都政転換 私の願い(21)参院選を「憲法を守り活かす」機会に
2013年7月15日
澤藤 統一郎(弁護士)

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 私は、昨年暮れの都知事選に多少の関わりをもった。「憲法を守り活かす都政の実現を」との願いからであったが、今にして思えば、急ごしらえの促成候補を擁立した素人選挙での惨敗は当然の結果だった。革新共闘のあり方に深刻な反省を迫られる経験だったが、以来、都政に関心をもつようになり、恒常的な都政革新を目指す運動の重要性を痛感している。
 半年を経ての6月都議戦では、安倍自民の好調持続を見せつけられもしたが、共産党の議席倍増には溜飲の下がる思いだった。「憲法を守り活かす都政」への足がかりができたことを喜びたい。この勢いを参院選に生かしたいと切実に願っている。今回参院選は、憲法の命運のかかった格別の重要性をもつものとなっているからだ。
 自民・維新・みんなの3党が積極改憲勢力。この3党の昨年総選挙における合計議席獲得数はなんと366。3分の2を遙かに超えた。自民の友党・公明の議席を加えれば5分の4を超える。その結果、衆院憲法審査会委員50人のうち、改憲阻止派は共産党の笠井亮議員ただ1人。49対1の厳しい状況なのだ。このうえ「ねじれ」が解消して、参院までもが同様の事態となれば、改憲策動が具体化することになろう。
 昨年4月、下野していた自民党が「日本国憲法改正草案」を公表した。ホンネ丸出しの恐るべき内容。国家が国民に憲法尊重義務・国旗国歌尊重義務を押し付ける、立憲主義否定の構造となっている。国民主権は骨を抜かれて、天皇を元首とし、「日本国は天皇を戴く国家」とされている。基本的人権は「公益及び公の秩序」によって抑え込まれ、国防軍の創設によって海外での戦争が可能となる。また、改憲案を貫く新自由主義は、自助努力の強調による福祉切り捨てと大企業の財政負担軽減までを織り込んでいる。さらに、戒厳同様の、緊急事態における内閣の強権掌握条項までが提案されている。
 喫緊の焦点となっているのが、96条改憲先行論。憲法改正の発議要件が「各議院総議員の3分の2以上」となっているのを、「過半数」とハードルを下げようというもの。政権与党は、常に過半数で成立するのだから、これでは時の与党が単独で発議を濫発できることになる。これは立憲主義の想定するところではない。しかも、この先行改憲を許せば、次の段階に9条改憲があることが目に見えている。
 自民党の改憲主張と対極をなすのが共産党。現行憲法のあらゆる条項を厳格に守るとの姿勢において同党は揺るぎがなく、憲法問題も自共対決となっている。
 いまや、改憲阻止・護憲を標榜する諸政党の中では、共産党が抜きん出た存在となっており、憲法の命運は共産党の消長と重なる現実がある。改憲阻止の運動における共闘も、共産党の存在を軽視したものであっては成立し得ず、そのようなものであってはならない。都知事選の轍は踏むまいと思う。


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