首都直下地震 あらたな東京都地域防災計画を考える(2)
2013年2月15日
 昨年11月、「東京都地域防災計画震災編(平成24年修正)」が発表されました。
 地方自治体が策定する「地域防災計画」は、国の災害対策基本法にもとづいて策定されるもので、今回の修正は、昨年6月、成立した改正基本法(第180回国会)と中央防災会議が策定した防災基本計画の見直し(同9月)をふまえておこなわれたものです。
 この間、国は中央防災会議のもとに「防災対策推進検討委員会」を設置し、「南海トラフ巨大地震」の被害想定を策定するとともに、首都直下地震に関しても、「首都直下地震対策協議会」設置し、あらたな被害想定の今年度内の策定に向けて検討をすすめるとともに、「首都直下地震対策についての中間報告」(昨年7月)を発表するなど、急ピッチでとりくみをすすめています。
 東京都の防災計画は、こうした国の動きをふまえるとともに、「『被害想定(注)』、東日本大震災などの最近の大規模地震から得た教訓、近年の社会経済情勢の変化、及び都民・都議会等の提言を可能な限り反映し策定」したとされています。(注=昨年4月)


防災計画こそ生命線

 この防災計画。被害想定がマスコミで大々的に、しかも、くり返しとりあげられるのに対して、その扱いは低調で、都民の関心を喚起するにはほど遠いものとなっています。しかし、この防災計画の内容如何によって、地震による人的、社会的、経済的被害の様相はおおきく異なることになります。
 大規模地震の被害を未然に防ぎ、自然現象を「人災」とさせないためには、防災計画が、予防、応急、復旧・復興のそれぞれの段階で万全にくみたてられているのか、とりわけ、予防の視点にしっかりと立って策定されているかが、その鍵を握っているということができます。
 今年は区市町村が、国の基本法改定、基本計画見直しをふまえて、都の防災計画との整合を図りながら、それぞれの防災計画の見直しをおこなうことになります。地域防災計画の見直しを考えるうえで、ポイントとなる問題、課題について見てみたいと思います。


ボトムアップ型への転換を

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防災ウォッチングで「晴海防潮扉」を調査する参加者=12年6月、中央区晴海
 第一に、住民参加でつくられるのか、どうか、という問題です。
 この点で、まず、問われなければならないのは地域防災計画を策定する「地方防災会議」の構成と運営の問題です。
 これまで、地方防災会議の構成員は、災害対策基本法で定められた行政関係者や指定地方行政機関、消防や警察の長などに限られ、学識経験者や一般市民の参加は認められていませんでした。
 また、防災会議の運営も形骸化している場合がおおく、東京都の場合には、防災計画の修正を決定した防災会議は、開催時間がわずか30分程度、議事も、本編だけでも6百ページにも及ぶ防災計画の概略を、一方的に説明して終わりという、形式的な内容となっているのです。
 しかも、議題となる防災計画の内容そのものも、行政機関の各部署の行政計画の積み上げにとどまり、掲げられた「減災目標」も裏付けの乏しいものとなっているのが現状です。
 こうした現状を改革することが、生きた計画を策定するうえで不可欠です。今回の基本法の改定で、地域防災会議に、学識経験者や地域の防災組織の代表をくわえることが定められたことは一歩前進です。
 いま、各自治体で防災会議条例の改正や検討委員会の設置などがはじめられています。この機会に防災会議の構成と運営を抜本的に改革することがとりくみ第一歩となります。
 その際、地域や住民の意見、とりくみを反映させるために、構成員について官製型の町会や防災組織の代表にとどまらせるのではなく、地域の自主的な防災組織や、例えば小学校区ごとの住民代表、高齢者や災害時要支援者の見守り組織など、実際に防災の最前線にたつこととなる組織や住民を構成員とすることなど、地域の目線からの組織づくりが求められることになります。
 さらに、地域ごとの地盤構造や地震の際のゆれ、建築物の特性などを独自に調査・研究することも不可欠です。こうした課題に応えられる学識経験者や専門家、専門機関を構成員にすることも、防災計画を生きたものにするうえで欠かせません。地域での防災ウオッチングで明らかにされた課題や住民懇談会などで出された意見などを防災計画に反映させる仕組み、ワーキンググループの設置なども、計画をよりゆたかで実効性のあるものにするうえで大切なとりくみになります。
 従来型のトップダウンのやり方をあらためて、地域からのボトムアップ(積み上げ)で、現実的で地域の実態にあった計画づくりをすすめるシステムの構築が、何よりいそがれているのです。


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