東日本大震災から三年 置き去りにされる被災地
2014年3月15日

 しばしば自嘲のごとくに、戦前の東北は、東京への貢ぎ物として「男は兵隊、女は女郎、百姓は米」を差し出してきた、と語られる。そんな東北はもはや過去のものだ、東北は十分に豊かになった、と感じ始めていた。錯覚であった、大震災がそれをむき出しにした。
(赤坂憲雄 復興構想会議・発表メモ2011・4・30)

“東北はまだ植民地だったのか”

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 民俗学者で福島県立博物館長。国の復興構想会議の委員も務めた赤坂憲雄氏は、東日本大震災後、さまざまな機会をとらえて、こう、東北のおかれている現状を告発してきました。
 実際に、被災から3年が経ったいまなお、27万の人々が避難生活を強いられ、収容避難所こそは昨年末ですべて閉ざされましたが、いまだに、10万人を超える被災者が応急仮設住宅、しかもおおくが劣悪なプレハブの仮設住宅の生活を強いられているのです。
 一方、安倍政権は、東日本大震災を奇貨として、国土強靱化法を制定、復興を旗印に200兆円もの公共投資計画をうちだしましたが、その実態は、復興に名を借りた土建国家の復活であり、被災地と被災者が待ち望んでいる復興とはおおきくかけ離れたものとなっています。
 いまなお、被災地の津波で失われた町には荒涼とした地平がひろがり、住民を置き去りにした再建計画のおしつけも、当然のことながら進捗をみせていません。
 とりわけ、深刻なのが、被災者の生活再建のスタートとなる復興公営住宅の建設です。土地の取得の問題などもありますが、建設費の高騰などによる入札不調などによって、今年2月末までに建設が完了したのは、建設予定の2万9228戸のわずか3・3%、967戸にすぎません。

オリンピックで遅れる復興

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宮城県名取市閖上日和山地区
 また、安倍政権は、東京開催が決まった2020年オリンピックをアベノミクスの〃第四の矢〃に位置づけ、東京都と一体となって巨大なメインスタジアムなどの競技施設や外郭環状道路などのインフラ整備に、巨額の資金をつぎ込もうとしています。
 陸前高田の市長は、昨年10月に岩手県で開催された全国災対連主催の交流集会でスーパーゼネコンの幹部から「オリンピックが東京に決まったら引きあげます」と言われたことを紹介しましたが、すでに、被災地では公共工事の入札不調が増加しています。2013年度の岩手、宮城、福島の15市の不調は10%を超え、岩手県山田町では不調が45%に達し(毎日新聞・被災42市町村長アンケート)、被災地の自治体は「人手や資材の不足が東京五輪の影響でさらに加速することへの不安」(同3月11日付)をつのらせているのです。

 東京五輪の会場建設も結構ですが、まず、仮設居住を余儀なくされている皆さんが普通の生活に戻ることが優先されるべきです。(東京新聞・発言 3月11日付)
 東京は2020年の五輪景気で資材が集中するでしょうが、被災地の住宅問題解決の方が先ではないでしょうか。(朝日新聞・声 3月11日付)
 いま、日本は2020年に開催される東京五輪に浮かれ、騒いでいるようだ。(略)まだ復興が終わっていない東北の被災地の人々を気遣う気持は、どんなことがあっても風化させてはいけないものだと思う。(同)


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