を見直すと発言し、それを受けて「2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会」は同月24日に「2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場計画についての提案」を舛添都知事と森喜朗オリンピック・パラリンピック組織委員会会長宛に送っており、会場計画の見直しが進み始めていたのである。しかも、2015年2月には組織委員会がIOCに「東京2020 大会開催基本計画」を提出することになっていたからである。
 「オリンピック憲章」と「オリンピック・ムーブメント・アジェンダ21」の諸条項に則り、大型開発優先でなく環境に配慮した都民本位の会場計画に変更してゆくために、本書の果たす役割は非常に大きいものであった。実際、その後の経過を見たとき、大きな役割を果たしたと言える。つまり、新国立競技場計画は白紙撤回となり、幾つかの競技会場は既存施設を使う形で変更された。
 本書は、以上のような会場計画問題にとどまらず、その背後にある「東京大改造計画」や「アベノミクス“第4の矢”」、さらには「肥大化したオリンピック」自体が抱える課題についても検討し、論点を提示している。現代のオリンピックについて再考する際に大いに活用されるべき文献である。


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