〈連載〉2020年東京オリンピックを考える(6)
2014年7月15日
施設見直しを実現した都民の声と運動

 都市をオリンピックにあわせるのではなく、
 オリンピックを都市にあわせるというのが、
 環境基準の考え方


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 6月、2020オリンピックの準備状況を確認するため、IOCの調整委員会が来日しました。
 調整委員会は、組織委員会、東京都などから準備状況の確認をおこなうとともに、この間、東京都の招致活動をウオッチし、オリンピック憲章とアジェンダ21から逸脱する開催計画に対して“異議”を申し立ててきた「2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会」(以下・都民の会)からもヒヤリングをおこないました。
 冒頭の発言は、その「都民の会」との面談のなかで明らかにされたものです。
 これは、IOCが、会場施設について、オリンピック憲章とアジェンダ21にたつことを基本原則としていること、開催都市が背伸びをして巨大な施設や新規の会場を用意しなければ、開催都市になれないということではない、ということを「都民の会」を通じて、本来のホストである都民に伝達しようとしたものと考えられます。

巨大なイベントのための施設は必要ない

 調整委員会はこのようにも述べました。このことは、「IOCから、メインスタジアムには8万席の客席必要だといわれている」、「辰巳屋内水泳場は、プールは国際規格を満たしているが客席が少ないので対象にならない」などといって既存施設の活用をしりぞけ、また、コンパクトな計画といって8キロメートル圏内に施設をおさめることが絶対条件かのようにいい、1964年オリンピックのレジェンドである駒沢オリンピック公園の競技施設を検討対象からもはずしてしまった、東京都の主張を根本からくつがえすものです。
 これらの発言は、「考える会」をはじめ、巨大なメインスタジアム建設に反対する運動団体、葛西臨海公園でのカヌー競技施設建設に反対してきた「野鳥の会」など、幅ひろい都民が求めてきた、開催計画の見直しの提案にこそ、道理があることを証明することになりました。
 一方、調整委員会の来日を前にして、舛添都知事は、建設コストの高騰などを理由に計画の見直しをおこなうこと、葛西臨海公園のカヌー競技場については、隣接地に移動することを検討していることを明らかにしました。また、東京都と組織委員会が、東京辰巳国際水泳場など既存施設を活用することや経費のかかる常設をやめ仮設に変更すること、8キロメートル圏外の施設を活用することなどの見直し作業に入っていることも明らかされています。
 これらの見直し、とりわけ葛西のカヌー会場の見直しを現実のものとしたものは、この間の都民の“異議あり”の声と運動にほかなりません。
 同時に、今回の見直しが舛添都知事の英断かのように報道されていますが、実際には、東京都にとっては予定の行動でした。都庁の中では、招致活動の当初から、IOCに提出した開催計画=申請ファイルは、招致レースに勝つためのもので実際の施設計画とは別物、開催地が東京都に決まれば、会場計画は「ガラガラポイ」するといったことがなかば、公然と語られていました。IOCと都民を欺く行為といわざるを得ません。
 調整委員会によるヒヤリングの前日、「都民の会」は、東京都と組織委員会に対して、巨大なメインスタジアムや自然破壊のカヌー会場の見直し、駒沢オリンピック公園の施設、東京辰巳国際水泳場など既存施設の活用など、会場施設計画の抜本的見直しを求める提案をおこないました。東京都と組織委員会は、来年2月までに計画を確定させるとしており、都民的運動も正念場を迎えることになります。


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