東京を襲う首都大地震にどうたちむかうか都民の命と財産を守るために、震災予防を第一に「大都市スーパー災害」に備える「5つの提言」
2012年5月15日
はじめに
 2011年3月11日、マグニチュード(以下M)9の地震と巨大津波、さらには原発破壊による放射能汚染という未曾有の被害をもたらした東日本大地震は、あらためて被害を未然に防ぐことの重要さを示しました。そして今、日本は「地震の再活性期」に入ったとされており、東京においても首都直下地震の切迫が指摘されています。4月18日東京都防災会議は、「首都直下地震等による被害想定の見直し」を発表しましたが、「最大震度7、死者9700人、木造密集地域に被害集中」との報道に都民の不安も広がっています。
 「スーパー災害」といわれる大都市東京を襲う大規模地震から、都民の生命と財産、都市と産業を守るために必要なとりくみをどう進めるかは都政の重要な課題です。東京都は9月に「東京都地域防災計画(素案)」を発表する予定ですが、いま何より求められることは災害を未然に防ぐ「予防原則」に立脚したとりくみをすすめることです。
 革新都政をつくる会は、昨年の都知事選において〝新しい福祉・防災都市、東京の実現をめざす〟政策を発表しましたが、本年9月の東京都防災の日にむけて改めて「都民の目線に立った東京都防災政策」の策定をめざしています。そのために、〝シリーズ学習会〟を実施し、シンポジウムや懇談会の開催、防災政策の検討・研究をすすめています。また、多くの団体・組織、地域で防災政策・計画が検討され、具体的とりくみも実行されています。
 都民のいのちと財産を守るために「大都市スーパー災害」をいかに防ぐか。「革新都政をつくる会」は、東日本大震災に真摯に学び、急がれる首都東京の防災政策とその実現をめざして「5つの提言」を提案します。多くのみなさんの検討と意見をいただき、7月末の「都民の目線に立った大都市東京の防災の基本と防災政策(仮称)」、9月の革新都政をつくる会防災政策発表へと発展させていきます。

首都大地震 〝地震の巣〟の東京

 〝地震の再活性期〟に入ったといわれる日本。なかでも東京周辺はM8規模の元禄地震(1703年)、関東大地震(1923年)をはじめ、M7規模の地震がこの四百年の間だけで12回も発生し地震集中地域となっています。
 地震が多く発生するのには理由があります。それは、首都圏がフィリピン海プレートと太平洋プレートという2つの海側のプレートが陸側の2つのプレートの下に沈み込むという、他にみられない複雑な構造の地殻のうえに位置しているからです。そのプレートが沈みこむ相模トラフ(トラフ=比較的浅い海溝)」で発生したのが関東大地震であり、首都直下地震は、東京湾奥や内陸部の沈みこみプレートで発生するものとされています。
 今回の東北地方太平洋沖地震の影響は、震源から遠く離れた東京圏にも及び、350万人ともいわれる帰宅困難者や天井落下による死者、UR団地での1000戸を超えるドアの変形、首都圏規模でも、臨海部での世界最大規模といわれる液状化と石油コンビナートの火災などの被害をもたらし、あらためて地震被害の恐ろしさを実感させるものとなりました。
 その原因は揺れやすい、〝硬めの豆腐〟といわれる地下構造にあります。
 それは首都圏・関東平野では、大地を支える基盤岩が1000㍍~5000㍍も地下深くもぐりこみ、その上を柔らかな堆積物がおおっている構造になっているからです。
 加えて活断層型の直下地震の危険もあります。

大都市スーパー災害 想定をはるかに超える首都直下地震の被害

 国は中央防災会議を中心に、地震予測のあり方の検証、全国で想定される地震と被害想定、防災計画などの見直しに踏み出し、首都直下地震についても、2013年春頃を目途に、あらゆる被害想定と対策のとりまとめをおこなうことを明らかにしています。東京都も、4月18日の被害想定をふまえて、9月には地域防災計画(素案)を発表する予定です。
 大都市・東京を襲う地震による被害は、大都市東京固有の課題への対策が求められる「大都市スーパー災害」です。
 重要なことは、今回の地震で「想定外」という事態を招き、被害を拡大させたことです。その背景には、中央防災会議による地震評価とそれにもとづく被害想定の策定の仕組みに構造的な「ゆがみ」と「欠陥」があったことも見逃せません。
 とりわけ、2006年に策定された首都直下地震の被害想定にみられる「ゆがみ」と「欠陥」の是正が急がれています。
 その第一は、被害想定の目的が人命と都民の生活を守ることではなく、政治や経済といった首都機能を守ることに主眼が置かれていることです。この問題の検討は、中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会でおこなわれましたが、そこで「重点的」に検討されたのは、「首都機能の確保対策」としての「経済・産業」と「政治・行政」であり、都民の生命と財産、その生活は二の次とされたのです。
 第二は、被害見積もりの過小性についてです。首都直下地震の被害想定は、東京で最大死者1万1000人、負傷者16万人、建物全壊15万棟などとされていますが、実際の被害がこの程度でとどまるという保障はありません。例えば、最大の人的被害をもたらす住宅の倒壊による被害について、数値が低く抑えられていることです。多数の死者をだした阪神淡路大震災とくらべ、東京で発生する被害は比較にならないものとなることが指摘されているというのにです。
 さらに大都市に固有の高架や地下鉄などの鉄道事故、ターミナル駅、地下街、大規模集客施設、超高層ビルの長周期地震動の被害、東京湾にならぶ石油コンビナート被災などは定量評価=数値化は、おこなわれていません。渋谷や新宿などの繁華街、火災事故が絶えない雑居ビルの被害は検証すら行われていないのです。これらの被害を精査し、数値化するならば、その被害は想定をはるかに超えたものになることは明らかです。
 第三は、首都直下地震の全体像がつかまれていないことです。この点については、国が、「これらの地震を対象とした調査観測・研究は十分でなく、未だ首都直下地震の全体像等が明らかにされていない」として、補強調査を実施してきたことからも明らかです。
 文部科学省は、今年3月に、この調査をふまえた報告書を発表しましたが、その内容については、ひきつづく調査・研究と第三者による科学的で客観的な検証が求められています。また、この調査にもとづく東京都の被害想定も、想定被害の過小性など、実際の被害が発表数値を大幅に上まわる危険があります。

石原都政13年の防災 人命軽視、予防からの撤退と自己責任論の持ち込み

 石原都政は、知事就任後の2000年に予防原則をうたった震災予防条例を改悪し、東京都の震災対策を大きく後退させました。そして東京都の震災対策事業費を削減してきました。東京の防災上、もっとも重視しなければならない木造住宅密集地域の改善、木造住宅の耐震化についても、公的責任を棚上げして、自助努力=自己責任を押し付けています。
 何より、石原知事は、人命を軽視しています。4月18日東京都防災会議が「被害想定」の見直しを発表しましたが、その重大な報告書を受け取るべき責任者である石原知事は欠席し、アメリカで「尖閣諸島購入」発言をしていました。都民の生命を第一とする知事の姿勢が問われます。
 いま、東京都は、東日本大震災を受けて、「防災対応指針」策定、「被害想定見直し」の発表などの取り組みを進めていますが、その基本的スタンスは、都民の生命と財産を守る立場よりも、財界戦略にそって大企業・多国籍企業のための首都機能をどう守るのか、予防よりも発災後の対策、公の責任よりも自己責任が最優先されているものと言わざるを得ません。
 財界戦略にもとづく都市づくりに自助・共助、公的責任の撤退路線を転換し、予防原則にもとづいたとりくみを抜本的に強めることが求められています。

 東京都の新たな被害想定について

 東京都は4月18日に、「首都直下地震等の被害想定」を発表、「震度7」がマスコミでおおきく報道されました。しかし、この首都直下地震の被害想定は、実際に過去に発生した地震を根拠にしているものではなく、「モデル」をつくって試算したもので、文部科学省首都直下地震防災・減災プロジェクトチームの報告書では、「こうした揺れの試算には大きな誤差やばらつきを伴うのが通例」とされ、東京都も「一定の条件を設定したシュミレーションの結果であり、条件を設定内容を変更することで結果が大きく異なるもの」(被害想定報告書)と異例のコメントを付していることに注意する必要があります。
 一方、想定される被害については、若干数値が引きあげられたものの、前回(2006年)の被害想定に見られた、「首都機能確保・維持優先」、被害の過小性、東京・都心一極集中の弊害の軽視などの、ゆがみや欠陥は是正されていません。
 また、「震度7」が強調されることで、木造住宅密集地域での土地収用法の適用(読売新聞)などの強権的手法の導入、「公」の責任放棄と「自助・共助」の徹底などが、より露骨に推進される危険があります。
 東京都は、「今後、国の被害想定の検討結果を踏まえながら、必要に応じ、再検証を行っていく」としていますが、本来、このような科学的根拠がもとめられる被害想定は、地震研究所や産業技術研究所などの研究機関を有し、多数の研究者・専門家で構成される中央防災会議を主催する国の責任おいて、第一義的におこなわれるべきものです。


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