連載(4)考証 革新都政12年 革新都政を生みだした力(3)
2015年1月15日
都政のあり方は、勤労者・中小業者・農漁民・青年婦人・知識人その他めぐまれぬ都民の生活と生活環境を守り、改善する都政でなければなりません。また、日本の首都にふさわしい、清潔で民主的で平和な都政でなければなりません。
(政策協定前文)
勝利を導いた政策協定
1967年の都知事選挙にあたって、当時の日本社会党と日本共産党との間で、統一戦線選挙の前提となる組織協定=「共同闘争の態勢についての協定」とあわせて「東京都知事選挙の政策協定」が結ばれました。
政策協定では、冒頭の前文で、革新都政がめざす都政のあり方が明確に示されるとともに、
一、都民本意の明るい民主都政を
二、都民の生活を守り生活環境を改善する
三、物価を安定させる
四、中小、零細企業をまもる
五、教育、文化スポーツの民主的発展のために
六、都財政の民主化と都民のための財源の確保
七、都民の自治権と民主的権利をまもる都政
八、都民の平和を守る都政
の8つの柱と61項目に及ぶ具体的政策がかかげられました。
政策協定は、都知事選挙1ヶ月前、社・共書記長会談で組織・政策協定の締結が合意されてからわずか6日ほどで作成されたものです。しかし、その政策がおおくの都民の共感をかちとり、選挙勝利にむすびついた背景には、一つ一つの政策が、長年にわたる自民党都政もとで置き去りにされてきた都民の切実な要求にもとづくものであり、また、「私の要求運動」をはじめ、公害闘争、基地・平和運動など都民自らの対都要求運動に裏付けられたものだったからにほかなりません。
この点が財界や大企業、ひとにぎりの富裕層のための政治をすすめる自民党の政策との決定的違いであり、自民党都政打倒の原動力となったのです。
また、この政策協定は、戦後の自治体選挙において、はじめてとなる体系的・総合的政策であり、自治体の転換の方途を示した点で、画期をなすものでした。そして、その後の革新勢力の政策の嚆矢となったのです。
美濃部候補の9つの公約
候補者となった美濃部氏は、政策協定締結にあたって、その「実現に努力する」ことを表明するとともに、選挙戦にあたって、
・ 都市たる価値は高層ビルや高速道路だけではかれるものではない。私は今の劣悪な一般都民の生活環境を、緊急かつ徹底的に改善する
・ 巨費を投じて壮観を誇るより、まず地域にこれら(注:図書館・婦人会館・労働会館・児童館・運動場やプールなど)の施設を普及させていく
・ 東京には権力と富が集中するが、その裏側には貧困と不幸が進行する。都政はこれら底辺の都民の味方でなければならない
・ 革新都政こそが真に中小企業を守る都政であることを実証する
・ 都政の民主化、科学化をはかる
・ 都の軍事化に極力抵抗する
などの、政策協定をふまえた「9つの公約」を提示しました。
革新都政一二年の礎に
そして、この政策協定と9つの公約で掲げられた政策・公約は、都民運動を背景につぎつぎと実現にうつされ、保育所の増設と未認可保育所の助成、保育職員の待遇改善、老人医療費無料化、心身障害児の全員入学、都営住宅の大量建設、公害防止条例、立川基地全面返還など、革新都政3期12年を通じて築きあげた全国に誇る住民サービスの礎になったのです。