高すぎる国保料
2014年8月15日
滞納差押さえ 延べ7400件・30億円超に


 1961年、すべての区市町村で国民健康保険がスタートし「国民皆保険」が確立しました。現在の「国保法」は、憲法25条に基づいて「国保を社会保障制度」として明記し、国と自治体の運営責任を明確にしました。
 国民皆保険は、国民は公的医療保険に加入し「だれでもいつでも必要な時に十分な医療が受けられる」制度だということです。しかし、日本の医療保険は、リスク別のグループに括るというおよそ「保険」制度(リスク分散機能)としては成り立たない仕組みを作ってしまいました。また、国保は、無職の人や自営業者が多く加入する保険でしたが、現在では本来被用者保険の対象になる人が35%を超えています。
 国保は「すべての加入者に国保料(税)を賦課する」制度設計になっています。そのため国保には「被扶養者」がありません。〈表〉税法上の被扶養者にも国保料(税)が賦課されます。このことが高すぎる国保料(税)の原因にもなっています。
 13年4月時点で23区の国保加入世帯は約169万7千世帯で加入率は35・9%で全国平均を大きく上回っています。収入が低くい「均等割のみ」は約71万4千世帯(42%)に上ります。
 国保特別会計の収入に占める国保料の率は23区平均24・8%で国庫支出金(21・9%)、都費支出金(6%)の合計に匹敵する割合です。保険料軽減のために自治体の繰入金(法定外分)は平均で1人当たり3万500円ですが、区による開きが大きくもっとも高いのは文京区4万1900円、最も低いのは豊島区1万2400円で3倍以上の開きがあります。
 国保料は、中野区を例にみると給与収入400万円で40代夫婦と子ども2人の4人世帯で10年度約27万9千円から14年度約44万1千円と16万円も負担増になっています。所得の16・6%にもなります。国民年金保険料と合わせれば年間負担は所得金額の30%になり、とても負担できる額ではありません。
 保険料滞納に対する財産差押えは、千代田・中央は12年度は差押えをしていませんが、他の21区の合計で延べ7400件・30億円を超えています。
 今年の通常国会で成立した「医療・介護総合法」と来年通常国会で狙われている「国保都道府県単位化」によって、医療の供給体制と医療を受ける被保険者の管理がともに都道府県の責任と権限に委ねられ、「医療費適正化」の名のもとに医療費削減と受診権の制限が本格的に行われようとしています。
 『正規労働者・低賃金労働者の増加→高い国保料(税)が払えず滞納→短期証から資格証明書に→窓口負担に耐えられず受診抑制→手遅れ死亡』という悪魔のスパイラルを断ち切る運動を幅広い国民との共同で広げていきましょう。【東京社保協・事務局長 寺川慎二】
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