政府と一部マスコミは大企業を中心に「消費税増税の影響は想定内」との報道を繰り返していますが、私たち民主商工会(民商)には、会内外から悲鳴と先行き不安の声が寄せられています。消費税が8%に引き上げられてからの実態については、国も都も調査を行っておらず、私たちは7月から8月まで「消費税増税影響調査アンケート」を行いました。アンケート回答数は1371人です。
アンケート結果から
「消費税の上昇分を売上げ(販売、請負価格)に100%、またはほぼできている」は32・8%で、100%転嫁できていないは59・8%に。その内、消費税が導入されてから25年がたつというのに「前から価格転嫁は全くできていない」の回答が18・1%を占めています。「転嫁できない業種」では、料理飲食、サービス業が他業種に比べ高く、お客・取引先との関係で消費税の転嫁が難しいことが伺えます。
増税前と比べて売上げが「1割程度減少」から「5割以上減少」が55・8%と半数を占めています。中でも「4割以上の減少」が15・3%、およそ7件に1件の割合になり深刻な実態が浮き彫りになっています。売上げが「増えている」はわずか3・4%。利益は、増税前より「1割程度から5割以上減少」したが61・3%に達し、増税の影響が顕著に表れています。
今後の経営の見通しについては「悪くなる」が54・3%と半数を超え、「横ばい」が21・4%、「良くなる」はわずか2%です。一方、「わからない」が20・1%あり、先行きの不安感が示されています。
政府がさらに10%への増税を計画していることに、「反対」が89・1%を占めています。その理由として「これ以上消費税があがったら商売を続けられない」「消費がいっそう落ち込んで業者、消費者、ともに生活が苦しくなる」「転嫁できない」「税金は応能負担で払える能力のあるところから納めるべき」などです。
このような経済状況の下で、安倍首相は7月~9月の経済指標をもって、年内に判断すると明言。しかし、これ以上の税率引き上げについて、各種世論調査では「反対」が7割前後を占め、「賛成」を大きく上回っています。多くの世論と、私たちのアンケートにも示された増税に苦しむ中小業者の苦境を無視して「消費税10%」を強行するなら、国民生活と中小企業、小企業の営業は破壊されてしまいます。
大企業での正規労働者が減少し、労働法制の改悪でさらなる労働条件の改悪が狙われるなか、地域で雇用を支える中小企業・小企業の減少は、失業者・非正規労働者の増加にもつながり、社会全体に一層の貧困と格差を広げるものです。
消費税増税は、まさに大企業優遇の政治そのものであり、「戦争できる国づくり」のための財源です。国民生活にかけられた攻撃に対し、共同の行動を広げ、消費税増税中止に全力をあげていきます。