〈連載〉2020年東京オリンピックを考える(3)
2014年4月15日

 東京都は、2020年の夏季大会の開催都市を決定するIOC総会(昨年9月)でのプレゼンテーションにあたって、「オリンピック・レガシー=遺産」の形成をくりかえし表明しました。
 このレガシーは、IOCが提唱しているオリンピックムーブメントの理念の一つで、オリンピックを一過性のイベントに終わらせるのではなく、恒久平和や国際交流、スポーツの振興などオリンピックを契機に継続的に発展させていくことを理念としたものです。
 当然、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催にあたっては、言葉だけでなく、この理念をどのように具現化していくかが問われることになります。

レガシーとしての駒沢競技場

 その日本におけるレガシーの一つが、1964年のオリンピックで第二会場に位置づけられ、「東洋の魔女」が活躍したバレーボールをはじめ複数の金メダルを獲得したレスリング、さらにはサッカー(当時・蹴球)、ホッケーなどの会場として活用された駒沢競技場(現オリンピック公園)です。
 同競技場は41ヘクタールのひろい面積をもち、いまも、当時の屋内球技場(改修中)や体育館が現役で使用され、テニスコートや陸上競技場もおおくのスポーツ愛好者に利用され、オリンピック公園としてひろく都民に親しまれています。
 “レガシー”の立場に立つならば、2020年オリンピックの競技会場として、駒沢競技場がメイン会場となる国立競技場の周辺地域とあわせて選定されてしかるべきでした。
 ところが、東京都が策定した立候補ファイルの競技施設には、駒沢競技場は見あたりませんでした。
 その根拠は、選手村から8キロ圏内に競技施設を配置するというコンセプトに合致してないというものです。しかし、8キロを超えていると言ってもわずかに1~2キロ程度で、移動に要する時間は霞ヶ丘国立競技場と大差はなく、説得力はありません。

臨海副都心に集中する施設

 一方、臨海副都心を中心とする臨海部には、おおくの競技施設があつめられ、テニスの有明コロシアムを除いては、すべての施設が新規に建設されることになりました。 この臨海部は地震の際の液状化や津波被害の危険が指摘されており、会場として不適性が専門家から指摘されているところです。しかも、開催計画が見込んでいる恒久施設の建設費3000億円のなかには、液状化や津波対策の経費は盛りこまれていません。
 くわえて、新規に施設を建設する用地の多くは臨海副都心開発事業会計が所有する土地で、利用するためには土地を購入すること必要です。この経費も開催計画には計上されていず、液状化対策や用地購入に要する追加経費は巨額にのぼることは明らかです。
 オリンピック・レガシーである駒沢競技場を活用すれば、このような経費は不要で済ますことができるのです。にもかかわらす、その利用をしりぞけ、莫大な資金を必要とする臨海副都心に施設をあつめた最大の理由。そこに見え隠れするもの。それは、にぎわいの創出と施設用地の買上による破たんが明かな臨海副都心開発の救済ではないでしょうか。

 “既存の競技施設をできる限り最大限活用”
 “既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建造することができる”


 このオリンピックムーブメント・アジェンダ21の規定・精神にたちかえって、開催計画を抜本的に見直すことが求められています。

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競技施設が集中する臨海部


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