関東大震災から90年 東京は安全な都市に成長したのか(2)
2013年9月15日
 海側のフィリピン海プレートが、陸側の北米プレートの下に沈み込む相模トラフ(浅い海溝)。ここを震源とするM8規模の海溝型地震としては、1923年の大正関東大地震(図の(1))と1703年の元禄関東地震(同(2)+(3))が知られています。
 これらの地震は、プレート間のアスペリティ(固着域)に蓄積されたエネルギーが、ある瞬間に解放されることで発生しますが、その発生サイクルは前者の場合には2~400年、後者では2300年とされ、東京都は、海溝型の地震はほぼ100年は発生しないと見なしています。
 ところが、最近の研究で、この領域での「あたらしいタイプの地震」と、「もっと近い将来」での地震の発生の可能性が指摘されるようになりました。

見直し迫られる海溝型地震の想定

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相模トラフ沿いの想定震源域
 根拠の一つは、この領域のプレートのすべり欠損速度(プレートが固着してずれずにいる量)と、実際の地震で発生するすべり量の間におおきな乖離があることです。
 元禄関東地震の震源域のすべり量は、すべり欠損速度が2センチ(相模湾周辺)~3センチ(房総半島南部)で、発生サイクルが2000年超であることから60メートル(推定)におよぶことが推定されていますが、実際にすべった量は、最大で10メートル(推定)にとどまりました。
 すべり欠損速度と実際のすべり量との間で、50メートル分、収支があわないのです。
 この収支をあわせるためには、図の(3)の房総半島南部(場合によっては(4)も含まれる)のみが破壊されるようなあたらしいタイプの地震が必要となります。 「このタイプの地震が数百年程度の高頻度で起こっているとすれば、(略)すべり欠損との収支の矛盾も解消される」(産業技術研究所・宍倉正展)ことになるのです。次の地震が「もっと近い将来である可能性」も考えられています。
 くわえて近年、房総半島南部の河岸段丘の見直しがおこなわれ、内房と外房で、河岸段丘の離水年代(地震で隆起して海面から浮きあがる)が一致していないことが判明しました。これも別々の震源の地震の存在を示したものということができます。
 また、房総半島東側の北方、九十九里浜にかけての海岸沿いに段丘が発達していることから、この領域を隆起させるタイプの地震の存在も考慮する必要も生まれています。さらに、この領域では津波が内陸部深くまで及んでいる場所があり、図の(4)の領域での地震の可能性や、この領域に未確認の断層がある可能性も指摘されています。
 そして重大なことは、この地域に東海村原子力発電所があり、3・11東日本大震災では福島原発に近い被害をうけていることです。茨城県東海村の村上達也村長は、「海水が(ポンプエリアの)防潮壁の高さまでわずか70センチメートルまで到達」「非常用電源三台のうち一台がダウンしもう少しで全電源喪失、福島と同じ事になっていたと知らされた」「破滅と紙一重だった」と述べています。
 2020年のオリンピック開催地に東京が選定されましたが、福島原発を安全と強弁し、切迫している大規模地震の危険に口をつぐんだ安倍首相と猪瀬都知事の責任は重大です。

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