公契約条例制定 東京で5自治体に広がる
2014年6月15日

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東京自治労連と東京土建の「公契約シンポジュウム」=2014年3月19日
 建設労働者の賃金は、ダンピング受注と重層下請で他産業平均年収よりも26%も低い390万円で、建設産業から技能労働者が離れていく事態となり、人材不足が社会問題にまでなっています。
 公契約条例は、公共工事に関る建設労働者の「賃金下限額」を定め、暮らしの安定を図るものです。賃金下限額の基礎は、公共工事設計労務単価を使用しています。設計労務単価は、公共工事を見積もるときの51職種の技能労働者の単価です。国土交通省は、建設技能者を確保しないと「近い将来、災害対応やインフラの維持・更新にも支障が生じかねない」とし、設計労務単価を2012年比で23・2%引き上げ、建設技能者への適切な賃金水準の確保を要請しています。例えば東京の大工は、1日24、700円と定められ、条例での賃金下限額は設計労務単価の90%としている自治体が多くあり、大工で22、230円、月額換算で466、830円、年収換算で560万円となり他産業平均に肩を並べることが可能になります。
 東京土建と東京自治労連は、3月19日、けんせつプラザ東京にて「足立の経験に学んで足を踏み出そう」と公契約シンポジュウムを3団体104人と報道関係2社も参加し、講師の東京土建足立支部中村書記長から、運動の発展から区長の協力を得て成立した教訓と組合員の支部への信頼の高まりが語られ、13日の区役所の「入札・契約制度の変更説明」で(1)元請・下請の適正化…法定福利費の内訳明示された見積書の提出と尊重、(2)入札・契約制度の変更…最低制限価格と低入札調査基準価格の引上げ、見積期間の拡大など更に改善されている報告もありました。足立区労連宮下事務局長(区職労)からは、公契約条例制定で区臨時職員の待遇改善につながる相乗効果や自治体労組の役割を語って頂き、東京地評、公共一般労組、文京支部、日野支部から取り組みの報告を受け、前進の気運が満ちていることを確認できました。
 公契約条例は、東京で多摩市、渋谷区、国分寺市、足立区、千代田区5自治体に広がり、全国で11自治体まで広がりました。各地で、東京土建など建設労働組合と東京自治労連など自治体労働組合が中心となって地域労連、住民が加わり「公契約条例を進める会」などに発展し、学習会やシンポジュウムを開催しています。また、商工会、法人会、建設業協会など業界や議員、担当の自治体部局との懇談などを行っています。
 条例施行で喜びの声が上がっています。多摩市では、清掃労働者から時給903円以上に引き上がった。型枠大工から賃金が上がったよ。また、多摩市の施行後の事業者アンケートで、賃金を上げたと回答があり地域経済の発展につながるとの意見が多数寄せられています。渋谷区では、渋谷区公契約条例適用の山谷小学校改築工事現場で、「あなたの賃金を確認してください」と「お知らせ」が貼り出され、監督から「この現場は条例で職種ごとに1日の日当が保障されます。もし、これ以下だったらいってください」と説明がされ、労働者は条例を「夢」ではなく「実感」しています。


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