関東大震災から90年 東京は安全な都市に成長したのか(5)
2013年12月15日

 地震列島日本。最近、研究で、日本で発生する地震に“安静期”と“活性期”があることが知られてきました。90年前の関東大震災は、その“活性期”の終わりの時期にあたり、その後、しばらくは大規模な地震による被害は発生しませんでした。1964年の東京オリンピックは、まさにこの時期に開催されたことになります。
 ところが、20世紀後半にいたって、阪神淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、そして2011年3月11日の東日本大震災と、この四半世紀の間にたてつづけに震度七の大規模地震に3回も見舞われることになりました。震度6前後、マグニチュード6~7の地震も全国各地で頻発しており、日本列島が再び“活性期”に入ったことを示すものとなっています。
 このような地震活動の活発な時期とそうでない時期の現れは、プレート境界で発生する地震に一定の周期性があることに原因するものです。
 こうしたもとで、国は遅れていた3・11東日本大震災をふまえたあらたな首都直下地震の被害想定の最終的なとりまとめを、本年中に発表するとして作業をすすめています。(東京都は昨年4月発表)
 これまでも紹介してきましたが、これまでの国や東京都の被害想定は(1)「人命・生活」軽視と首都機能維持・確保の優先、(2)過小な被害数値と鉄道事故などの数値化のタナ上げ、(3)大都市固有の被害の軽視、など根本的なゆがみと欠陥をかかえたものとなっています。
 この点では、今回の被害想定発表を前に、地震・防災の研究者が、「首都直下地震M8・5想定、現行7・5では不十分」(毎日新聞11月9日付)、「首都直下M7・3被害300兆円、防災会議専門委員試算、約3倍に」(朝日新聞11月21日付)など、国や東京都の被害想定に、事実上の異議を唱える内容の知見をあいついで表明したことが注目されます。

安全で持続可能な都市づくりへの転換を

 発生すれば、世界のどの都市よりも災害リスクのおおきな東京都。地震による被害が巨大化する原因の一つは、世界でも例を見ない都市の過密性と土地の特性(深さ数キロに及ぶ堆積層と軟弱地盤)にあることは明らかです。その地震災害から都民の「生命」と「生活」をまもるうえで、
・都市政策を東京一極集中を是正し、都市の成長をコントロールする方向に百八十度切りかえる。
・国と東京都の被害想定とそれにもとづく防災計画にみられるゆがみと欠陥を是正する。
・小泉政権、石原都政によって持ちこまれた「自助・共助」、とりわけ「自己責任」のおしつけをやめさせる。
・防災を財界・大企業奉仕型から都民・災害弱者優先へ大転換する。
・税金の使い方を、防災に名を借りた大型公共事業や、オリンピックを名目にした「不燃化10年プロジェクト」などをあらため、予防原則に立脚して、住民参加型の木密地域の改善や建物耐震化、初期消火体制の確立などに組みかえていく。
 などが不可欠です。そして何より、住民や地域の組織、自治体が協力して地域の総点検運動をおこない、住民の目線で地域の特性にあわせた被害想定や防災計画づくりすすめるという、トップダウンからボトムアップへの転換が急がれているのです。

大都市固有の課題

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