都政転換 地域から(4) 都心区の再開発どんどん巨大化 その便法が「都市再生への貢献」と…!?
2014年8月15日
千代田区議会議員 木村正明
ひとつは「日比谷プロジェクト」です。三信ビル等の跡地の再開発事業で、容積率が900%から1450%に上乗せされます。
「貢献」の一つが「高度防災都市」づくりです。帰宅困難者対策が強化されるというのが、その理由です。およそ3000人が避難できる5000平方メートルが避難所として開放され、備蓄倉庫も整備されます。しかし、このプロジェクトでうまれる人の交通量は一日あたり12万4000人。3000人の避難施設を作ることが、なぜ「貢献」なのか疑問です。より重大なのは、この施設が地下にあることです。「日比谷」は、もともと海の入り江でした。筑波大学元副学長の谷川彰英先生は、直下地震で「津波が東京湾から北上してきたら、真っ先にやられるところ」と言っています。その地下に避難施設を作るとは、働く人達の命を何と心得ているのでしょうか。
実は「高度防災都市」とは労働者を守るためではありません。2012年に「大手町・丸の内・有楽町地区」の「地区計画の目標」が次のように変更されました。「災害時でも事業継続が可能となるよう防災機能やインフラ機能の強化を図る」。つまり首都直下型地震がきても企業活動が中断されない。これが高度防災都市なのです。
いまひとつ紹介します。三井不動産などによる富士見の警察病院跡地の再開発事業が今年6月に竣工しました。ここも容積率が410%から930%に2倍以上に増やされました。道路拡幅や歩道整備といった「都市基盤整備」が「地域貢献」とみなされたからです。
その結果、150mのツインタワーができました。ところがそこからのビル風で、「整備された歩道」や「広場」をお年寄りが歩けなくなってしまったのです。わが党区議団には「回り道をさせられている」「手すりをつけてほしい」という切実な声がよせられています。ところが千代田区は、この事業を「人と環境にやさしいまちづくり」と称しています。
まちづくりの主人公の地位を、住民が取り戻さなければならない。そう痛感させられる毎日です。