首都直下地震 あらたな東京都地域防災計画を考える(6)
2013年6月15日
未体験の都市型スーパー災害

(2) 雑居ビル

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新宿歌舞伎町雑居ビル
 大都市固有の課題の一つ小規模雑居ビル。 2001年に発生した新宿歌舞伎町の雑居ビル火災では、ビル内にいた44名の人命が失われ、2009年の杉並区高円寺南の雑居ビル火災でも、死者4名、負傷者12名の被害が生まれています。
 その小規模雑居ビルは大都市の繁華街に集中しており、まさに大都市固有の課題ということができます。
 そして現在、そのビルのおおくが老朽化に直面しており、入居テナントも防災上、危険な風俗店や火を使う飲食店によって占められていることも特徴です。
 また、転貸でビルオナー自体が不明であったり、ビル管理者や防災責任者が不在であること、非常階段がないビルがおおいこと、緊急時の脱出路となる階段にロッカーが置かれたり、倉庫代わりに使われふさがれているなど防災上、危険性の高い建物ということができます。このため、2001年の火災事故をふまえて、消防法が改正され、管理責任や立ち入り検査などが強化されましたが、改善がすすんでいないのが実態です。
 東京消防庁が2009年に実施した立ち入り検査では、2702棟の小規模雑居ビルのうち、実に、2529棟、93・6%で何らかの法令違反があり、そのうち、13・6%の店舗で、厨房設備関係の違反が報告されているのです。
 小規模雑居ビルが集中する東京が首都直下地震や関東大地震型の自身に見舞われた場合、老朽ビルの倒壊や内部崩壊の危険や閉じ込め、火災などの災害が発生することも予想されます。
 では、東京都の地震被害想定や防災計画で、この小規模雑居ビル災害はどのように位置づけられているのでしょうか。
 被害想定では、小規模雑居ビルの被害の検証や人的被害などの数値化はおこなわれていませんし、当然のことながら、被害想定にもとづく防災計画も、見るべきものはありません。

雑居ビルに保育所
 また、石原都政をひきついだ猪瀬都知事は、企業参入型の認証保育所を推進していますが、この認証保育所の少なくない施設が、小規模雑居ビルにつくられていることも重大です。
 本来、二階以上の保育室を設置する場合には、避難階段など、二方向の階段が必要ですが、認証保育所の場合、規制緩和で一階段の雑居ビルでも設置できるようになったこと、常時火を使う飲食店のうえに設置が可能であることなど、防災上、雑居ビルが乳幼児を保育する場所として、不的確であることは明らかです。
 国や東京都は、早急に小規模雑居ビルの悉皆調査をおこない、被害の数値化をふくめた被害の想定と、地域防災計画の抜本的見直しをおこない、必要な対策と規制措置を講じることが急がれています。


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