都政転換 私の願い(13)子ども・青年に豊かなスポーツ文化を
2012年8月15日
片桐 雄一(小学校教員) 


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 夏は「夏休み」ということもあって、とりわけ子ども・青年がスポーツにふれ合う機会が多い。加えて今年はオリンピックイヤー。こんなにもたくさんのスポーツがあったのかとその文化の多様さに出合うことができた。たくさんの感動もわけてもらった。生きていく上でのスポーツの力も感じとった。
 “スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利”と謳った「スポーツ 基本法」が昨年施行されたことや、3・11東日本大震災や福島原発事故を契機に、これまでの私たちの生き方や考え方に大きな変化が生まれてきていることなども考え合わせ、改めて、子ども・青年の成長にとってのスポーツの果たす役割についても考える機会となった。中でも私の心にしみ込んで忘れられないある新聞社説がある。震災直後の3月30日のその社説は、被災地に届けたいものとして「水。食べもの。安心して眠る場所。暖房。医薬品。ガソリン……」と列記した。その上で「それらを追いかけて、届けたいものがある。心を柔らかくしたり、静めたり、浮き立たせたりするもの。想像の世界へ誘ったり、考えを深めたり、元気がわくのを助けたりするもの‐‐文化とスポーツだ。一冊の本。一つのボール。それは子どもたちが生きるための必須栄養素だ」と結ばれていた。
 学校現場で毎日子どもたちと向き合っている私は、スポーツは必須栄養素と指摘するその一節の意味するものを深く受けとめた。必須栄養素であるにもかかわらず、体育・スポーツに対する子ども意識が「すき・きらい」あるいは「得意・不得意」に二極化している現状や、学校体育が体力づくりに偏重されがちな傾向もあることに問題意識を持っている。地域スポーツ団活動が勝利至上主義に陥れやすい話もよく聞く。競い合うことを通してお互いの人格を高め合うという本来スポーツに刻み込まれているヒューマニティをもっともっと大切にしなければと思っている。
 もちろん学校だけの課題ではない。いつでも、どこでも、だれでも、身近な施設で、スポーツ基本法のいう「権利としてのスポーツ」を実践し享受できる環境づくりは、子ども・青年・おとなにとって大事なことだ。ヒューマニズムに根ざした豊かなスポーツ施策を都政に求めたい。

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