〈連載〉2020年東京オリンピックを考える(4)
2014年5月15日

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アベノミクス“第4の矢”
「『夢よもう一度』とでもいうのか。2020年の東京五輪開催を契機として、『土建国家』がよみがえろうとしている」(東京新聞2013・9・12付)
 東京都が2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催地に選定されてから8ヶ月。オリンピックは、アベノミクスの〃第四の矢〃に位置づけられ、オリンピックを梃子にした開発の動きが加速度をましています。
 施設建設では、多方面から異議ありの声があげられている巨大なメインスタジアムをはじめ、貴重な都有地を民間に売り渡す選手村、既存施設の優先活用を求める「アジェンダ21」を無視して建設される新規会場など、その建設費は、総額4554億円(うち東京都負担1538億円)にのぼります。
 IOCや都民に隠された巨額な経費も存在します。それは臨海開発救済のために、競技施設や選手村などを臨海部に集中させた結果、発生することとなる土地代金(臨海副都心開発事業会計に支払う購入代金や一時借使用料)であり、東日本大震災で大規模に発生した液状化の対策費に他なりません。
 くわえて、工事費が高騰をつづけており、これらをあわせれば、事業費が当初の算定額をはるかに上まわることは必至です。

息を吹き返すインフラ構想
 さらに重大なことは、招致計画には盛りこまれていない交通インフラの構想が、次々と打ち上げられていることです。
(1)地下鉄八号線(東京メトロ・有楽町線豊洲駅~都営新宿線・住吉駅間。総事業費1260億円)
(2)蒲蒲線・新空港線(東急・JR蒲田駅~京急蒲田駅間)。事業費1080億円。
(3)都心直結線(京成線押上駅~京急線泉岳寺駅間。当初の東京駅立ち寄り方式から、大深度の直結方式に変更。事業費4000億円超)
(4)中央区新規地下鉄路線(都心~臨海副都心間)
(5)JR新線(田町駅付近~羽田空港。検討中)
(6)ゆりかもめ延伸(豊洲~勝どき)
 このうち、(1)(2)(3)は、国の運輸政策審議会(現交通政策審議会)の第18次答申に、「2015年までに整備着手することが適当」と位置づけられていたものですが、必要性の問題や建設費が巨額にのぼること、採算性の見通しが立たないことなどから、建設着手に至らず、答申の期限(2015年)をむかえようとしていたものです。
 東京メトロ(株)は、「副都心線を最後として、今後は新線建設はおこなわない」(有価証券報告書)としてきましたから、まさに、オリンピックに便乗して、息を吹き返そうというものにほかなりません。
 道路計画でも、立候補ファイルに記載された10区間以外に、地上部とあわせて1兆8000億円を超える外郭環状道路(練馬~世田谷間)をはじめ首都圏中央連絡道、首都高速中央環状線の三環状道路の新規建設、「木密地域不燃化10年プロジェクト」による特定整備論路線のおしつけ、など、この時とばかりに開発計画がもちだされています。舛添知事が、オリンピックまでに完了すると表明した首都高速道路の改修も1兆円規模にのぼります。
 オリンピックでそれいけどんどんの安倍政権と東京都。その一方でとりのこされる被災地と国民生活。経済紙の「五輪の経済効果にはあまり期待しないほうがいいのではないか」(日経、大機小機2013・9・27)の指摘は正鵠を射たものです。


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